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スーパースターは傷つけてはいけない SMAP解散は必ず阻止できる

【スーパースターは傷つけてはいけない SMAP解散は必ず阻止できる】
『iRONNA編集部』 2016/01/13 読了まで7分

影山貴彦(同志社女子大学情報メディア学科教授)

 私はSMAPのファンではありませんが、彼らをアイドルとして捉えた時、長嶋茂雄や高倉健と肩を並べるスーパースターだと思います。しかし、その認識が一体どれぐらいの人にあるのでしょうか。今のジャニーズ事務所には嵐をはじめ、たくさんのグループがありますが、スターの上に「スーパー」が付くのは、SMAPだけだと思います。

 そこまでの存在になったのはやはり「SMAP×SMAP」の力が大きいと思います。スマスマで彼らは歌って踊って演技ができて、さらに笑いを取った。かつて関西の放送局で番組の作り手として過ごし、今は大学でエンターテインメントを教える私から見ても、SMAPの笑いに関するクオリティの高さは目を見張るものがあります。アイドルという概念を一気に変え、下手な芸人より質の高い笑いを提供してしまったわけです。最近は忙しくなったせいか、スマスマでは凝ったコントをあまりやらなくなったように思いますが、かつて芸人が口をそろえて「俺たちの仕事はSMAPが奪ったんだ」と愚痴をこぼすぐらいの影響がありました。こうなるとSMAPの頭文字「S」が「Sports」じゃなく、「Smile」じゃないかと思えてきますよね。

 SMAPは演者としてのメンバーの素晴らしさに、マネジメントの良さが加わって、ジャニーズの中では留まらない、事務所を超えた存在になりました。だからこそ、今回のようなファンの望まないマネージメント側の内輪揉めと受け取られるような形で、スポーツ紙2紙が報じたことは絶対やってはいけなかった。スクープか事務所側のリークかはどうでもいいことです。ファンが怒りと悲しみをもって今回の騒動を受け止めたことを重く見なければなりません。スーパースターは傷つけてはいけない存在なんです。野球でいえば、長嶋や王貞治は契約更改の時にあらかじめ下交渉をしておいて、表向きの交渉でいつも一発サインしていたと言われますが、SMAPも同様なんです。だからどす黒いものが渦巻くのが当たり前の芸能界、隠せということではなく、ファンに向けて表にしてはいけなかった。

 私はSMAPを解散させてはいけないと思いますし、解散を阻止できると思っています。いかなることをしてでもSMAPを守らなければならない。今回の報道を受けて、ジャニーズ側による独立メンバーへの悪影響が既に噂されていますが、絶対やってはいけません。たとえ年に数回しか集まらない存在になったとしても、SMAPの看板は彼らがおじいさんになるまで残さなければならない。SMAPは日本の芸能界の宝なんです。だから報じる側のメディアもなんでもかんでもこき下ろせばいいわけではなく、至宝として認識しておかなければいけない。SMAPにまだまだ輝きを持ってもらうようにしておいたほうが、報じる側も日本の芸能界全体にとってもそのほうがプラスになると思います。もちろん決して事実にフタをしろと言っているわけではありませんし、伝えなければいけないところは当然報道しなければいけません。もろ手を挙げて礼賛するのが望ましいことではないですけど、例えば山口百恵は好き嫌いを超越した存在になったわけですが、芸能界にはそのような傷つけてはいけないような存在が何人か必要なんです。もし事務所の人間たちが今回の騒動の火種について心当たりがあるんだったら、騒動の大きさを自覚してSMAPという宝を大事にしなければいけません。大事にしないと、今後のジャニーズ事務所の屋台骨を大きく揺るがすことになりかねません。

 解散という事態になれば、芸能界にも当然大きな影響を与えることになるでしょう。SMAPロス、「スマロス」になるんでしょうか(笑)。スマロスの影響は世間にとって計り知れないものになるでしょうが、人は忘れやすい動物です。SMAPが解散しても何年か経てば次々若いグループが出てきて、表向き関心がなくなるかもしれませんね。むしろ解散の最大のダメージは世間が芸能界に持つイメージが大きく変わることではないでしょうか。一般の人は芸能界に憧れる気持ちがある反面、近寄れないイメージを持っていると思いますが、憧れの部分がより薄れてしまう気がしています。芸能界は夢を売る商売ですから、現実に即してなくてもやはり夢を売っていかなかければいけません。世間に夢を見させることは、芸能界でエンターテインメントの番組を作っている人間にとっては非常に大事なことです。だからこそ一番大事な要素の夢の部分が、ゴタゴタしていてメンバーの意図とは裏腹に別れてしまったなどと、まるで韓国の芸能界であったような話を見せてはいけないんです。

 あくまで私の希望ですが、SMAP存続の落としどころを模索するなら、中居正広に代表として記者会見に出てきてほしい。たとえ裏に彼等を操るマネジメント側がいたとしても、木村拓哉がジャニーズに残って他の4人が独立したとしても、中居君が「いろいろご心配ご迷惑をお掛けしました。でもSMAPはこれからも輝き続けるような存在でありたい。SMAPは解散しません、俺たち5人は変わらない」と言ってくれればいい。それだけのメッセージさえあればファンは絶対逃げません。何ならマネジメント側の意向をひっくり返して「俺がしゃべる。YouTubeに俺のコメントをアップします」なんて言ってくれれば、今度はジャニーズ事務所 対 1億2000万人の構図になるかもしれない。事務所を超えて一本立ちしたタレントが自分の言葉で話してくれることを、日本のファンは求めているんじゃないかと思いますね。

 それに今は誰でもインターネットを利用して何らかの主義主張が出来るわけですから、日本の芸能界がこれほど成熟したという姿を見せるいい機会になるかもしれない。つまり最大のピンチを最大のチャンスに変えるきっかけになるんです。SMAPは全盛期の人気からは右肩下がりになったと口悪く言う人がいるかもしれませんが、中居君の言葉が一気にひっくり返しますよ。やっぱりSMAPは嵐とはひと味違う、中居の男気は凄いと今まで興味がなかった人にも訴えかけられるかもしれません。彼らが大衆に夢を与えることの出来る数少ないスーパースターだから是非やってほしいんです。

 今回の騒動で今後のテレビは大きく変わるでしょう。私は大きく変わったらいいと思います。新たな番組を制作する可能性が出ることで、作り手の能力が問われるし、特定のプロダクションにおんぶにだっこの状態を変えられるチャンスを得たようなものだからです。出来る作り手は好機を感じているでしょうが、実現に移すには簡単ではないはずです。最近は作り手に批評家が多くなってしまったので、人の番組を批評ばかりせずに何とかしろよといいたい(笑)。テレビ業界も一見マイナスに思える出来事をプラスにしなければいけません。(聞き手、iRONNA編集部・松田穣)


☆かげやま・たかひこ☆
同志社女子大学情報メディア学科教授。1962年、岡山市生まれ。早大政治経済学部卒。毎日放送プロデューサーを経て現職。専門はメディアエンターテインメント論。そのほかに上方漫才大賞審査員、コンフィデンスアワード・ドラマ賞審査員、日本笑い学会理事なども務める。主な著書に「テレビのゆくえ」(世界思想社)「影山教授の教え子が泣きにくる。」(雇用開発センター)など多数。

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