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私立中高一貫校で35人が結核に集団感染 複数の医療機関が見逃す 2010.3.8 16:37 産経ニュース 都によると、昨年4月に結核と診断され入院した中学2年の生徒と1年時に同じクラスだった男子生徒が同年6月ごろからせきや発熱の症状を訴え、計4カ所の医療機関を受診。ところが、いずれも結核と診断されず登校を継続し、同年11月にようやく結核と判明した。 男子生徒との接触者の健康診断を実施したところ、この2人を含む同校の中高生30人と教員5人の計35人の感染が確認された。うち9人が発病しており、とくに男子生徒は症状が重く3月8日現在も入院中。 都は「誤診した医療機関は猛省してほしい。レントゲンを撮れば結核だと分かるのに、いずれも問診だけで済ませていた」としている。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ ニュースの一部に「誤診した医療機関」という言葉と、「レントゲンを撮れば結核だとわかるのに」という記載がありました。 こういった「言葉」がさらに医療機関が「胸部レントゲン」を撮影することを遠ざけているということが わからないようでは、今後もこのような症例が増加してくのではないかとさいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者は危惧いたしております。 それはどういうことか? おそらく、医師の多くは、「2週間以上咳症状がつづけば『結核』を疑う!」ということは「常識」としてインプットされているかと思います。 しかし、胸部レントゲンを撮影して、自分が万が一所見を「見逃し」したら、それこそ「大問題」になりかねません。 「胸部レントゲン写真」は文字どおり「証拠写真」として残り、訴訟となれば裁判の「ネタ」にされかねません。 こうなると、自己防衛としては、なるべく「胸部レントゲン」を撮影しないという方法をとらざる終えない医療機関・医療従事者もあるかと思います。 名づけて「見逃し怖くてレントゲン撮れない症候群・・・」です しかし、そのような風潮でよいのか? さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者はそのような寂しい状況を「仕方がない」と諦めてしまうのもどうかと思います。 どのようにすれば胸部レントゲン読影の「見逃し」をすくなくすることができるのか?という点に着目するべきかと思います。 有名な胸部画像のスペシャリストの先生でも、100%「見逃さない」読影というのは困難であるとお聞きしたことがあります。 さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者だって、もちろん「見逃し」を絶対にしないなどという自信は全くもってアリマセン(自慢することではありませんが。。。) でも、いろいろな方法で「見逃し」を減らす「努力」はしております。 一、レントゲンはなるべく複数で読影する 二、可能な限り過去に撮影されたレントゲンと比較読影する 三、他に頼れる医師がいない場合には、一日(もしくは一週間)に撮影されたレントゲンを集めて、あとで再読影する 以上です。 「一」については、診療所の先生方のなかには「うちはひとりでやっているんだからだれにも頼れないよ・・・」ということで、なかなか実現難しいかもしれません。 しかし、「二」や「三」の方法は、どの医療機関でも実現可能かと思われます。 とくに「二」については、「過去」に比較する画像がなくても「未来」に比較する画像を撮ることはできるかと思います。症状がよくなければ、数週間〜数ヶ月後の「未来」に再度胸部レントゲンを撮影して比較するのです。「結核」などの炎症性疾患であれば「未来」に撮影した画像と、「過去」の画像との比較で「違い」を指摘可能なこともありえます。 忙しい外来診療の最中に、胸部レントゲンを撮影して、患者さんから「どうですか?」と急かされて読影した結果が「100%」の結果をだせなくてもある意味「当然」なのではないかと思っております。 だからこそ、その日(もしくはその週)に撮影された画像を、後にゆったりとした時間のなかで「再読影」することの意義はとても大きいのではないかと思います。 こんな考え方を教わった胸部画像の尊敬する先生の御本を下記にご紹介させていただきます。 まあ、「レントゲン撮れば結核とわかる」かというと、実はそんなに簡単な訳は無い!とブログ作者は思っております。 時間がたって、「典型的」な所見がでれば「肺結核」と予想できるかもしれませんが、初期の画像変化を見抜けるかどうかはそれこそ「神業」なのかもしれません。 そりゃあ「6ヶ月」も経過した結核なら見逃しにくいかもしれませんが・・・ もちろん、「見逃し怖くてレントゲン撮れない症候群・・・」だけが診断の遅れとは考えておりません。 胸部レントゲンで「肺結核」を「疑う」ことはできても「確定診断」にはゼッタイにならないからです! 「肺結核」の診断は、「喀痰」や「胃液」などの呼吸器由来検体からの「結核菌の証明」が必要だからです。 いくら「胸部レントゲン」で「肺結核っぽい・・・」と言っても、それはあくまで「っぽい」だけで「確定診断」ではありません!! なので、胸部レントゲンを撮影しなくても、臨床症状から「肺結核」を疑い、喀痰抗酸菌検査で「結核」と診断することは理論上可能なのです。 気管支結核なんかは、胸部レントゲン「正常」に見えて、喀痰からのみ結核菌が証明されるなんてこともありますからね。 もちろん「胸部レントゲン」を撮影することが「肺結核診断」につながる可能性を否定するものでもありません。 今回さいたま赤十字病院呼吸器内科ブログ作者が提唱させていただいた「見逃し怖くてレントゲン撮れない症候群・・・」。 これも、現代医療の「歪み」の一つなのかなあ?と想う次第です。。。 皆様のご意見をコメント欄にいただけましたら幸いです。
投稿者 呼吸器内科 時刻: 23:41:00 |
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2010年03月11日
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