散策思索語録質種

絵本もどきの落書きと、エッセイもどきのひとりごと・・・

好きなもの

[ リスト ]

残念である。昨年10月に肺がんで入院されたというニュースを聞いて気になっていたが、平和の理想を声高に語れる人がまた一人去ってしまった。
イメージ 1
傾倒しているというほど作品に触れているわけではない。小説もあまり読んでいないし、舞台を見に行ったこともない。ただ、井上ひさしさんが語る創作の姿勢に大いに共感し、自分もまたそれを理想としたいと思ってきた。 例えば、マネジメントの問題やシステムの構築、品質改善など、企業発展のために不可欠なこれらの知識をいかにしてわかりやすく実戦的に理解させるかは、自分のライフワークの一つと考えている。それを支える言葉が、井上ひさしさんがよく色紙に書かれる「むずかしいことをやさしく…」という名言だった。

その言葉に最初に出合ったのはCI(corporate_identity)について調べていたときで、ある芸能プロの社是で使われているのを見つけたのである。もうかなり以前のことで、その当時は「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」というものであった。今は最後の行が「ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと」となっているが、私としては、執筆活動以外のあらゆることに活かせるので、昔の言い回しの方が好きだ。 私が子供のときと違って、最近は戦争や軍事力を批判すると妙なバッシングを受ける世の中になってしまった。口を開けばすぐ売国奴、非国民であり、半島に帰れなどとわけのわからないことを言われる。社会的によほどの影響力がない限り、そこら辺の半端な著名人はその手の話には口を閉ざしてしまう。そうなると、オピニオンの場には好戦的なものだけが目立つようになり、たとえそれがいい加減な内容だとしても一般的な世論であるかのように見えてしまうのである。そういう流れに抵抗してきたのが、井上ひさしさんや故筑紫哲也さんたちだった。その世代の巨人たちが寄る年波にどんどん呑み込まれていなくなってしまう。 よくわからないことがある。反戦を叫ぶ人たちはすぐ左寄りというレッテルを貼られる。確かに中には古臭い共産思想に染まっている頭が固いのもいるが、その大半は自由な思想の持ち主で、右寄りの人も少なからずいる。政治的にはリベラルで民主的である。ところが、非難する輩にとってはこれらすべて国を滅ぼす危険思想となるようだ。彼らが気にくわないものはすべて売国奴なのだ。一般庶民にまだ良心が残っている内は良い。しかし、かつてヒトラーが言った「嘘も言い続ければ本当になる」のであれば、そのうち、もの言えば唇が寒くなる世の中になってしまうだろう。 人間なんだから完全無欠なことはない。井上ひさしさんの場合もDVの問題など本当にあったようだ。ただし、今では関係者が笑い飛ばしているからまだ救われる話だ。ところが、批判勢力にとってはそれが格好の餌食となり、尾ひれを付けて人間失格のごとき烙印を押して、その存在を否定するのである。自分たちはどうなのだろう。聖人君子ばかりの世の中など考えるだけで息苦しくなる。 井上さんはこんなことも言っていた。軍備に使う金があるならどんどん科学や技術革新に金を使うべきだと。世界中のどの国も追随できないくらいの高度な科学技術を持てば、それを失うわけにはいかないから、この国を攻撃することなどできなくなる。そんな話を聞いてみんなお伽話だと嗤うけれども、私など一つの面白い考え方だなあと思ってしまう。右寄りの思想を否定はしない。しかし、目的が戦前の軍国主義回帰にあるとするなら、やはり受け入れることはできない。 ものが食べられないくらい貧乏な人が増えて、世の中金だけが価値あるものになってしまった。人々の考え方があまりにも現実的になりすぎて息が詰まる。そんなことを考えながらテレビを付けると、バラエティの芸人たちの安っぽい一発ギャグが目に飛び込んできた。ひょっこりひょうたん島なんて、今どき受けないだろう。文化も貧困化が進んでいるのではないかと思う。 本当に残念である。井上ひさしさんのご冥福を祈って合掌。

(2010/04/12)


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!
数量限定!イオンおまとめ企画
「無料お試しクーポン」か
「値引きクーポン」が必ず当たる!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事