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「もし起きたら釣りに行こう」
結局仕事があった日も夕食前、夕食後と当初の計画通り釣りに行ってしまった為、相当疲れがたまっていた。
朝一の釣りがいまいちだったこともあり、最終日の朝はもし目覚ましなしでも起きられたら釣りに行くことにした。
午前4時13分、ハッと目が覚めた。
「行くっきゃないっしょ」
朝食とフェリー、それに荷物のパッキングの時間を考えると7時には戻ってこなければならない。
幸い漁港は目と鼻の先。
ササっと準備を済ませ港に向かった。
堤防の先端に行く途中にカモメの巣があって、前日は卵が二つだったのが三つに変わっていた。
堤防の先端なんていつも釣り人がいそうな場所だが、ここでは一度も人に会わなかった。
そんなだからか堤防の上にカモメが巣を作ったのかもしれない。
カモメの卵は初めて見たけど、モザイク柄で鶏の卵より少し大きいくらい。
一瞬「食べてみようかな?」とも思ったが、僕が堤防の先端に行くたびに親鳥が声を上げて警戒するのでやめておくことにした。
前日の感じからアブラコ(アイナメ)を狙うことにした。
とにかく海藻の下にフライが着底するようにカウントを少し多めにとる。
リトリーブの度に海藻が引っかかって、うまくボトムをとれてしないような気がした。
Googleマップを見ると、堤防の先端の地形は、砂地に海藻がところどころ生えているように見える。
それまではその海藻らしき色の濃く見える箇所を狙ってキャストしていたのだが、思うようにアタらない。
そこで海藻地帯の先の砂地にキャストして、一度ボトムを確実にとってから海藻の中にフライを投入することに。
砂地のところは全く手元になんの手ごたえもなく、なんとも心許ない。
そういえば漁港でクロガシラ(北海道で良く釣れるカレイ)が釣れるって言っていたから、この辺は砂地ベースなのかもしれない。
そんな、海藻地帯ではなく砂地で一度ボトムをとってからリトリーブする方法を何度かやっていると・・・
「グッグッ」っという鈍いアタリが
「それっ!」
アブラコかもしれないので思いっきりアワセを入れた。
「?」
その後の「ゴンゴンゴン」というアブラコ特有の下にもぐる感じがない。
「ソイだろうか?」
あまり引かないが、生命反応があるのは間違いない。
というのも、時折「グン グン」と竿がランダムにしなるからだ。
魚が見えてきた。
「やった〜カジカだ!」
水面に浮上してきてすぐにカジカだとわかった。
今回僕が最も会いたかった魚だ。
カジカとの出会いが何時であったのかよく覚えていない。
小さい頃によくカレイ釣りに釣れて行ってもらったのだが、僕はカレイを釣るよりもカジカを釣る方が好きだった。
投げ釣り用の仕掛けをテトラの隙間に「そろ そろ」と落としていく。
するとテトラの物陰からワラワラと大きなカジカが現れるのだ。
普通カジカというと、川にいるハゼくらいの大きさのものというのが一般的な認識だと思うのだが、北海道でカジカと言ったら40cmくらいの頭だけがやたらと大きい怪獣みたいな魚をさす。
別名「なべこわし」と言われるくらい鍋にすると美味しいと言われているが、正直僕はそんなに美味しかった記憶はなく、非常にたんぱくな味だなという印象しか残っていない。
しかし、僕はそのカジカのサイトフィッシングが何より好きだった。
ここ礼文島でも明るい時間帯にカジカの姿を何度も探したのだが、目視できるような個体はいなかった。
それが今ラインの先につながっている。
「やっと会えた」
全く会っていなかった小学校の同級生に会ったような気分だ。
しかし、「ん?」何かがおかしい。
カジカに違いはないのだが、僕の記憶の底にあるあの大きな顔のカジカとは若干違うようなのだ。
見ればマルタウグイの様な朱色も体のところどころに見える。
「ううむ」
とりあえず、今回の最大のターゲットであることには間違いないので、丁寧に写真を撮ってからリリースした。
”後で調べて分かった事なのだが、僕が子供の時分に釣っていたカジカは「トゲカジカ」と呼ばれるもので、そいつはまさに怪獣の様な装いの迫力ある魚であるの対し、今回釣れたのは「ツマグロカジカ」と呼ばれるもので、体つきが少しスレンダーで顔の大きさもそんなに大きくない別のものであることが判明した。”
その後、また同じ釣り方でもう一匹カジカが釣れた。
「はは〜ん」
何となくわかってきた。
やはり海藻の上にキャストすると、フライがボトムまでうまくたどり着いていなかったのだ。
たまにボトムがとれるとアブラコやソイの反応はあるのだが、ほとんどは海藻の頭をかすめてリトリーブしていたのかもしれない。
これはあくまでも僕の妄想内の話なのだが。
とにかく、目標は達成したので、ガヤに少し遊んでもらってから礼文島の釣りを締めくくった。
今回は宿の前の港のみという限られた場所の釣りだったが、ガヤ、ソイ、カジカ、バレたけどたぶんアブラコと4種類のロックフィッシュをフライで狙うことができた。
もっと広範囲に島をまわることができたら、大きな個体を狙えたのかもしれないが、僕的には十分な釣果だった。
川に行けば北海道最北のイワナやヤマメが狙えるというし、アメマスも釣れることが帰りのフェリーの中で分かった。
礼文島に釣り目的で来たら大変なことになりそうだ。
今回はあくまでも出張ついでの「ちょい釣り」なので、局所的にしかものは言えないけど、きっと大変な場所なんだと思う。
ああ〜いつかまたこの地に訪れてみたいものだ。
おわり
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