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つづき 3:結果 環境変動が無い時、“変換効率”が高いほど動物の種数(図2A)は増える。しかしそれ以上に植物の種数が減少するため(図2B)、結果的に総種数は減少する(図2C)。好みの幅の狭いスペシャリストの寿命は変換効率が高くなると長くなるが、変換効率が更に高くなるとかえって短くなる(図3A)。一方、好みの幅の広いジェネラリストの寿命は変換効率が高くなるに従って長くなる(図3B)。 環境変動がない場合、エネルギー変換効率が高くなるほど動物種は効率よく生物量を増加させることができる。そのため、変換効率が高くなるほど動物種の平均寿命は長くなり(図3B)、系内の動物の種数も増加する(図2A)。動物の種数が増えることは、動物の生物量を支える植物種への捕食圧が高まることを意味する。その結果変換効率が良くなるほど植物の種数は減少し(図2B)、結果的に系全体の種数は減少する(図2C)。変換効率が良くなりすぎるとスペシャリストの寿命はかえって低下する(図3A)。この原因は現在調査中であるが、変換効率が高くなった時に動物による捕食圧が高くなることと関係すると思われる。スペシャリストは捕食できる餌の範囲が限られているため、変換効率が高くなり、餌を効率よく取り入れることができるようになっても、高い捕食圧に耐えられないのではないか。 一次生産量変動の影響は、変動の規模、エネルギー変換効率によって違う。エネルギー変換効率が低い場合には、ジェネラリストとスペシャリストの平均寿命に差は見られないが(図5A)、エネルギー変換効率が高い場合にはジェネラリストの方が長い平均寿命を持つ(図5B, C)。これは、一次生産量変動があった場合、1種あたりの餌の生物量はジェネラリストの方が多く、1種あたりの捕食者の生物量はジェネラリストの方が少ないことに起因していると思われる(図9)。この結果からはジェネラリストの方が一次生産量変動の影響を受けにくいと言える。 しかし、一次生産量変動がない場合からの相対的な変化で見た場合、つまりどちらが一次生産量変動の影響を受けやすいのか、という視点から見た場合、必ずしもそうとは言えない。変換効率が低い場合、一次生産量変動による平均寿命の変化の仕方には、ジェネラリストとスペシャリストの間で有意差がないこと(図7A)、変換効率が中程度の時、ジェネラリストの方がスペシャリストよりも平均寿命が長くなる傾向があることは平均寿命の絶対値で見た場合と同じである(図7B)。しかし、変換効率が高い場合には、一次生産量変動があるときはジェネラリストの方が相対的に寿命が短くなる(図7C)。 この結果はなぜもたらされるのか。一次生産量の変動が激しい場合の方が、ジェネラリストにとっては餌が多く、捕食者が少ないので(図8)、平均寿命が長くなりそうに思われる。実際にこの場合、ジェネラリストの定着率は増加している(図6)。にもかかわらず、長期間存続する種の割合は一次生産量変動がない場合に比べて著しく少なくなっている(図6)。この原因は、変動の規模が大きいシミュレーションにおいて、数千ステップに1回発生する、一次生産量が大きく減少するイベントと関係すると思われる。小規模の一次生産量変動は種の存続にそれほど大きな影響は与えないが(図4: 30000〜45000 stepまで、図5)、非常に大きく一次生産量が減少した時、動物の種数は大きく減少する(図4: 45000 step)。この時、ジェネラリストもスペシャリストも同様に被害を受ける。つまり、一次生産量の変動幅が大きい場合、種の性質に関係なく絶滅する。そのため、このような系においては、種の寿命は種の性質ではなく、一次生産量が大きく減少するイベントの頻度によって決められているのである。そのため、ジェネラリストとスペシャリストの平均寿命に差がなくなり、元々平均寿命の長かったジェネラリストの方が変動に敏感に見えるのである(図7C)。 5:まとめ
エネルギー変換効率が高くなると動物の種数が増え、植物の種数が減り、両者の合計の種数は減少する。 エネルギー変換効率が高くなるとジェネラリストの寿命が長くなる。 一次生産量変動があるとジェネラリストの定着率が増加する。しかし変動が激しい場合には長期間存続する種の割合が減少する。 平均寿命の絶対値で見た時には、ジェネラリストの方が変動環境下で絶滅しにくい場合が多い。しかし、相対的な寿命の減少率で見た時、特に変動幅が大きい場合にはジェネラリストの方が影響を受けやすい。 |
シンポジウム
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興味深いレポートですね。
生物の間引きで使えそうな感じがします。このような研究をなさっておられる研究者がいてほっとしました。
専門でないのでわからない点があります。もしおわかりでしたらご教示いただけますでしょうか?
Q:一般に生物は取り入れたエネルギーのうちの一部しか生物量の増加に使えないが、この“エネルギー変換効率” とありますが、生物量の増加とは、繁殖による個体の増加ということでシンプルに捉えていいのでしょうか?
Q.この変換効率は、スペシャリストほど高いと仮定する。
ということなので、まだ仮説の範疇ということで受け止めていいのでしょうか?
2009/10/12(月) 午後 5:19 [ たんたん ]
上記は仮説の域を出ていません。 同等の条件で観測することが、難しいです。 検証が実に難しい。 ですので応用的管理と言う方法をとることを推薦しています。
エネルギー変換率の大きな変換先は、子孫を残すエネルギーです。 生物の生涯エネルギーのほとんどは、子孫を残すエネルギーに変換されます。
間引きは難しいですよ。根絶を目的としていませんので、間引きしすぎてはいけないのです。 しかし、間引き量が少ないと、間引きに目的ができません。
よく言われる、個体数の数量を測定せよ。 そんなことは不可能なので、間引きをしながら、常時測定しながら、調整していくしかありません。
エゾジカは、当初の予定数では、絶滅になる数量を間引きしても、まったく、減りません。 それに、安全地帯で逃げ込みますので、そこでも間引きをやる必要が出てきています。当たり前ですが、安全地帯へ逃げるのは、当然ですが。
後、シカの間引きは、食用として、出回っていただきたいですね。 間引きで、無駄に殺しているみたいですし。 日本は食料があまっているわけでもありませんし。
2009/10/12(月) 午後 6:56 [ おみぞ ]
ご回答、ありがとうございます。
「生物の多様性の保全及び持続可能な利用」においてある程度確かな積算根拠や予想によってが提示されれば間引きも可能だと思いますが、都道府県が出す「特定鳥獣保護管理計画」は、国のダムの予算獲得のための投資対効果積算になる場合もあると思います。
(生息数とその推移については、コンサル企業への委託調査結果に基づくものだと推測します)
しかし、農林業への食害被害が深刻で、農作地保護柵等の対策をしても引き続き影響が大きいならば何らかの間引きも必要だと思います。
ただ、隣の家庭の繁殖計画がわからないように、ましてや他種の繁殖推移の推計など神のみぞ知る領域だと思います。今後、手探りの試行錯誤で都道府県単位ではなく生息エリア単位で「特定鳥獣保護管理計画」すべきだと思いますが、いかがでしょうか?
2009/10/12(月) 午後 8:43 [ たんたん ]
この仮説は、企業内のホワイトカラーの「職種経験」(スペシャリスト、ジェネラリスト)に置き換えて読んでみることもでき、大変興味深い資料でした。
2009/10/12(月) 午後 8:48 [ たんたん ]
生態学は、経済学にも応用できます。生態学は、被捕食、捕食の関係で成り立っています。最近は交差捕食といわれる、左右性もありますが。 人間も生態系の連鎖にも関与しています、人間がいなくなれば、違う生態系が形成されます。
ダムの問題はもっと根深い問題があります。ひとつは水利組合に敬意をはらって、水利権を買う。
生態学、保全生態学、応用生態学に確かな事などないです。ですので、応用的管理です。
やりながら、修正していくです。
間引きには、外来種駆除計画には、委託契約はそうですが、随時契約なら、ある程度のデータのぶれは少ないのですが、競争入札でやると、毎回業者がかわりますから、微妙にデータがぶればありますね。 環境省の予算で、やる場合はまだいいのですが、都道府県の予算ですと微妙ですね。コンサルト会社は関与しませんが。 ○○自然復興計画とかは、微妙ですね。 企画書があってなど。
2009/10/12(月) 午後 9:32 [ おみぞ ]
生息域単位ですから、シカ、サル、イノシシなら、可能ですが、都道府県を越えませんせんから、カワウなどは、無理です。 都道府県単位でとなります。 個体群が密集しているところでの間引きが、有効です。
鳥獣保護法 9条を参照してください。
2009/10/12(月) 午後 9:32 [ おみぞ ]
ダムの問題は、環境省ごときが、口を挟めるような問題ではありませんし。農省と建設省の問題でもあります。 すべての利害が複雑に絡み合った問題を含んでいます。
2009/10/12(月) 午後 10:21 [ おみぞ ]
Threatened – 「危惧」あるいは「絶滅のおそれのある状態」絶滅危惧には3種類あります
o Critically Endangered (CR)
「絶滅寸前」(絶滅危惧IA類)
o Endangered (EN)
「絶滅危機」(絶滅危惧IB類)
o Vulnerable (VU)
「危急」(絶滅危惧II類)
CRは人工心肺を回す必要があるほど、危篤状況です。ENは、1次救急で間に合います。
日本いCRは、それほどいません。最高でENですが。 種の混雑の問題は、EN種にとっては、もう遅い種もありますが。 漁業種の海底種は、本当に深刻かもしれません。 チョウセンハマグリ:日本在来種は、絶滅寸前かも。
2009/10/12(月) 午後 11:05 [ おみぞ ]
鳥獣の捕獲は、環境大臣か都道府県知事の許可に基づくのですね。
野生動物の生息数調査は、都道府県が大学や自然環境団体等の協力を得て目視、捕獲数など様々な観点から推計(ベイズ推定法)していることわかりました。(コンサル委託は、環境アセスメント時が多いと思います。訂正します。)
最終的には、別件でおみぞさんが仰っていたように資源(種)が枯渇するまで捕獲もしくは、生息域を狭めていくのかも。。。
生物多様性の実現には、相当時間がかかりそうですね。
2009/10/13(火) 午前 9:55 [ たんたん ]
環境アセメントも、大学、生態学系の理学博士号を持ったものが多く、関与していますし(業種として、ほとんどが行政依頼ですが)。環境アセメントは、0か1かではなく、不明数量が絶滅にまでなるかどうかを、調査します。 超ミクロでみれば、部分的に絶滅の可能性がある場合もありますが。そこにしか生息していない、移動が困難な種の場合は、難しい判断となりますね。
農林水産省管轄は、難しいですよ、消費者がの問題が絡んでいますからね。 経済そのものです。 海洋生物は、群体変動がおこりますから、搾取量がたえず変動しなければいけないのですが、 漁獲量設定(TAC)が一定だったりしますし。 知事が決める事になっていますし。 生態系は、よくしたもので、ひとつの種が減れば、競合、関連する種が増える、その逆も、 水田が減少すれば、そこを生息地としていたものが増える、その逆もあります。 自然感なんて、人間の価値観でしかないのですが。、
2009/10/13(火) 午前 10:45 [ おみぞ ]
里山も人工形態ですし。人がいなくなれば、別の自然形態に変わっていきます。 どの過去の時間の生態系を維持したいのか?。 という、難しい問題がありますが。 1960年以前の西日本の山は禿山でしたし。 日本の森林量は、輸入木材と化石燃料で持続しているともいえます。
2009/10/13(火) 午前 10:46 [ おみぞ ]
利水でのダムの問題は水利権の売買を認めることですし。水田が減れば、最大の用水である農業用水が減ることになります。水田とダムは切れない存在です。難しいでしょ。
2009/10/14(水) 午前 0:08 [ おみぞ ]