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ムンプスは現在『任意接種』。そして接種率は20−30%。 2008年1月14日放送 企画協力:社団法人 日本病院薬剤師会 提 供:万有製薬 流行性耳下腺炎・ムンプス 国立感染症研究所感染情報センター 室長 多屋 馨子 ●軽く考えてはいけない「おたふくかぜ」の合併症● 今日は、流行性耳下腺炎のお話をさせていただきます。流行性耳下腺炎はみなさんよくご存じのように、おたふくかぜあるいはムンプスといった呼び名で呼ばれることが多いウイルス性の感染症です。ムンプスウイルスに感染すると2〜3週間程度(平均18日前後)の潜伏期をおいて発症します。どのような症状を示すかといいますと、片側あるいは両側の耳下腺あるいは顎下腺が腫れます。顔が腫れる様子から、おたふくかぜといった名前で呼ばれます。通常は1〜2週間もすれば治ってしまうということが多いのですが、おたふくかぜには合併症があります。 合併症のなかで一番多いのは、髄膜炎です。髄膜炎は流行性耳下腺炎を発症すると8%あるいは10%程度の人が合併するといわれている比較的多い合併症の一つです。流行性耳下腺炎に合併する髄膜炎は男の子に比較的多く、年齢では4〜5歳、幼稚園世代のお子さんがよくかかる病気です。これは流行性耳下腺炎自体が4〜5歳のお子さんに最も多いということも関連しています。また、この病気が思春期以降の男性に発症すると、睾丸炎という合併症を起こすことがあります。なかには、疼痛が激しく、入院される成人男性もいらっしゃるということを忘れてはなりません。また、女性の場合は、卵巣炎という合併症もあります。睾丸炎の合併頻度は思春期以降であれば約20〜30%、卵巣炎は約7%に合併するといわれています。また、そのほかに膵炎を起こす場合もあります。 もう一つ忘れてはならない合併症の一つとして難聴があります。これまで流行性耳下腺炎に合併する難聴は、発症された患者さん2万人に一人くらいではないかといわれていましたが、大阪の小児科医会の先生方を中心にした研究によって、千人に一人くらいの割合で、おたふくかぜによる難聴を合併しているのではないかということがわかってきました。大阪小児科医会の先生方はこの調査結果を受け、ポスターをつくられています。そのポスターを読むと、「おたふくかぜなんて大したことのない病気と思っていました…自分の子どもの耳が聞こえなくなるまでは」という言葉が書かれています。 ●流行性耳下腺炎の予防には予防接種以外方法がない● それでは、流行性耳下腺炎を予防するにはどうしたらいいのでしょうか。流行性耳下腺炎の予防には予防接種を受ける以外方法がありません。流行性耳下腺炎を発症してしまうと特異的な治療法がないので、対症療法のみで治るのを待つことになります。一方、1歳以上になりますと予防接種を受けることができます。おたふくかぜワクチンの副反応には髄膜炎がありますが、その頻度はかかってしまったときに比べると非常に低いといわれています。ワクチンで髄膜炎を合併する割合は、約千人から2千人に一人くらいといわれています。 保育園に通っている子どもたちの中で、おたふくかぜにかかったことがある人がどれくらいいるのか、またおたふくかぜのワクチンをどのくらいの人が受けているのかを、都内のある保育園、1万人規模で調査をさせていただきました。その結果、はしかや風疹といった定期予防接種、いわゆる国が強く受けてくださいとお勧めをしている定期予防接種対象のワクチン接種率が8〜9割と高いのに比べ、おたふくかぜワクチンは任意接種であるために、接種率は2割程度しかありませんでした。保育園を卒園することには、2〜3割の子どもたちがおたふくかぜにかかってしまっているようです。また、お子さんがかかると、お父さんやお母さん、兄弟姉妹が免疫を持っていない場合かかってしまいます。おたふくかぜはウイルスに感染しても発症しない、いわゆる不顕性感染が3割程度あるといわれていますが、大人の方でも免疫を持っていない方は比較的多くいらっしゃいます。大人になってからかかると、先ほどお話したような子どもでは起こらない合併症もあり、高熱が1週間程度続いたり、食べたり飲んだりすることがつらくなったりする場合があり、仕事を休む必要が出てきます。なかには入院される方もいらっしゃるということを忘れてはいけないと思います。 一方海外では、多くの先進国がMMRワクチン(はしかと風疹とおたふくかぜの混合ワクチン)を定期の予防接種として2回接種していることが多いので、おたふくかぜの患者さんはどんどん減ってきています。ところが、日本ではまだまだ患者さんがたくさん発生しています。おたふくかぜは感染症法に基づいて、全国にある約3千カ所の小児科の医療機関から毎週患者数が報告されています。その結果をみると、2007年は比較的患者数は少ない年ですが、数年に1回は大規模な流行が起こっています。たとえば、はしかの患者さんと比較してみますと、2001年に、はしか輸出国といってメディアで多く報道されたときの報告数が3万人程度でした。一方、おたふくかぜは毎年数万人から多い年では20万人程度、全国約3千カ所の小児科医療機関から報告されてきています。全国では、この数倍から10倍程度患者さんが発生していると考えられています。 流行性耳下腺炎は予防接種で予防することができる病気です。かかってしまうことによって合併症を起こす頻度は比較的高く、任意接種という枠組みではありますが、できれば予防接種で予防をしておきたい病気の一つと考えています。特に、4〜5歳の患者さんが一番多いので、保育園や幼稚園といった集団生活に入る前に予防接種を受けて予防しておくことがお勧めと思っています。決して子どもの軽い病気ではありません。大人もかかります。入院する方もいらっしゃいます。ぜひ予防を考えてほしいと願っております。 感受性者(今までに、感染又はワクチン未接種、2回接種で、抗体を獲ていない、曝露したら感染・発症する人)がたくさんいるとかんがえられます。 2001年全国調査によると、 国内でムンプスの自然感染に合併する急性高度難聴は年間推計650名前後とのことです。 ムンプス難聴 ムンプス難聴について (Vol.24 p 107-107) ムンプスウイルスは、 「流行性耳下腺炎」、 「おたふくかぜ」の原因ウイルスとして知られているが、 multitropicであるため広く全身の臓器に感染する。中でも、 唾液腺、 膵臓、 睾丸などの腺組織や髄膜、 内耳などの中枢神経系には感染を生じやすい。ここではムンプスウイルスの内耳感染によって生じるムンプス難聴について概説する。 ムンプス難聴は http://idsc.nih.go.jp/iasr/24/279/graph/dt27931.gif 表1 に示すとおり、 一側性に、 急性発症を生じ、 聴力損失は重症のことが多く、 改善しにくいなどの特徴がある。発症年齢は15歳以下が多く、 なかでも5〜9歳に多いと報告されているが(1, 2)、 一側性の発症が多いため、 症状を十分に訴えられない幼少児では、 見落とされている可能性もある。確実例は、 ムンプス発症、 すなわち耳下腺または顎下腺の腫脹の4日前より腫脹後18日以内に発症する急性高度難聴とされるが .
診断基準は本号6ページ表2参照
一般にムンプス難聴は一側性の発症が多いとされるが、 両側性の発症が極めて稀というわけではなく、 全ムンプス難聴症例の14.5%とする報告例もある(3)。人工内耳は一側性の難聴では適応にならず、 両側性の高度感音性難聴または聾の症例がその適応となるためムンプス難聴例での人工内耳の適応は少ないといえるが、 当科ではムンプス難聴両側聾を1例経験し、 人工内耳挿入術を施行した。、 唾液腺の腫脹なしに難聴が発症することもあり、 ムンプス難聴と診断するにはムンプス特異的IgM抗体価の有意な上昇が必要である。随伴症状として、 耳鳴り、 めまいを伴なうことがあり、 めまい症状は小児では少ないが、 成人では発症しやすい。また、 聴力障害が治癒しにくいのに対して、 めまいの予後は良好で2カ月以内には軽快することが多い。ムンプス罹患時の悪心、 嘔吐は髄膜炎による症状と考えられがちだが、 内耳障害後のめまいによる可能性も考えられる。 ムンプス難聴の発生頻度は、 Nelson教科書の記載(4)などをもとにムンプス患者1万5千人に1人といわれている。日本においては1年間に100万〜200万人がムンプスに罹患するといわれているので、 計算上は1年間に70〜140人のムンプス難聴が発生していることになる。しかしながら、 最近の報告を参考にすると、 母集団が小さく局所的な調査ではあるが、 200〜 400人のムンプス患者に対して1人の難聴発生が報告されており(5, 6)、 その発生頻度は決して低くないようである。また、 耳鼻咽喉科においては比較的多い疾患である突発性難聴として診断された症例のムンプス特異的IgM抗体価の陽性頻度を検討して、 突発性難聴の約5〜7%はムンプスによる不顕性感染の可能性があることが示唆されている(7)ため、 これらのことを考慮しても、 実際のムンプス難聴の発生頻度は低くないと考えられる。おたふくかぜワクチンによる抗体陽転率は約95%といわれ、 維持率もよいためワクチン接種はムンプス難聴の予防に対しても非常に重要であると考える。 |
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「たかが片耳が聞こえないくらいで・・」とムンプス難聴が発症した時にかかりつけの耳鼻科医に言われましたが、実際はかなり生活の不便があるので、是非注意喚起して戴きたいですね。
私は「ムンプス難聴のお部屋」の資料室を作っています。
http://www.geocities.jp/mumps_deafness/
2010/4/29(木) 午後 2:54 [ bloom@花咲く小径 ]
bloom さん
耳鼻咽喉科の医師は、慰めより、前向き的なムンテラーをしたようです。 小児科の医師の様に親御さんの扱いは難しいかもしれません。
治療法は非常に難しく、改善はあまり望めないのが現状ですし。
不顕性感染での永久難聴も多いのでは、とも思っています。
ムンプスのワクチンを受けるには、MRと別になりますから、2回の針刺しがあるわけですし。
なとか、MMRにしたいところであります。
2010/4/29(木) 午後 4:07 [ omizo1960 ]
>慰めより、前向き的なムンテラー
・・とは全く思っていません。
「別の医療機関で詳細な検査を受けたい」と言ったら「治らないのに、何の意味がある?」と子供の前で言われました。
しかし、県のこども病院や医療センターでは脳腫瘍や聴神経腫瘍の可能性を否定するための検査も勧められたし、神尾記念病院では「滲出性中耳炎の処置を満足にしなかった形跡がある」と言われました。
脳腫瘍や聴神経腫瘍が発見されたらどう責任を取るつもりだったのでしょうか?
以前から3分診療どころか10秒診療だったのですが、近所に耳鼻科医が無かったのでしょうがなく通っていたところでした。
説明の丁寧な耳鼻科医が近くに出来たらあっという間に患者が減り、潰れればいいのに・・と思っています。
2010/4/30(金) 午後 2:02 [ bloom@花咲く小径 ]
>不顕性感染での永久難聴も多い
実際、「突発性難聴で受診した大人の血清を調べたところ、一定の集団でムンプスの感染直後に相当する抗体価の上昇が見られた」という論文を読んだことがあります。
娘1号も症状は出なかったのに抗体は持っているので、不顕性感染は子供世代でも多いのではないかと考えています。
2010/4/30(金) 午後 2:04 [ bloom@花咲く小径 ]
>「別の医療機関で詳細な検査を受けたい」と言ったら「治らないのに、何の意味がある?」と子供の前で言われました。
これは、ムンテラーとは、呼べないです。子供の前で、言う事ではありません。
確かに、つぶれてもデスガ・・・。
耳鼻咽喉科、実はどことも、1分診療でしょうね。 患者おおいですからね。
>「滲出性中耳炎の処置を満足にしなかった形跡がある」
この辺は、少しわかりませんが、滲出性中耳炎の治療法は、いろいろ議論があるところでもあります。
予防接種も、ムンプス難聴は、予防がある程度見込まれるので、MMRができる様にしたいです。 星野株でも、少数ですが、難聴、ウイルス性髄膜炎、脳炎、脊髄炎の問題もどうしてもありうる事でもあるのですが、生ワクチンの宿命的な。
2010/4/30(金) 午後 3:24 [ おみぞ ]