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福島県発注の工事が公告になった。
予定価格1.500万円程度の小さな工事だが、公共工事が激減している昨今ではまさに貴重な工事だ。
通年雇用が最低条件の技術者を多数抱え、それなりの事務所経費をまかなう為には、決してないがしろには出来ないし、何よりその工事施工地域の労働者が仕事を求めて待ち焦がれているのだ。
しかし、相も変わらず単純な金額のみの一般競争入札で、しかも指定業者範囲もAランク〜Cランクまでと幅広くなっている。
地域性等は全く考慮だにせず、競争性を確保する為だけの広範囲なのだろうが、その結果は金額は最低制限価格に限りなく張り付き、地域性の全く無い越境業者が傍若無人に受注して、地域の業者は倒産し、地域の雇用は救いようの無いまでに崩壊する結果となった。
そもそもAランクとCランク業者を金額だけで競争させることが果たして、公正公平だと言えるのだろうか?。
都市型ホテルとビジネスホテルを単に価格だけで競争させたり、飛行機のファーストクラスとエコノミークラスをその内容やサービスを全く考慮せず単に価格だけで勝負させることの愚行と、一体どれほどの違いがあると言うのだろう。
「安かろう 悪かろう」という子供にも解る経済常識の判断すらも、今の役人や報道人には判別できなくなったに相違ない。
子供にも解る経済常識ではあるが、AランクとCランクを競争させたらどうなるのか、
更に詳しく説明しよう。
Aランク業者はおおむね地域にあってはトップクラスの業者で、それなりに地域社会に貢献している優良業者と言って良い。
労働者の賃金も10.000円前後は支払い、社会保険や退職金等福利厚生も充実し、安全や施工品質にも力を入れているので、反面それなりに高コスト体制にある。ホテルで言えば都市型ホテルである。
Bランク業者はAに次ぐ業者で、C、Dランクと下がるほどにその経営規模も小さくなり、地域貢献や賃金や福祉や安全や品質意識も一般的には低下してくると見て差し支えがない。
特に賃金や福祉について、Aランク業者とは比較すれば大きな隔たりがある。疑問に思う方は今すぐ職安に行って建設労働者の求人情報を調べて頂きたい。何とその賃金は5000円〜6.000円程度である。これが低ランク業者が実際に支払っている賃金の驚くべき実態なのである。
つまり端的にいえば、従業員の日当を10.00円支払っている業者と、5000円しか支払っていない業者とを単純に金額だけで競争させて、それが公正であり、公平なのかと言うことなのである。
これではAランク業者が価格競争に勝てる訳が無く、工事の競争入札においては、大が小を飲む込むのではなく、小が大を飲み込んでしまうことになるのである。
かくして地方の雇用と安全と社会秩序を護ってきた優良な業者は、今や絶滅の危機に立たされているのである。優良な業者が壊滅した跡に残るものは、働けど楽になれないワーキングプアを社会に放出する悪徳業者と、唯一の大切な雇用すらも奪われて大崩壊した地方集落の残骸だけが無残な姿をさらすことになるのである。
そうした「今そこにある危機」の絶望のシナリオにさすがに危機感を強めた県は、大規模な工事においては金額だけではなく、地域性なども考慮に入れた総合評価方式に改善を加えてはいる。
しかし日常的に通常行われている小規模な工事においては、そうした「危機」を全く考慮することもなく、金額だけの競争入札という地域社会を滅ぼす害煙を相も変わらず放出しているのである。
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