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秋ひとみの新連載”退屈な青春”の人気はでなかった。
題名どうり、ストーリーの展開が単純すぎたのである。「ねえ、こんどの秋ひとみのマンガっておもしろ味がないわね」 「う〜ん、でも私は好きよ、話題が身近で主人公ってすぐそばにいるみたいで」 「マンガ好きの春菜はどう思う」 春菜にはどう答えたらいいかこまったが、 「そうね、もう少しようすをみたらどうかしら」 ペンを休めて、大好きなハーブティに口をつけながら、 青空可憐は窓からみえる都会の狭い空を見ていた。 ・ひとみさん、あなたの魔法はこれからよ・ さすがに少女マンガ界第一人者青空可憐、ひとみのマンガになにか感じていた。 じょじよに、少しずつだが、ひとみのマンガは人気が上がっていった。 「いいわ、私この話には共感しちゃうの」 学校帰りに寄った書店で聞こえた、”退屈な青春”を見ている女の子の声だ。 「ただいま、おかあさん、あのね、さっき本屋でね・・」 玄関を開けると、冬子がにこにこしながら春菜を迎える。 「いま、出版社から電話があってね、それでね・・・」 ゆっくりと、静かに話だす冬子。 「なに、なんなの?」 ゆっくりと後ずさりする春菜がいた。 * 終わり * |
おやじの瞳(コミック)
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きれいに包装された包みを開くと、ブルーのガラスの柄に鏑ペンのついた 見るからに高価なペンが入っていた。 添え書きがあった。 ・秋ひとみの魔法でペンを輝かせてね・ 青空可憐は秋ひとみを対等なライバルとみている、ひとみの成長が自分をさらに 成長させると考えているようだ。 春菜は、きらきらと光りを屈折させているペンをじっと見つめていた。 まるでぺンの魔法が春菜を輝かせ始めているように見える。 「 おとうさん、今日からは おやじのひとみではなく、春菜の秋ひとみよ!」 病室で夏樹の身の周りの世話をしながら春菜は決心を伝える、 絵は夏樹の描き方が身についてる、 「せっかくのファンがへるかもね! 私、秋ひとみを引退させたくないの 」 「いいんじゃない、あなたの思うままにしたら」 冬子も賛成している。 秋ひとみの次の連載がはじまった。 高校生活を題材にした春菜の等身大の日常の話である、 原稿を見た出版社は最初戸惑った、 あまりにも平凡な、女の娘の他愛もない話なのである、 「先生、どうですか?」 「う〜ん、不思議な人ね、冒険してみる価値はあるかも」 青空可憐に原稿を見せて出版社が参考意見を聞いていた。 ”退屈な青春”が始まった。 見た読者の反応は静かだった。 大きな期待をしていた分、肩透かしをくった思いをしたようだった。、 「ごめんね、おとうさん、私ではやっぱり力不足なのね」 「いいんだ、おまえの秋ひとみをつくりなさい」 季節は冬にむかっている。 |
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ホテルでのかんずめ生活も終わり、連載している”恋は予感から”もラストが近づいた。 秋間家には久々にのんびりとした空気が流れていた。 早々に、新しい連載物の話が出版社から来ていたが、しばらくは余裕がある。 「春菜、おとうさんを呼んできて、お昼ご飯出来たから」 今日は休日ということで、昨夜は遅くまで原稿に向かっていた夏樹である。 「お母さん、大変、おとうさんすごい熱よ」 「えっ」 バタバタと冬子寝室に駆け込む。 病室のベットに夏樹はいた。 急性肝炎で緊急入院となった、昼は会社、夜はマンガの原稿描き、 夏樹の疲労は限界を超えていたのである。 「春菜、秋ひとみはマンガ界から身をひくわ、夏樹にこれ以上の仕事はさせられないから」 「そうね、夏樹の秋ひとみだからしかたないわね」 残念な気がしたが、夏樹の身体のほうが大事だ、春菜も納得した。 病院からの帰り、ふと書店により本を物色する春菜の耳に、 「ねえ、”恋は予感から”はもう最終回だって」 小学生の女の子達がわいわいと騒いでいた。 「こんどは、どんな連載が始まるのかしら楽しみね」 ・ごめんなさい、次はないのよ・ 自宅に帰った春菜あてに個包みが届いていた。 青空可憐から秋ひとみ宛てだった。 |
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救いを求めるように、春菜の目が冬子を探す。 冬子は紙箱を開き、中のケーキを物色中だ、視線の全てがケーキに注がれていた、 ・だめそうね・ 冬子をあてにするのはあきらめ、 春菜、大きく息を吸うと静かに目をつむった。 ・私の一番好きな場面を描こう毎日、おとうさんの原稿の手伝いをしていたのだから、 きっと、似せて描けるわ・ 心がきまると、春菜スラスラと描きはじめる。 じっと、春菜を見つめている青空可憐がいた。 春菜が描き終えると、なにも言わず部屋を出ていく、 「どうしたのかしら、私が描いたのでは、だめだったのかしら」 青空可憐をホテルの玄関まで見送った出版社の男が帰ってきた。 「ねえ、青空可憐はなにか言ってた?」 「青空先生、大変おほめでした、ひとみさんのペン先から魔法が見えたって」 「よかった、ばれなかったようね」 冬子を見ると、三つ目のケーキにとりかかるところだった。 「おかあさん、私のケーキよ、それ以上食べないでよ」 ほっとした春菜は急にお腹がへったのだ。 春菜以上にほっとしているのは、実は冬子だった、ケーキの味なんてわからなかったのだ、 緊張のあまりに。 東京に向かう車の中で、青空可憐はじっと考えていた。 ・ひとみ のペンの運びは遅い、だがそんなことは、なれればすぐに追いつく、 あの娘のペン先からなにかが光った、少女マンガ界第一人者の青空可憐を射ぬく 才能の片鱗なのか?・ ホテルの部屋では残った一つのケーキを取り合っている無邪気な二人がいた。 次の困難の影が少しずつ近づいているのだが。 |
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軽井沢の高級ホテルの一室にポテトチップスを食べながら大型テレビを見て くつろいでいる冬子がいた。 「お母さん、散らかさないでよ、私がだらしなく思われるから」 「いいわね〜これも全て秋間ひとみ様のおかげよ、感謝しなくてはね」 すっかり大きなソファの感触を楽しんでいるようだ。 「違うわ、お父さんでしょ!」 家事から解放され、すっかりリゾートしている冬子。 春菜の身の周りの世話をするということで軽井沢について来た冬子である。 ホテルでかんずめになってマンガの原稿を描くことに同意したのは、 避暑地の高級ホテルの名前が出たからだ。 そして、冬子の同行が認められたから。 冬子がきたのには、もう一つ理由があった。 家では、夏樹が汗をかきながら、原稿を描いていた、それを運んでくるのが 冬子の仕事、 ホテルで春菜がベタいれを行い、原稿を完成させた。 「よいか、この部屋の扉は春菜からでてくるまでは、決して開けてはならぬ!」 冬子は監視役の出版社の者にねんを押していた。 「やあね母さん、鶴の恩返しじゃないのよ、芝居がからないでよ」 「用心、用心」 のんびりしている部屋の空気を電話の呼び出し音がかき乱す、 「春菜、青空なんとかという人が部屋を訪ねてくるんだって」 「青空?青空ってまさか!」 ドアをノックする音が響く。 赤いドレスを着た青空可憐が、二人のアシスタントを連れて立っていた。 「ごめんなさいね、お忙しいとこをお邪魔して、わたしの別荘が近くなものだから、 帰りがけに寄らせてもらったわ、これ陣中見舞いよ!」 アシスタントが奇麗な紙箱を差し出した。 「疲れた頭には、甘いものがいいかと思って、お嫌いかしら?」 有名ブランドのケーキだ。 「まあ、まあ、すみません、おきをつかっていただきまして」 さっそくに受け取る冬子。 「もしよかったら、 ひとみ さんが描いているところを見させてもらえないかしら」 言葉はやさしいが、その目はウムをいわさぬ怖さがあった。 ・・この娘の描く絵には味がある、それになんといっても、 繊細に人の心を追うストーリーの組み方、 17歳の娘の心から生まれたとは! 認めたくはないが、天才かも、 若い、この娘には自分が昔に置いて来た輝きがある。 ううん、負けないわ! 青空可憐、少女マンガ界のトップスターよ!・・ りんとした青空可憐に圧倒され、春菜いつの間にか白い原稿に向かっていた。 ・どうしよう・ 震える手でペンをにぎる。 |




