談合は本当に悪なのか

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「従業員の日当を10.00円支払っている業者と、5000円しか支払っていない業者とを単純に金額だけで競争させて、それが公正であり、公平なのかと言うことなのである。」

 という前回の私の問題提起に、東京都日野市が一つの答えを出した。
9月1日〜試行する総合評価方式の工事入札で、賃金や雇用体制等の格差是正の取組を評価項目に盛り込んでに加点をするという。
 具体的には、従業員の労務単価や法定外労働災害補償制度の加入状況。障害者雇用の取組、従業員の子育てを支援する制度の有無等を評価して加点するという。
公共工事で相次ぐ低入札が、建設労働者の低賃金や雇用不安を招いている事に対応した試みだという。

 日野市には、それに加えて、有給休暇の付与と消化状況、賞与の支給状況、退職金の加入状況、社会保険の加入状況等も評価項目に加えて評価いただけるのなら、低入札による労働者の低賃金や格差是正に対し、大きな歯止めになることが期待されるし、何よりワーキングプアを生み出す悪徳業者を排除する根本的な施策にもなる。
 加えて、市内在住の従業員の雇用実態等もポイント化するならば、名ばかりや形式だけの「地域業者」も排除できるし、実質「一括下請」だけの悪徳業者も排除できる事になる。

 日野市のこの小さな試みを、ぜひとも全国の自治体も検討し早急に導入していただきたいものである。

福島県発注の工事が公告になった。
 予定価格1.500万円程度の小さな工事だが、公共工事が激減している昨今ではまさに貴重な工事だ。
通年雇用が最低条件の技術者を多数抱え、それなりの事務所経費をまかなう為には、決してないがしろには出来ないし、何よりその工事施工地域の労働者が仕事を求めて待ち焦がれているのだ。
 しかし、相も変わらず単純な金額のみの一般競争入札で、しかも指定業者範囲もAランク〜Cランクまでと幅広くなっている。
 地域性等は全く考慮だにせず、競争性を確保する為だけの広範囲なのだろうが、その結果は金額は最低制限価格に限りなく張り付き、地域性の全く無い越境業者が傍若無人に受注して、地域の業者は倒産し、地域の雇用は救いようの無いまでに崩壊する結果となった。
 そもそもAランクとCランク業者を金額だけで競争させることが果たして、公正公平だと言えるのだろうか?。
 都市型ホテルとビジネスホテルを単に価格だけで競争させたり、飛行機のファーストクラスとエコノミークラスをその内容やサービスを全く考慮せず単に価格だけで勝負させることの愚行と、一体どれほどの違いがあると言うのだろう。
 「安かろう 悪かろう」という子供にも解る経済常識の判断すらも、今の役人や報道人には判別できなくなったに相違ない。
 子供にも解る経済常識ではあるが、AランクとCランクを競争させたらどうなるのか、
更に詳しく説明しよう。
 Aランク業者はおおむね地域にあってはトップクラスの業者で、それなりに地域社会に貢献している優良業者と言って良い。
 労働者の賃金も10.000円前後は支払い、社会保険や退職金等福利厚生も充実し、安全や施工品質にも力を入れているので、反面それなりに高コスト体制にある。ホテルで言えば都市型ホテルである。
 Bランク業者はAに次ぐ業者で、C、Dランクと下がるほどにその経営規模も小さくなり、地域貢献や賃金や福祉や安全や品質意識も一般的には低下してくると見て差し支えがない。
 特に賃金や福祉について、Aランク業者とは比較すれば大きな隔たりがある。疑問に思う方は今すぐ職安に行って建設労働者の求人情報を調べて頂きたい。何とその賃金は5000円〜6.000円程度である。これが低ランク業者が実際に支払っている賃金の驚くべき実態なのである。
 つまり端的にいえば、従業員の日当を10.00円支払っている業者と、5000円しか支払っていない業者とを単純に金額だけで競争させて、それが公正であり、公平なのかと言うことなのである。
 これではAランク業者が価格競争に勝てる訳が無く、工事の競争入札においては、大が小を飲む込むのではなく、小が大を飲み込んでしまうことになるのである。
 かくして地方の雇用と安全と社会秩序を護ってきた優良な業者は、今や絶滅の危機に立たされているのである。優良な業者が壊滅した跡に残るものは、働けど楽になれないワーキングプアを社会に放出する悪徳業者と、唯一の大切な雇用すらも奪われて大崩壊した地方集落の残骸だけが無残な姿をさらすことになるのである。
 そうした「今そこにある危機」の絶望のシナリオにさすがに危機感を強めた県は、大規模な工事においては金額だけではなく、地域性なども考慮に入れた総合評価方式に改善を加えてはいる。
 しかし日常的に通常行われている小規模な工事においては、そうした「危機」を全く考慮することもなく、金額だけの競争入札という地域社会を滅ぼす害煙を相も変わらず放出しているのである。

日経コンストラクションの6/27号に、証券アナリストの水谷敏也氏の談話が載っている。
公共事業のあり方と、今後の建設業界の再生策について語ったものである。

公共工事を巡るここ数年の混乱については
「副作用を十分に検討しないで対策を急ぎすぎた」と指摘した。
「談合への罰則を強化する独占禁止法が2006年に強化されて以来、副作用を十分に検討しないまま、新しいルールを導入し、大きな代償を払っている。これは、改正建築基準法での混乱と同じで、ルールを変えて何が変わるかという予測とリスクマネジメントが抜けている」

「公共土木の分野は、中央と地方ではルールを変えても良いのではないか、収益性が見込める都市部の高速道路や鉄道などはPFI等も活用しながら、民間企業にどんどん競争させる一方、収益性が測れない地方の公共事業には、経済性を求めない。同じ野球でも、硬球と軟球の違いがあるように、公共土木でも市場を分けたほうがいい」

「純粋な公共事業で競争原理を全面に出すのは良くないと思う。社会インフラづくりに徹して、地域の経済や雇用を助けるという目的を果たせばいい。住民サービスと地域経済の為にある公共事業の本来の木居的に立ち返る事である。経済効率が全面に出てくると、目的が違ってしまう。公共事業は形を変えた”福祉”と言っても良い。地域経済や雇用の為の福祉だと位置づけるのです」

経済性を重視する最近の考え方については
「100のコストでやれるところを200も300もかかっているようでは問題ですが、現在は(競争の結果逆に)70とか80でやっている。やってもやっても赤字になるのは異常事態です。黒字を出して人を雇い、税金を払って次のための投資をする。そんな循環のための血液剤のような効果が公共事業にはあるはずです」

まさに氏の言う通りで、公共事業の本来の姿はそうあるべきものだと思う。
本来あるべき姿を見失って、それと対極にある経済効率のみを重視する現在の公共工事のあり方は、
根本から早急に軌道修正をしなければならないと強く思う。

福島県建設業協同組合と、福島県土木部による懇談会が16日に行われ、福島大学経済学部奥本准教授が出席し、ヒアリング調査から、建設業界の衰退について、「業界が縮小しすぎると地域基盤の維持が出来ない恐れがある」との現状が認識が報告された。
 この説明を受け、秋本土木部長も「入札制度改革などにより、除雪をはじめとする維持管理やメンテナンスなどの公共サービスが難しくなってきた。地域づくりに目を向けながら地域の活性化と産業の育成に取り組まなくてはならない」と感想を述べたという。
 懇談では更に、「中山間地における地域の疲労と建設業の存在。各地域の核になる建設会社が無くなると地域が守れなくなる」との意見が出されたという。
 これに対して、奥本准教授は更に「業界の将来ビジョンが描くなっている事が問題であり、地域の建設業という視点で考える必要がある」と発言した。との事である。
 コスト偏重の競争入札制度がもたらしている、大きな弊害について、県土木部もようやくその影響を認め改善に目を向けたという事だろうが、
 問題は、そうした競争入札の大きな弊害をマスコミがどれだけ正しく認識して、偏重報道の姿勢を改めてくれるのかなのである。
 こうした問題について、業界紙では当然に連日問題点や弊害を報道していたが、いかんせんあくまでも一般の県民の目に触れることはない。競争により税金が削減された結果ばかりが報道されているのである。
 しかも、その業界紙も又、縮小する業界の荒波を受け、「福島タイムズ」が半世紀に渡る歴史に終止符を打ち、休刊をするという。誠に残念である。長い間ご本当に苦労様でしたと言いたい。正しい現状を報道する大きな手段が又一つ失われてしまった。
「福島タイムズ」は最後となった紙面の「視点論点」でこう述べている。

「…良い物を作り出す人と企業が衰退している事が、納税者にとっては問題であるはずだが、、そうした  視点は取り上げられず、世論は悪者探しに終始している」
「…公共事業に対する依存度の高い地方においては、この入札制度改革が、地元業者の衰退につながり、  地域の活力を弱めているのも事実だ。」

  現在の入札制度が、地方の衰退を急激に加速させている事実を、今後どのように一般県民、全国民に理解認識していただけるか。
早急な制度改革を実現させ、地方の大崩壊を食い止めるポイントはそこにあるのだが。

 2008年5/3日の福島県入札制度監視委員会で、県は工事の有資格業者の資格審査の評価項目に災害対応
や除雪業務の実績、新分野進出状況等を加える事を示したいう。
地域の雇用を守り、地域の命を支えてきた重要な活動が適切に評価されることは、至極当然のことで
これらが今まで全く評価されなかったこと事態が県の怠慢という他はない。
 公共工事の大幅な減少に加え、一般競争入札の拙速な導入で、県内建設業者の経営状況の窮状が
目に余る事態となり、特に中山間の業者は絶滅の危機にまで追い込まれており、「このままでは
災害対応や除雪活動さえ支えられない」という業者の悲痛な叫びに、県もようやく危機感を抱いて
重い腰を上げたということなのだろが、
 それにしてもその評価を資格審査のランク付けだけでなく、
実際の競争入札そのものに、どう早急に 反映させられるのかが1番重要な問題なのである。
 競争入札が、現在の価格のみの競争である限り、資格審査でいくら評価を受けても、入札に影響
しなければ何の意味もないし、「地域実績」の全く無い越境業者が、不当な低価格で横取りをしていく
構図には何ら変わりがなく、問題の解決には全くつながらないのである。
 価格競争のみでなく、災害対応、除雪実績、新分野進出、地域での雇用実績、等々地域貢献実績を
最重要視した総合評価方式で優劣を決める入札制度に早急に改善しなければ、地方業者の絶滅と、
地方集落の大崩壊はもはや止めようがないところまで来ているのである。
 私は極論をいえば、競争入札の評価項目に価格は必要がないのではないかとさえ思っている。
そもそも発注機関の設計単価は、メーカーの希望小売価格や、定価を基礎に積み上げている訳ではない。
市場の流通単価を調査し、現場で実際に支払われている賃金を調査し、現に流通をしている適正な単価
を積み上げて設計を組んでいるのであり、その意味からいえば、競争項目から単価を抹消しても、
決して税金の無駄使いとはならない仕組みになっているのである。
 その市場単価で、本来すでに適正水準でしかない設計価格を、自由競争で更に徹底的に競争させている
事にこそ大きな誤りと問題ががあるのであって、今日の救いようがないほどの不毛の、悲惨な低価格
競争を引き起こしている最大の要因なのである。
 そうした朝令暮改を余儀なくされる、歴史的なまでの悪制を拙速に強行した県の責任は勿論であるが、
マスコミも又、善良な住民を塗炭の苦しみに突き落とし、地方崩壊に直結する世紀の愚策の実行を
救世主気取りで世間に一般に報道先導し、結果自らが引き起こした弊害の悲惨な実態は、報道どころか
全く取材しようともしない。
 偏見報道に凝り固まり、結果的に亡国の先導役を果たしているマスコミの責任は極めて重い。猛省を促したい。

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