| 日本文化を「恥の文化」だと評したのは、『菊と刀』の著作で有名なアメリカの文化人類学者ルース=ベネディクトであった。第二次大戦という時代背景の中で、評判を気にする日本の「恥の文化」に対し、良心に基づく「罪の文化」として欧米文化の優位性を主張するのが本書の主旨であった。ところが、その意図とは裏腹に、世界が日本の独自性を注目しているものと勘違いして、日本人の多くが「恥の文化」を良しと受け止めているのは、著者も想像しなかったであろう。 さて、ベネディクトの主張がどうであれ、恥という概念が日本独特のもので、日本人には欧米人より良心が足りないなど、いかにばかげた話かは誰でもわかる。問題は、恥という概念そのものが失われて、良心のかけらすらなくなりつつある今の社会である。それも、日本で最も立派な地位にある方々に、その傾向が顕著であるというのが情けない。 昼過ぎ、予算成立後に辞任するという財務相の記者会見が行われた。G7での記者会見での失態が全世界に配信されたことを知らない国民はいない。普通の神経なら、穴があったら入りたいくらいの大恥をさらしたにもかかわらず、もうしばらく職務を全うしたいとのたもうた。その後、さすがに周囲の空気を察して辞表を出したのは、辛うじて恥を知る面目だけは立てたか。それでもこの国が世界の笑い者になったという事実は残る。 昨日、GDP年率12.7%の減少という衝撃的な数字が出た。ところが、その渦中にいた昨年秋、例のリーマンショックの際に経財相はハチが刺した程度のことだと一蹴していたのを国民は忘れない。そのとき本気になっていたら、今の状況はもっと違っていただろう。同じ舌先で、戦後最悪などとよく言えたものだ。そんな人が当面、財務相、金融相を兼任するという。大丈夫なのか? そして、国民が選んだわけでもないのに、今日も変わらず、ボクは日本一エライ人なんだと、首相の椅子にふんぞり返っているお方がおる。現在の衆議院の優位を否定する発言をしながら、その優位に乗ってブレブレ発言を繰り返す。ある有名な総理大臣経験者が「笑っちゃうくらい呆れている」などとのたまっていたが、国民は毎日毎日泣きたいくらいだ。 今、国民が望んでいるのは迅速な経済対策である。しかし、今の状況でいくら政府が政策最優先と叫んでも、なんら有効な手を打っていない。 それは、審議を遅らせる野党が悪いからだと政府・与党は言う。そうであれば、野党を黙らせるための手立てをつけろ。いやいや、野党が話し合いに応じないから何もできない。それなら、解散して選挙で野党をぶっとばせ。いやいや、今の支持率だと負けてしまうから解散はできない・・・なんてホンネはとても言えないから、今解散して政治空白を作るわけには行かないと見え透いた言い訳をする。今の状態こそ政治空白と変わらないではないかと言えば、野党が審議を遅らせているからこんな状態になるのだと言う。であれば、野党を黙らせろ・・・こんな堂堂巡りを半年、いやもう1年近く続けているわけだ。 もう一度言う。今、一番国民が望んでいるのは迅速な経済対策である。そのために選挙が必要なのだから、一日も早く解散して選挙をしてくれと言っているだけなのだ。 もういい加減ウンザリだ。こんなひどい政治を世界中にさらして、本来なら経済対策の最先端を走るべき国が、何もせずに世界で最も惨憺たる状況に向かって突っ走っていると思うと、本当に恥ずかしい話ではないか。と、同じように怒っているみんなに向かってこんな記事を書いても、お互い虚しくなるだけなのが一層悲しいなあ。 |
(2009/02/17)
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