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ある番組で、サントリーの「はちみつレモン」が飲料の新製品週間ランキング1位になったと報じていた。
「はちみつレモン」は今年、12年ぶりに復活した往年の人気商品だ。
かつて発売されていた頃、私にはその名のとおり甘酸っぱいエピソードがある。
―あれは入社式のときだった。
新人たちはめいめい、指定された席についていたのだが、1人だけずれた席に座っていた人がいた。
正しい席へ移ろうと立ち上がると、ずいぶん背が高い。しかもなんて端正な甘いマスク!
私はとたんにひと目ぼれしてしまった。
研修中は、毎朝1人ずつが「3分間スピーチ」を披露することになっていた。
私は大学時代のエピソードをユーモアを交えて紹介した。
その日の夕方、宿舎に引き揚げると、入口でふいに彼が話しかけてきた。「おもしろいやっちゃなぁ。」
ドキドキした。そしてとてもうれしかった。
それをきっかけに、談話室でUNOを楽しむ仲間になった。
しかしほどなく、彼女の存在が明らかになった。
談話室のそばにある公衆電話で、毎晩のように話す彼を目撃するようになったのだ。
彼と同室のメンバーからの情報で、長年付き合っている人がいるらしいことがわかった。
ショックだったが、かくいう私も当時は遠距離恋愛の真っ只中。お互い様だ。
2か月間の研修を終え、私たちは偶然にも同じ部署に配属された。
なんて運がいいんだろう!神様のはからいに心から感謝した。
ある冬の夜、残業をしていると1本の電話が鳴った。
「はい、○○○○○(会社名)でございます。」
かけてきたのはなんと、彼だった。
「今駅なんだけど、雪でタクシーがなかなか来ないんだよね。よかったら迎えにきてくれる?」
彼は先輩とともに、数日出張していたのだった。
「うん、わかった。すぐ行くね。」
残業にもいいことがあるものだ。ワクワクしながら駅へ向かった。
「助かったよありがとう。はいこれ、お礼。」
そういって手渡されたのは、「はちみつレモン」のホット缶だった。
待っている間に自販機で買っておいてくれたらしい。
かじかんだ手に、缶のぬくもりがうれしかった。
「あ、ありがとう…」
すぐにプルタブをひねってもよいはずだった。
寒さのあまり体は冷えていたし、ドキドキのあまり喉はカラカラだった。
けれどうれしくて、もったいなくて、そうできるはずがなかった。
缶は永久保存すべく、自宅の机にずっと飾っておいた。
見るたびあのときの場面がよみがえり、ひとりでに頬がゆるんだっけ。
なのになのに―あるとき無性にのどが渇き、とっさに缶を開けて一気飲みしてしまったのだ。
せめて空き缶だけは取っておこうと思ったのだが…はてさてどこへ行ったっけ?
今度実家へ行ったら探してみよっと。
彼はもちろん、ずっとお付き合いしていた彼女と結婚した。
社内でもモテモテだったが、ブレることなく約束を貫いた。
少し前、新聞に彼の顔写真が載っていたが、相変わらず素敵だった。
あの頃のようにまた話してみたいな。
いつかこっそり同期会に忍び込んでみようかな…。
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日々のため息を笑...







いい思い出ですね。
私の「はちみつレモンの思い出 」をTBしますね。(笑)
2011/10/18(火) 午前 4:58
こんにちは、お邪魔いたします。
(笑)
あれ?
遠距離の方は・・(笑)
はちみつレモンは甘すぎて罪づくりですねぇ〜。
鏡をみて「まだ大丈夫かな?」と顔をマッサージしたりして・・
こればっかしはため息ですね。
はぁ
2011/10/18(火) 午前 10:42 [ 末 ]
クマプーさん、トラックバックありがとうございます。
あのCMは印象的ですよね。
ムシューダの「くまお」ともども、放映されると思わず画面に釘づけになります(^ ^ゞ
2011/10/26(水) 午前 10:46 [ まおちゃり ]
月虹さん、遠距離の彼とは7年お付き合いしたのですが、最後の最後に私が裏切ってしまいました。
今、私より幸せになってくれていることを願うばかりです…。
2011/10/26(水) 午前 10:49 [ まおちゃり ]