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人はなぜ自殺するのか―心理学的剖検調査から見えてくるもの (単行本)
張 賢徳 (著)
http://www.amazon.co.jp/dp/4585052852/ref=sr_1_2/250-8440591-6606644?ie=UTF8&s=books&qid=1177774878&sr=1-2
fwapyさんトコで読んだ時は、「もしかして在日にありがちな日本人呪詛がトウトウと述べられる本では」と失礼な危惧をいだいてました。お互い、正直ベースで話しましょうと言っても、どうしても昔からのしがらみがお互いの発言を縛るし、どっかにバイアスがかかりますしね。。。
そんなことを思いながら、今日やっとゲットできたので図書館に取りに行きました。十人以上先に予約がはいってて、相当人気があるようですね。(買えよって言われそうですが、引越する予定なんで本etcを買うのは控えてるんです、ケチじゃないのよん♪)
で、帰り道、車に挽かれそうになりながら、歩き読みをしてしまいました。非常に面白い本です。また、自分の先入観も恥ずかしくなりました。
本そのものは非常に学術的に自殺を扱った物で、エンターテインメント的読み物ではないです。真面目な学術書。でも、日本人の死生観や自殺の現実をアカデミックに解説してくれてます。
fwapyさんトコの記事が念頭にあったので、在日問題の話が出てくるかと思ったけど、あとがきの最後でちょこっと本人のバックグランド説明で出てくる程度。本の中身で判断すると、あとがきを読まなかったら張さんが在日韓国人ということも分からないかもしれません。
日本人の自殺観は非常に独特なもので、侍の切腹も、近松の心中物も、本人の意志的選択による理性的行動とみなす傾向が多いようです。ただし、学術的視点から解明していくと、理性的行動というより、病的な要素によって死に至ったと考える方が適切なようです。
うつ病や、精神的苦痛に対して適切なサポートを与えていれば、防ぐこともできたかもしれないのに、「死」という重たい現実を直視しないよう、別の理由付けをしたがる傾向があるのかもしれません。
こういうと「外人の決めつけだ!」という反論が出てきそうですが、著者は統計的に適切な手法を取って、できるだけ正確なサンプル収拾を行い、モデルを立てるアプローチを取っています。
ちょっとビックリしましたが、中でモーリス・パンゲ先生の本の話が出てましてね。おまつは直接パンゲ先生に教わったことはありませんが、パンゲ先生が校長をされた日仏学院に通ってました。「自死の日本史」は教科書として読みましたよ。あら懐かしい!って感じです。
パンゲ先生はあくまでも文学者ですから、文学的な視点から日本人の死を解明しています。ですので、科学的に適切うんぬんより、文学的に、つまり読み物として面白さを中心に、日本人の自殺感の美意識を書き表しています。だから、不適切は不適切かもしれませんね。自殺そのものは、防ぐべきものであって、賛美すべきものでありませんから・・・
特異なモデルケースではあっても、科学研究のモデルケースとしては不適切な視点なんでしょう。
というか、オモシロ可笑しいかもしれないけど、自殺という悲惨な現実への対処には全然役には立ちません。
文学的には面白いですけどね。
まぁちょっと考えてみてください。
病気をオモシロ対象として見るか?治療の対象として見るか?どっちが人間的でしょうか?
(アタシは極めて文学的な人間なんで、ヒドイ答をしてしまいそうですが・・・)
本の文章だけでは、張さんの背景は全然分かりませんが、この極めて人間的な視線は、彼が在日って立場だからかもしれません。または、単に非常に学術肌の方で、極めてロジカルに問題定義・解明のプロセスに従ったのか・・・
まぁ、非常に面白いからぜひ一読を・・・
張さんは、この非常にセンシティブな話題を、非常に学術的・統計的手法で解明しようとしながら、アプローチは非常に心優しいんです。
自殺者のご遺族にヒアリングしていくのですが、資料を詳細に確認した上で、一番適切そうな方に自分で手紙を書く。そして、相手の立場を尊重しながら、同意をもらえた時点でヒアリングをする。相手の心の傷を鑑みながら、必要そうであれば精神科医としての協力・フォローアップを提供する。
こうまとめて書いちゃうと、「あっそう」なんですが、とても細かい気配りをしながら、悲惨な死を減らすために辛い作業を進めていく姿が、なんとも優しさに満ちています。
「研究対象」をこんな優しい視線で見つめる学者さんて、どのくらいいるのだろうか・・・
残念ながら、1998年頃から日本の自殺数は激増し、減る様子が見えないそうです。これは何が原因なのでしょう?経済苦?うつ病?社会不安?
いろいろ理由は複雑でしょうが、弱者をいたわる視点で問題解決を考えるのが大事かと思います。
自殺は苦痛からの脱出かもしれませんが、多くは心の悩みから心の病気に至っての行動だそうです。
強者ばかりが全面的に取り上げられる社会では、ドンドン増加しても不思議は無いわけで。
え。死にたい奴は死ねばいいじゃないか!弱者は排除されて当然だ!確かにそれも理屈は理屈ですよね。
でも、ホントはそういう人ほど誰かに助けてもらいたいんだろうなと、ヒネた私は思ってます。
じゃぁ、どうやって助けてあげたらいいものか。違う視点で話してくれる方の意見を聞くのも良い方法かと。
fwapyさん、面白い方と本をご紹介していただきまして、有り難うございました。
29apr07
* と、パンゲ先生は、学校に通ってた関係もあって先生付けです。張さんはお医者様で、教授でもいらっしゃるので先生とお呼びすべきなんですが、気持ち的に「張さん」とお呼びしたかったもので。他意はありませんが、誤解されたらヤなので蛇足程度に・・・
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面白そうな本ですね。 私はどちらかというと「死にたい奴は死ねばいいじゃないか!」と考えています。 結局は本人の選択の問題に過ぎないのではないかと。 ただ、まあ「正常な判断に基づく選択ではない」と言われると、うーん、問題かもしれませんね。
2007/4/29(日) 午前 3:45
ま、本当に死にたくて死ぬ人はいないわけで...。日本には「自裁」という言葉もあるくらいで、死そのものが罪という考えは薄いですね。
2007/4/29(日) 午前 10:09
無宗ださん、どう頑張っても本人が死にたいって決意したら他が止めることはできませんけどね。でも、自殺の?%が固い決意の上かは非常に疑問です。とかく自死を美化したがる文化は考え物でしょう。自殺者の、誰にも言えなかった内面を医師が解明しようとする姿はスゴイです。ぜひお読みになってください。
2007/4/29(日) 午後 5:28
Sayusanさん、近松にしても、三島の憂国にしても、文学としては素晴らしいし、一つの世界を作ってますからね。ただ、あーゆーのと、一般人の自殺を混同はできないでしょう。ともかく自殺は増加傾向にあるそうで、もう少しの現状に目を向けるべきではなかろうかと思います。ヘンな話、会社帰りのタクシーで運転手さんと盛り上がったこともありますよ。でも選挙だのじゃ話に上がんないの。何故?
2007/4/29(日) 午後 5:31
心の病気が原因の自殺や社会的な自殺は本来防げるものですからね〜。 日本の社会にはまだそういう自殺を防ぐ有効な手段がない...。 自殺の危険があると公になるとすぐ病院行き〜。隔離して薬漬けにしたって解決しないのに。警察も追い回しますからね。自殺の危険がないオカシナ人は野放し〜。警察に爆弾しかけたって年に1回くらい来る自称M国立大医学部教授どうなったかな〜。セルシオだったかで来る金持ちのオバサマでしたけど。
2007/4/29(日) 午後 7:37
帝京のお医者さんだった記憶が微かに。在日3世やったような^^?自殺はなかなか防げないですからね。傾向として窺える人はあるらしいですけど難しいのが現実かも。誰だって死にたくなる瞬間はあるんじゃないですか。
2007/4/30(月) 午後 11:02 [ c1491jp ]
「死にたきゃ死ねば」とも思わないくらいに、人のことは無関心でして(笑)。ちゅうか、判断に足りる情報が他人については無いですからね。自分のことをサンプルとして考えるしかない。いくらヒアリングしてもわからんところがあって、ソコがネックなんだと思っています。わかってることは、僕は心の病になったとしても、自殺はしないんじゃないかということ。精神的開放は肉体が伴わないとうれしさ半減っと思ってますから。
2007/5/1(火) 午前 11:41 [ あるこ ]
TBありがとうございました。感謝!色眼鏡で見ないで下さいよ〜。(涙;)自分が読んで”○”と思わない限り、本の紹介はしてないつもりです。在日だからこそ日本社会を違った視点で見れると私は喜んでますが・・・転載したいんですが、転載禁止になってますね。傑作に一票です。
2007/5/3(木) 午前 7:10
Sayusanさん、なかなか心の病気のケアの体制確立も難しいでしょう。特に、精神病患者=犯罪者予備軍みたいな意識もあるし、「心の弱い人がなる病気」って思い込みもありますしね。でも、その教授みたいに、確信犯でネジがユルくなった人だと、またなんともね・・・なんとも・・・
2007/5/3(木) 午前 7:10
c1491jpさん、そうそう、帝京大で先生されて、命の電話にも協力されてるそうです。まぁね、私も死にたいって思ったことは何度もあるし、色々考えると60歳ぐらいで死ぬほぉがいいかしらと思う今日この頃です。ただ、だからって見捨てて良いってワケでも無いと思います。その辺りの微妙な気分はご理解していただけるかどーか・・・
2007/5/3(木) 午前 7:14
あるこさん、張さんも同じ質問を多々受けるようです。今更調べたってホントの理由なんか分からないって。でも、それを言い出すと精神医学自体が成り立たないって書いていらっしゃいます。ヘンテコな性格判断や怪しいカウンセラーなんかよりアカデミックに取り組んでる方ですよ。で、肉体が伴わないとうれしさ半減かぁ?それも面白いご意見。うーむ。
2007/5/3(木) 午前 7:19
fwapyさん、あ、失礼!今デフォがそうなんで、可にしました。色眼鏡ってワケじゃないんですが、申し訳ない。「死にたい奴は仕方ない」って意見が多い日本の中で、張さんみたいな行動が取れるのは在日ってのもアルと思います。ただ、それだとまた偏見を持つ人が居そうなんで、あえて書きませんでした。もちっと自分のメンタリティを科学的に見る目を持つべきでしょうね。他人に指摘されて気付く自分の姿って感じかしら。
2007/5/3(木) 午前 7:25