散策思索語録質種

絵本もどきの落書きと、エッセイもどきのひとりごと・・・

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開戦の日

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12月8日未明の真珠湾攻撃を聞いて、これで憎き鬼畜米英をやっつけることができる。ほとんどの国民がそう思って歓喜に沸いたという。当時の日本は今の北朝鮮と同様、国際的な経済封鎖のためににっちもさっちも行かなくなっていた。もとより、清国・ロシアという大国を破って軍事力には自信がある。軍部は弱気な文民政治家を排除して大東亜共栄圏を画策し、メディアもその流れに乗って戦争機運を煽った。そのように聞いている。 今日は開戦記念日だ。69年前のこの日、日本中が正気の沙汰ではなかった。そんな記憶をだれも掘り起こそうとはしない。今日も富めるものは遊興に浸り、貧なるものは絶望のふちにある。そんなときに、他国を蔑み、ムリヤリ国の優位を謳うことで憂鬱な気分を紛らわせば効果はてきめんだ。やがてそれが暴走し、訳のわからないことに巻きこまれていく。おそらく、そのときもこうであったろう。 今、政治は信頼を失い、経済も光が見えず、隣国からは領土問題の脅威にさらされ、メディアは不安を煽るのみで、未来への展望を説く者は一人もいない。日々が大きなストレスの連続で、この鬱積した気分が遅かれ早かれ暴発するのではないかと心配になる。だが、ダメな政治家を選んだのも国民自身だし、バブルでキリギリスのごとく浮かれていたのも国民なのだ。 さらに言えば、考えるだけで頭にくる領土問題だって、元を正せば69年前に正気を失って、勝てる見込みのない無謀な戦争に突進していったその代償だ。すべてが自分自身に帰ってくる。その歴史を知らなければ、中国や韓国に嫌われるのも理不尽な言いがかりと感じるだろう。ロシアに胸を張って正論を言えないのも、アメリカの言いなりにならざるを得ないのも、みんな同じ。それを不思議に感じ、奇妙な被害者意識を募らせる。それが危ないのだ。 今日が開戦記念日だと気付く人が何人いるだろう。戦争を知らない世代は、なぜか学校でその事実を教わらない。未来への展望は失敗の反省から生まれる。その機会を教育はことごとく排除してきた。その結果、この国に本当の指導者・賢者はいなくなり、金と利権まみれの俗物と頭の固い原理主義者しかいなくなってしまった。落ちこぼれは自信を喪失して引きこもりになり、自ら外に出ようとしない。そんな世の中にしたのはだれか。 われわれ自身である。だからこそ、こういう日を忘れてはいけないのだ。

(2010/12/08)

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