日々悩んでおります。

Quid enim stultius quam incerta pro certis habere, falsa pro ver

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宮原正典氏 「まぐろを巡る国際問題」




諸先輩方を差し置いて、こういう席で、特にこんな綺麗な会場で話させて頂くというのは中々無い経験でございまして、ちょっと脚も竦む思いでございますが、長年仕事をさせて頂く中で、私にとりましては先生でもあります鈴木さんが近々退官されると聞き、喜んでお引き受けしました。私は1990 年からマグロの仕事をするようになりました。最初に行った国際会議で一緒させて頂いたのが鈴木さんで、メバチはメバチマグロとは言わない、マグロはつけるな、
という基礎から教えて頂いた覚えがございます。心より感謝をしている次第です。
巧い事に前の方々が何を話されたかが良く理解できる位置で話ができます。自分が持ってきた材料も重なってい
る所がありますので、そういう所はできるだけ飛ばしながら、今、端的に感じている所を話したいと思います。



図は、2002 年の各漁場のウェイトで、どの漁場がどういう重みを持っているかを示したものです。大西洋は、地
中海を含めても30 万トンちょっと越える程度です。それに比べて、西太平洋は84 万トンもの漁獲量を占めていま
す。太平洋は、非常に大きいウェイトを占めています。広さからいっても太平洋は圧倒的に広い所です

図は漁船の数です。それぞれソースが違うので比較しづらい所がありますが、漁船の数は、古くから漁業の開発が
ある大西洋が3000 隻ぐらい、開発途上にある中西部太平洋が6700 隻余りです。非常に大きな数の漁船が投入されていることがわかります。太平洋の東側は、長い事IATTCという漁業機関が、特にまき網を中心に漁船数をコントロールしています。必ずしも成功しているとは言えませんが、それでもある程度の隻数になっています。インド洋の
漁船隻数はまだまだ大型に限られていますが、大変少ない状況にあります。

図3 は、日本市場のウェイトです。OPRT から頂いたものです。カツオを除いていますので少し注意が必要ですが、
日本は1/3 のウェイトを占める市場です。


􀁺 国連海洋法条約(UNCLOS)第64条
(高度回遊性魚種の資源保存)
関係沿岸国、漁業国の協力義務
􀁺 WCPFCの設立(2005年12月)
→ 世界の全ての水域に協力の枠組:
地域漁業管理機関(RFMO)が完成


これは地域漁業機関を示したものです。今、よく国際管理、国際管理と言いますが、どう取り組んで来て
いるのでしょうか。基本となる国際条約に海洋法第64条というのがありますが、見て頂きたいのは、国際管
理の基本となる条項ですら単に協力の義務だけです。
沿岸国の主権的権利は他の魚種と同様に認められていて、沿岸国は捕る、捕らせる権利を持っています。た
だ自分達だけでは管理も完璧に出来ないため協力しなければなりません。ただ協力をしなさいと書いてある
だけなのです。協力をする為の機関として、地域漁業管理機関を作りなさいという事です。先程の漁場、漁
獲、漁船数からいっても圧倒的に大きなウェイトを占めている中西部太平洋に、ようやく、2005 年12 月にWCPFC が出来ました。これで地域管理機関が世界中に全部できたという事です。

世界の地域漁業機関を見ると、大西洋のICCAT は地中海も含めた国際機関です。太平洋の東側がIATTC、インド洋がIOTC、ミナミマグロがCCSBT で、ミナミマグロ単独の魚種についての一つ委員会です。それと、一番新しい生まれたばかりのWCPFC です。こうやって見ると、管理機構がしっかり出来ているように見えますが、性格はかなり違います。大西洋のまぐろ類保存国際委員会ICCAT は、1969 年に出来た地中海も含む機関です。1969 年ですから、200 海里になる前からある機関です。一番古いATTC(1950 年)も200 海里にな
る前の機関です。IATTC はどちらかというと、缶詰生産中心だった時代に出来上がったもので、生産調整という
色合いが強い機関です。ICCAT が200 海里になっても200海里内外を問わずまぐろの管理に非常に大きい役割を果たせた理由として、地中海が200 海里で分割されなかった、大きな漁場である地中海が分割されなかった、アメリカも高度回遊魚については管轄権を当初主張せず国際管理主体でやれという非常に稀な国であったということで
す。日本とアメリカだけが国際管理主体の主張を当時していましたが、70 年代から80 年代にかけてアメリカという国が、200 海里で自分達だけで勝手に管理するよという事を言わない珍しい国だった、という事です。IATTC についても同様です。つまり、これらの機関が生産調整からスタートしていますので、沿岸国の勝手バラバラなことを抑え、200 海里に関係なく国際的管理措置をきちっと執るという伝統というか、そういう性格を非常に色濃く持っている機関
という訳です。今でも管理措置によりTAC をセットする場合は、200 海里内外に係わらずセットし、それを国別に分けていくという手法を執ります。

IOTC とCCSBT の二つの委員会は1990 年代に出来ましたが、この頃に丁度平行して、FAOに行かれた野村さんがかなり苦労して作られたUN フィシャリーアグリメント、高度回遊魚とストラドリングストップに関する国連協定、というのがありますが、それが出来る前に出来た協定です。この二つについては、200 海里をかなり意識した協定で、UNIA と呼ばれています。
IOTC もCCSBT もUNIA 成立前に滑り込みで作られました。例えば、予防的措置とか、或いは生態的なアプローチとか、環境保護色が強い考え方がまだ完全に入り込んでいないものです。ところが、WCPFC は2000 年近くになって交渉が終了した、90 年代の終わりに交渉してUNIAが出来た後で出来た協定なので、UNIA の影響を非常に強く受けています。UNIA の影響で一番大きいのは、UNIA の交渉の原動力になったカナダとか、アルゼンチンとか、要するに200海里の内外にわたって沿岸国の主張を強くしたいという国々と、漁業にちゃんと参加できるようにさせろという非常に強い途上国の欲望、この沿岸国の権限強化と途上国の権利の主張というのが大きな特徴です。これを色濃く繁栄してきているのがWCPFC で、ミナミマグロは特殊なので除きますと、これら4つの国際機関は、それぞれ少しずつ性格や生い立ちややっている事が違うという事です。もっとも、管理措置が一番進んでいるのはICCAT で、ここでは委員会がかなり強引に200 海里内外の管理措置を決めてきています。他方、もう一方の極をなす、
先週終わったばかりのWCPFC は、いよいよ本格的な管理措置を作り、一生懸命追いつこうとしている段階にあるのですが、すでに沿岸国の権利主張が色濃く出てきています􀁺

国連海
これは、漁獲量の伸びを示したものです。キハダは、1960 年代からとんでもないスピードで増えております。キハダについては、いまだに続いているという状況です。こんな状態ですので、キハダは放っておいても沸いてくる、余り気にしなくて獲り続けても大丈夫、と言われていた資源ですが、いよいよ天井に近付いたという感じが
どの水域についても見られます。

これは、最近の資源状況です。今年の会議で、西部太平洋のキハダについても危なくなって来たという赤ラン
プがつきました。今獲っている量がMSY を超えているので減らせ、という科学勧告が出ました。太平洋の東西
で赤ランプが付いたということです。


これはメバチです。メバチも'80 年代後半からぐいぐい伸びました。特に、まき網漁船がFADs(浮き漁礁)を
使うようになり、小さいメバチをたくさん獲るようになって、'90 年代後半からジャンプアップするように増えて
います。一つには、東部太平洋でイルカ付きを規制しすぎたため他の水域で獲り始めたのと、FADs を使う操業
をたくさんするようになったこと、大西洋で資源を獲り尽くしたスペイン船団がインド洋に出ていった時、FADs
操業をやり出したというような事によります。そういう時代背景を持って、メバチ漁獲は段々膨れ上がっていま
す。勿論、台湾のメバチを狙った操業の増大というのも、'90 年代に大きく見られた現象だろうと思います。


ただ、大西洋のメバチは、最近、幸か不幸か日本の漁獲がぐっと減ったお陰で全体の漁獲量が減り、なんとか底止まりしたという現状です。かなり厳しい管理措置を執り、今年は台湾に制裁を執りましたので、メバチについては何とかここから回復して欲しいと思っております。大西洋は何とか手が打てる状況ですが、他の3つについては、大変危ない状態にあります。まき網に対する効果的な措置を執るのと、はえ縄漁船団に対して獲っている漁獲割り当てをきちっと守らせるという事が本当に出来るかどうかに掛かっています。



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