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神殿の展望室から巨神の戦いぶりを見ていた神官達。 「勝ったようだな!だがこれで終わりではない」 蛇の紋章を頭にかぶった最高位の神官が動かなくなったサソリを見下ろし、 「あの娘、ミミとか言ったな褒美をやらねばな」 「大神官様!現われし者はまた何時にこの国に災いを持って来るでしょうか?」 白く長い髭をなでながら大神官は 「わからない、明日か?100年後かもしれん?今回も現われし者は50年の 間を開けている、そのためにも我々は巨神を常に稼働できるようメンテナンスを しておかねば」 「ところで、あの男はどうしましょう」 神官の振り向いた先には膝まつき縮こまっている男、神官のコぺルがいる、 「贅沢な生活をさせていたのは、この日の為だったのに階級の世襲制は 考え直さねばいかんようだな、生まれが良いというだけで高い地位に つけるとやがてこの国は滅びる」 大神官を囲んでいた神官達の顔が一斉に青ざめる、 「いけません!そのようなお考えは、この国の秩序が乱れます」 大神官、回りをぐるっと見回すと、 「そうか、おまえたちも二世、三世だったな!」 コぺルに顔をむけた大神官は、 「あの臆病者の階級を一つ落とせ!」 |
SF ウロボロス
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巨神は神殿の屋根よりも高くそびえ、青銅色の鎧を着ている 顔は卵のようにノッペリとして赤い眼だけがギラギラと輝いていた。 サソリに似た現われし者は一度身体を丸めると、ばねのように伸び、 針のある尻尾を巨神の胸めがけて刺す、だが針はかたい鎧に妨げられて 刺さることはなかった。 巨神はその衝撃で尻もちをついた。 「いた〜い」 剣を持っていたためバランスを崩したのだ、 「でも私のお尻がいたいのはなぜ?」 ・巨神とおまえは今一体化しているのじゃ、おまえの意志は巨神の動き、 巨神の感覚はおまえの体感になる・ 神官の声がミミに説明をする。 サソリはザワザワとさらに次の一撃をくわえようと近づいてくる、 「やだ〜気色悪い!」 片膝を立てて巨神は剣を払った、 ブーンと空気を切り裂きながら剣の切っ先は迫りくる尻尾を 切り裂いた。 |
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・現われし者と接触します距離時間10!・ 森の木々を踏み倒して巨大なサソリに似た形の者が巨神の前に走ってくる。 ・カタナを取れミミ・ 「えっ!カタナって?」 ・前の広場に有るではないか・ 噴水のあるミミもたびたび訪れている広場だった。 池の真ん中に黄金のモニュメントが立っている、何時もミミは 何だろうこれは?と思いながら見ていた物だった。 「これね!」 ミミの、いや巨神の手が伸び、モニュメントの上部をつかむと パラパラと表面を覆っていたものがはがれ落ちていく、 巨神は天を刺すように剣を抜き掲げた。 サソリはじりじりと近寄り大きく反った尻尾の針を威圧するように巨神に向けている。 |
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・現われし者より距離時間1000!巨神を戻して再リセットしている余裕はありません・ ・女よおまえの階級はなんだ!・ 「私、磨きの民です巨神様の肩をお磨きしていたら、サイレンが鳴ったので 降りようとしたら、神官様が上がってこられ私をコクピットに入るよう指示されました それで、入ったらキャノピーが閉ってしまって、ごめんなさい」 ・磨きの民だと!下層階級じゃないか!それにしてもコぺルめ、逃げたか? ええい、しかたない、女よ名はなんという・ 「ミミです」 ・ミミよ、おまえの前にヘッドセットがあるはずじゃ、かぶれ!」 卵を半分に割った形のシルバー色のヘッドセットを頭からミミは被った。 ミミの視界は巨神の目とシンクロした。 ・ミミよ、おまえは巨神と一体化した、巨神の手はおまえの手、足はおまえの足じゃ 戦え!巨神となって現われし者から国を守れ・ 「できな〜い!なんで私が〜」 |
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ルビーのように大きな目が赤く輝き始める。 巨神は幼子のように一歩一歩を確かめながら歩きはじめた。 巨神のコクピットからは国で一番高い木をも見下ろしている、 巨神を操縦するのは最高神官、国の最上位の選ばれた人なのだ、 だが、ミミがその席に収まっていた。 ミミは下層級の磨きの民なのだ、 「どうしよう!巨神が動いてる」 ・聞こえるか?神官コぺル、現れし者よりの距離時間3600、遊撃準備に入れ・ 「あの〜あの!私のせいじゃないんです」 思いがけない女の声で ・誰だ!コぺルはどうした、どういうことだ、なんで女が巨神にいる・ 「わからないんです、教えてください」 ざわざわとスピーカーから大勢の人の声が巨神のコクピット内に反響していく。 前方でゆらゆらと空間が歪む、 閃光とともに影が形を成してきた。 |




