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日本経済新聞の2月16日紙面に、
「入札改革景気に揺れる」「競争か地域貢献か」という特集が掲載された。
「一般競争入札の導入で始まった自治体の入札改革が、過当競争により建設業者の倒産が急増し、
折からの景気悪化もあり、地元配慮のために、入札制度の見直しや、そのあり方が改めて問われる事態となっている」というものである。
その上で、福島県と、宮崎県、長野県の問題の実態を紹介しているのだが、
そうした3県の動向を公正に評価する「専門家」が、相も変わらぬノーテンキな机上の解説を行っていて実に腹ただしい。
その専門家とは、鈴木満氏 桐蔭横浜大学法科大学院教授である。
「公共工事の入札制度は、税金の適正な使い方を基準に決めるべきだ」
という現実を無視した机上の原則論が、今日の惨憺たる混迷の事態を引き起こしたという反省等は全く無い。
「行き過ぎた低価格競争が手抜き工事を生みかねないという指摘には、発注者の検査を厳しくすれば対応出来る」
として、これも相変わらずの不毛の原則論を展開している。
人間の検査には技術的に又物的限に界があり、竣工検査だけで、これを完全に防止することは現実には不可能だ。単純な工場検査でも、食品検査でもそれを擦り抜ける不正は枚挙にいとまがない。
竣工検査とは、竣工直後であり、地中深くに複雑に埋められた不正が、その不正を露呈させるのは数年か十数年後である。それを完全に掌握出来る検査など存在はしないのである。
数年後その不正が発覚したとして、その時点で責任を取るべき行政執行者はもちろん、業者すらもさえ存在しない事態となり、責任の追及など間違いなく不可能である。
それ唯に、価格競争だけでなく、総合的な評価を受けた、責任ある優良な業者に発注する事こそが、短期的には多少コストアップでも、納税者や国益に最終的には叶う事なのではないだろうか。
「建設業界は、コスト競争力が高い企業が残るよう業界を再編すべき」とも書いている。
コスト競争力を高める事のみに傾注したからこそ、日本経済の今日の労働者派遣問題や、格差社会の大きな歪みを生んできたのではないだろうか?
建設業もしかりである。コスト競争を高めるために、不当に給料を削減し、福祉を切り捨て、多くの労働者を解雇してきた為に、建設業界だけでなく、地方そのものが今壊滅の危機に瀕しているのではないだろうか。
そうした悲惨な実態には相も変わらず配慮することが無く、コスト競争のみを主張する学者の軽薄な意見に、強い憤りを覚えるのは果たして私だけなのだろうか?
現実の経済実態は無視し、法律解釈のみに終始する空疎な意見しか吐かない、専門家を臆面もなく登場させる、日本経済新聞の責任も非常に重大ではなかろうか。
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