散策思索語録質種

絵本もどきの落書きと、エッセイもどきのひとりごと・・・

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オーガニア条約

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今日は広島原爆投下の日。時が経ち、世代が移り変わっても、決して忘れてはならない日の一つである。 中継で放送される記念式典の様子を見て、いつも気持ちを新たにする一方、世界情勢を鑑みれば平和を祈る声の無力さを感じずにはいられないのが例年のことである。ところが、今年はアメリカのオバーマ大統領が核廃絶を唱えたこともあって、少しは雰囲気が変わらないかと期待したくなる。

しかし、現実には、アメリカの大多数の国民が原爆投下を正しかったと主張していることに変わりはない。また、日本がいくら被爆国として核廃絶を叫んでも、彼らは必ず真珠湾のことを持ち出して、原爆投下を正当化してしまう。まして、最近は日本国内でも、先の戦争を正当化する輩が目立つようになり、国の防衛のためには核武装すべきと臆面もなく答える国会議員もいるくらいだ。 本当に正当ならば、力など使わず泰然自若としているものだ。正当でない者ほど、ムリな力を行使した後であれやこれやと正当化に走る。 政治が清く正しく美しいなんて嘘だ。権力は過去のいかなる過ちも正当化し非難を排除する。アメリカの原爆然り、日本の南京大虐殺然り、イスラエルのガザ侵攻然り、中国の天安門事件然り、そんなもの歴史を紐解けばいくらでも出てくる。こういう話は、すぐ過ちの規模とか死傷者の数とか、果てはそんなことはなかったとまで論じて、うやむやにしようとする。しかし、人間として本当に大切なことは、その事実から目をそむけない勇気と、二度と同じ過ちを繰り返さないという強い心なのだ。 折しも、式典が行われている同じ広島で、元自衛官の某とやらが日本再軍備と核配備を訴える講演に大勢の人を集めているとも聞く。戦争を知らず考えず無関心な若者が増えている昨今、いずれ、そうなる日が来るのかもしれない。私も戦争の愚かさを語り継いでいきたいと思うが、これから何十年かの後、愚かにしてそんな日が来るのなら、自ら選択した道だ。勝手に苦しみ、互いに傷つけあい、滅んでしまえばよい。好きにしたまえ。 なぜ核を持つのかというと、かつての冷戦時代なら相手が持つから対抗して持つのだというのが論拠だった。国と国とがこうして抑止力としての核武装競争に血道をあげた。その最も急先鋒のアメリカが核廃絶を言い出した。といっても、今の世界情勢を考えれば驚くほどのことでもない。今は国でなく、テロ集団という非合法組織が核を扱おうとする時代だ。彼らから核攻撃を受けた場合、報復対象が見えないから核の使いようがない。 保有核を管理するためにはコストが掛かる。この不景気なときに、抑止力どころか何の役にも立っていないものを、後生大事に抱えている愚かさに気付いたわけである。自分だけ核をやめるのはもちろん危険だから、みんな一緒にやめようと言いだしただけのことだ。だからといって、軍事力まで削減しようとしているわけではない。 世界一の強大国アメリカが世界の平和維持に貢献しようとすることに異存はない。しかし、彼らは常に力をもって秩序を整えようとする。確かに20世紀には通用したが、これは果たして普遍性のあるやり方なのだろうか?なぜ、力を使わずにすむ方法がとれないのだろうか。とれないのではなく、とらないのだ。 彼らにとっては、アメリカこそが世界である。そのアメリカが攻撃されることは世界の危機を意味する。だから本土防衛のためにひたすら軍事力を強化する。だからこそ、実際に攻撃を受けた真珠湾がいつまでも忘れられない屈辱なのであり、9.11がショックなのだ。戦争による焦土を実際に経験した国からは異常なほどに見えてしまう。裏返せば、アメリカは世界一臆病な国なのかもしれない。 しかし、彼らが本当に正当であるなら、力で抑え込むのでなく、力を根本から無力化する考え方ができないものかと思う。いや、未だに銃社会で、正当防衛なら人も殺せる彼らにそれを望むのは、土台無理な話なのだけれども、中には素晴らしい発想をする人もいるのだ。 例えば、私の大好きなスタートレックというSFの中に、こんなエピソードがある。 地球を中心とする宇宙連合軍とクリンゴンという好戦的な勢力とが、銀河宇宙の覇権争いをしているという設定だ。あるとき、オーガニアという辺境の星の住人に、地球陣営に入るように主人公ジム=カークとミスタースポックが説得に出向く。時を同じくしてクリンゴンからもオーガニアを力づくで取り込もうとする部隊がやってくる。両者は、オーガニア人の前で互いに言い争いを始め、ついに武力衝突となる。この状況に怒ったオーガニア人が超能力を使って、すべての武器を使えなくしてしまう。結局、争うことが無意味になってしまい、宇宙連合とクリンゴンは無期限の停戦条約を交わすことになる。これがオーガニア条約というものだ。 作られたのが冷戦時代だから、そのイメージがあるのは否めないけれども、そういう発想をするアメリカ人がいることが面白い。ただし、これを見たアメリカ人は自らを英雄カーク船長になぞらえても、オーガニア人になろうとはしない。他の国のファンも同じ。オーガニア人とは神仏であって、現実の人間としてのアイデンティティーはないのだ。しかし、もし、このエピソードから、あらゆる武器を無力化する研究をするとか、怨恨や憎悪をなくす機械を開発するとか、発想を発展させる天才が現れたら、人類は本当に新しい種に生まれ変われるかもしれないのに。 60年ほど前、あるアメリカ人がこれと似たアイディアで、日本を実験台にしようと試みた。戦争と武力を放棄するという画期的な憲法を作るよう指示し、まさに日本という国がオーガニアになるタネが蒔かれたのだ。もし、このタネを大切に育てていたならば、日本という国はもっと国際的に発言力のある強い国になれただろう。たとえこの国が過去に犯した過ちや罪をしつこく指摘されても、核廃絶はもちろんのこと、テロ撲滅や侵略反対の声に多くの国が積極的に耳を傾けただろう。が、この国の為政者は意図的にこの宝石のようなタネを腐らせ、今や捨て去ろうとさえしている。 人類の新しい種になるというその栄誉をアメリカ人が担うことになっても構わない。世界から核の脅威が消え去り、戦争や虐待、貧困がなくなるなら、どの国がオーガニアになっても良いと思う。

(2009/08/06)

閉じる コメント(2)

「あらゆる武器を無力化する研究、怨恨や憎悪をなくす機械」
面白狩りさんの発想はいつもユニークですね。
また小説を期待してしまいます。

『オーガニア』どの国も目指してほしいですね。

2009/8/6(木) 午後 11:44 [ You ]

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youさん、おはようございます。

武器の無力化・・・こういう発想をする人はきっと多いと思います。
でも、使えない武器なんて語る前からバカバカしいと笑われるのが関の山なんですね。
アイディアって、もっと自由に面白がるべきものなんですが、どうもみなさん真面目でお堅いというか何というか・・・

小説は勘弁して下さい(汗々)。

スタートレックのエピソードには、オーガニアの他にも、面白くて感心させられるものが多くて、一時は英会話のリスニングトレーニングも兼ねてビデオ漬けになっていました(笑)。

2009/8/7(金) 午前 6:30 面白狩り


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