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Quid enim stultius quam incerta pro certis habere, falsa pro ver

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ターゲットタンパク研究プログラム発プレスリリース

大阪大学/石井健先生のグループの研究

−大阪大学の石井健先生の研究グループは、3種類のインフルエンザワクチン(弱毒化生ワクチン、不活化全粒子ワクチン、不活化スプリットワクチン)につき、免疫細胞の3種類のセンサー受容体(TLR7、IPS-1、ACS)をそれぞれ欠損したマウスを用いて、その効果を比較しました。その結果、生ワクチン、不活化全粒子ワクチンにはTLR7を特異的に活性化する内因性のアジュバント(免疫賦活剤)成分があることを、その一方で、スプリットワクチンでは自然免疫の活性化がほとんど見られず、効果も低いことを解明した。さらに、不活化全粒子ワクチンでは形質細胞様樹状細胞がTLR7を多く有しており、抗ウイルス作用を持つI型インターフェロン子を産生することによってワクチンの効果が誘導されていることも明らかにした。

課題 自然免疫システムにおける病原体認識に関わる分子群の構造解析(代表研究者:審良静男)

リリース 大阪大学発表 (2010年3月31日)
「インフルエンザワクチンはどのようにして働くのか−形質細胞様樹状細胞が担当する自然免疫反応の重要性を解明」
報道 Business Week、日本経済新聞、産経新聞などで報道されました。
論文 Science Translational Medicine, March 31, 2010.
Plasmacytoid Dendritic Cells Delineate Immunogenicity of Influenza Vaccine Subtypes
Shohei Koyama, Taiki Aoshi, Takeshi Tanimoto, Yutaro Kumagai, Kouji Kobiyama, Takahiro Tougan, Kazuo Sakurai, Cevayir Coban, Toshihiro Horii, Shizuo Akira, and Ken J. Ishii.
Laboratory of Host Defense, WPI Immunology Frontier Research Center, Osaka University, Suita, Osaka 565-0871, Japan.


プレスリリース

2010年3月31日

大阪大学免疫学フロンテイア研究センター

インフルエンザワクチンはどのようにして働くのか
−形質細胞様樹状細胞が担当する自然免疫反応の重要性を解明

発表論文名
“Plasmacytoid Dendritic Cells Delineate Immunogenicity of Influenza Vaccine Subtypes”
(インフルエンザワクチンの作用機序における形質細胞様樹状細胞の役割)

発表論文の雑誌名
Science Translational Medicine 2010年3月31日号

発表論文の著者
筆頭著者;
小山正平(こやましょうへい)東北大学病院呼吸器内科・研究員
責任著者;
石井健(いしいけん)
(独)医薬基盤研究所・アジュバント開発プロジェクトリーダー、大阪大学免疫学フロンテイア研究センター・ワクチン学・主任研究者(招聘教授)
審良静男(あきらしずお)
大阪大学免疫学フロンテイア研究センター・拠点長


研究の背景と経緯

生体には、外部から侵入する病原微生物などを自身の組織と見分けて認識し排除する自然免疫というシステムがあります。自然免疫システムには様々な免疫担当細胞があり、いろいろなタイプの病原体成分を見分けることのできるセンサー(受容体、たとえばトル様受容体)を備えています。そのなかでもとくに樹状細胞といわれる特殊な細胞はその機能にもっとも長けていて、感染に対する自然免疫反応を誘導するだけでなく、獲得免疫システムといわれる次の段階の免疫細胞、たとえば免疫の記憶を担当するT細胞や抗体を作りだすB細胞などに伝えることが知られています。
この自然免疫から獲得免疫という免疫のシステムはワクチンでも同様に作用しているのですが、病原体の感染の際に起こる免疫反応と、どこが似ていて、どこが違うのかあまりはっきり研究がなされていませんでした。アジュバントといわれるワクチンの添加剤が自然免疫システムを活性化することがわかってきたのも最近のことです。逆にそのアジュバント成分がないとワクチンはきちんとその効果を発揮しないことも最近の研究で明らかになってきました。
インフルエンザワクチンはその形態によって弱毒化生ワクチン、不活化全粒子ワクチン、不活化スプリットワクチンの3種類に分類することができます。弱毒化生ワクチンは米国のみで認可されており、日本では不活化スプリットワクチンのみが使用されています。全粒子ワクチンは1970年代まで日本でも使用されていましたが、発熱などの副反応が問題視され、副反応の尐ないとされるスプリットワクチンに移行しました。ただ、スプリットワクチンの有効性は低いことも指摘されており、最近のH5N1鳥インフルエンザウイルスに対応したプレパンデミックワクチンの開発は、有効性を高めるために全粒子ワクチンにさらにアジュバントが加えられました。
昨今の新型インフルエンザウイルスの流行やそのワクチン行政の動向からもインフルエンザワクチンの適切な開発、使用方法の判断材料としての科学的エビデンスが不足していることが指摘されています。しかしながら、インフルエンザワクチンの作用機序に関する詳細な検討、とくにアジュバント成分の分子レベルでのメカニズム解明はなされていませんでした。
本研究では、上述の異なる作り方で、成分も作用も異なる3種類のインフルエンザワクチンがどのようにして認識されて自然免疫システムを活性化し、ワクチンの効果を誘導しているのか、マウスや人の実験系を用いて詳細に解析しました。
研究の内容
これまでインフルエンザウイルスの認識に関わる様々な自然免疫応答が研究され、免疫細胞の表面や中には、Toll-like receptor(TLR)7(トル様受容体7とも), Retinoic acid inducible gene-I(RIG-Iと略しますが、正式な日本語訳はありません), ある種のNod-like receptor(NLRと略しますが、これも正確な日本語訳はないとおもいます)の3つの受容体(いわゆるセンサー)がインフルエンザウイルスの成分を特異的に認識できることが知られていました。
今回は我々は、それらの受容体の作用をそれぞれ欠損したマウスを用いて、上記3種類のワクチンを投与してそのワクチン効果(すなわちインフルエンザワクチン抗原に対する免疫反応が起きているか、抗体の量を測ったり、細胞の活性化を測って判断する)を比較しました。
その結果、生ワクチン、(不活化)全粒子ワクチンにはTLR7を特異的に活性化する内因性のアジュバント成分があることがわかったのですが、その一方で、日本で季節性、新型インフルエンザのワクチンとして使用されているスプリットワクチンでは自然免疫の活性化がほとんど見られず、ワクチン効果も低いことがわかりました(参考図)。さらにマウスにおいてはスプリットワクチンのみの投与ではインフルエンザウイルスの感染を防ぐことができずマウスは死んでしまいました。人ではほとんどの人がインフルエンザに感染歴があるためスプリットワクチンではすでにある免疫を再活性して効果を発揮していることも人の血液を使った実験で判明しました。
ところが同じ不活化ワクチンでも、全粒子ワクチンでは中に含まれているウイルスの核酸(RNA)がTLR7をよく活性化して、それがアジュバント効果を発揮することでワクチンの効果もスプリットワクチンより高いことがわかりました。さらにその効果は、マウスでも、人でも血液や組織にまれにあることが知られている形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid DC; pDC)がTLR7やTLR9をたくさん持っていて、こうウイルス作用を持つことで知られるI型インターフェロンという分子を産生することによってワクチンの効果が誘導されていることが判明したのです。人の血液を使った実験でも同様に形質細胞様樹状細胞がインフルエンザワクチンに反応してI型インターフェロンを産生させることも判明しました。そこで最後にこれらの成果を応用して、実際にスプリットワクチンに同じようにpDCを活性化できるTLR9のリガンド(新規開発中のDNAアジュバント)を加えることで全粒子ワクチンと同じレベルまでワクチンの効果が増強されることがわかりました。

本研究成果の意義と今後の展開以上の結果から、実験で用いたマウスの様にこれまでにインフルエンザウイルスにかかったことの無いような乳幼児などに対しては、尐なくともpDC の活性化やそれに伴うI 型インターフェロンの産生がみられる全粒子ワクチンやアジュバントを入れたワクチンが現在使用されているスプリットワクチンより有効である可能性が高いといえます。ただし、現在使われているスプリットワクチンは効果がないわけではなく、すでに何らかの状況で暴露された成人では自然免疫の活性化を伴わないワクチンでも十分な効果発現を認める可能性が高いこともわかりました。また、自然免疫を活性化するアジュバントを使えばさらに有効なワクチンを開発できるということも確認されました。
今後このような分子から生体のレベルにおいてワクチンの作用機序を正確に解明していくことは副作用の尐なく安全で、かつ有効性が高い次世代のワクチン開発や、ワクチン行政の判断基準において非常に重要であるといえるでしょう。

参考図

イメージ 1





免疫反応は、受容体toll-like receptor7 (TLR7)がワクチンを認識するか否か、先天免疫細胞plasmacytoid dendric cell (pDCs) が活性化するか否か。

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