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──三宅さんは、蓄養マグロにもかなり詳しいと伺っていますが。 三宅さん 最初から、業者の相談を受けたりしていましたから、いままでの蓄養の歴史をずっとみています。蓄養の歴史をたどれば、1960年代にカナダの北東部で定置で漁獲されたクロマグロを日本の資材業者が蓄養したのが最初です。1970年代の後半には地中海で産卵を終えたやせたクロマグロ(通称!らっきょ"と呼ぶ)を漁獲して蓄養することに同じ資材業者が成功しました。1980年代になると豪州でミナミマグロを丸い巾着網のイケスで蓄養するようになり大幅に効率がアップし、それが地中海にもたらされ、一気に広まりました。いまでは、スペイン、イタリア、クロアチア、マルタ、そして2001年にトルコが参入し、リビアやチュニジアもはじめ、キプロス、レバノン、イ スラエルもいま生産に興味を示しています。 ──地中海の生産が2万#を超え、昨年は大暴落しました。 三宅さん 高く売れるから、各国が競って生産に参入し、日本の企業もそれを推し進め、暴落という状況をもたらしましたね。そうした行為は、資源にも大きな影響を与えており、わたしはいまの状況を非常に懸念しています。 ──といいますと。 三宅さん 第一の問題は、誰がいつ何処でどれだけ漁獲したかがわからないからです。蓄養して大きくなり出荷される量はわかりますが、入り口にどんなサイズのマグロがどれだけ獲られ、その間にどれだけ死んだのかなどの情報がさっぱりわからない。実際、出荷量から逆算した実際の漁獲はクオーター(割当量)を遙かに超えているから、問題は深刻 です。要するに、蓄養の一部は、管理の枠をくぐりぬけて生産されているマグロです。誰かが違反操業しているわけです。こうしたブラックボックスがあると、資源評価はできません。気がついた時には、クロマグロが獲れなくなってしまうという状況にもなりかねないのです。 ──蓄養マグロの生産が直接資源に圧力をかけているということです か。 三宅さん 産卵を終えたやせたマグロを蓄養して細々と出荷している分には、問題ありませんでした。しかし、これだけ生産量が増えると、それでは足りない。小さいマグロを漁獲しなければ追いつかない。従って、中小型のマグロへの漁獲圧力が増加する。それは、資源保存上大きな問題です。更に蓄養の環境への影響を懸念する声も強く出ており、環境団体は蓄養の全面禁止を求めております。 ──ICCATでもそうした指摘が昨年出され、蓄養にもポジティブ
リスト方式を導入することを決めましたが。 三宅さん ほとんどの国がその問題の大きさを懸念しています。地中海という産卵場での蓄養の拡大がもたらす意味は、はかりしれません。そして、蓄養マグロの大市場となっている日本に対してICCATから、日本の企業などが蓄養を関係国にあおらないように求める勧告が行われました。先日、川口順子外務大臣に書簡が届いたところです。これは、蓄養の問題は、日本の責任でもあるということを明確にしているのであり、食べている人を含め、日本国民に対しての勧告でもあります。もちろん、市場国だけの責任ではありません。 生産している国の責任が大きい。市場国も生産国もいまの状態が続けば、本当にマグロ資源に大きな打撃を与えてしまうと認識すべきです。他のマグロも含めた刺身マグロ全体の生産量からみれば蓄養はほんの一部ですが、その数量以上のインパクトがあり、世界のマグロ需給のバランスさえも崩そうとしています。そのことをもっと強く認識しないといけません。 |
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