☆社会人1年目当時のオイラの現場日記☆
現場の流儀 05sta. 役立たず!
社会人1年目の夏
8月になって,いったん現場研修はお休み
岐阜県内に建設予定の東海北陸自動車道の調査に向かう
まだルートしか決まっていない山の中で
「地表地質踏査」である
※地表地質踏査(ちひょうちしつとうさ)
地形図・空中写真等の判読に基づいて,現地の露頭(地層が露出している箇所)を観察し,これらのデータに土木工学的所見を加えた土木地質的な判断をおこない,地層の特徴・地質構造や工学的・水理的特性を把握すること
また,この成果をもとにルートの提案や詳細な調査の提案をおこなう
略して「踏査」と呼んでいる
さあ出発の日がやってきた
上司のYさんとともに京都から新幹線と特急を乗り継いで飛騨・高山へ向かった
高山駅でレンタカーを借りて,町外れの民宿へ
ここで9日間泊まり込んでの調査である
姿見は,作業服とヘルメットを着用しての山歩き
しかし山歩きといっても登山道を歩くわけではない
道なき道 おもに谷を歩くのが踏査の基本である
〜谷を歩く〜
谷沿いの地形は,水でけずられているので地層が露出している
この地層を観察することで,地面の内部を3次元的に捉える基礎資料となる
はた目からみたら,
山を歩いてピクニック気分でいいなあ〜と思うかもしれない
しかしそれは違う!
道なきところを歩くのだ!
ときには膝まで水に浸かって沢をのぼることも
ときにはヤブをかきわけて進むことも
ときにはクマを警戒して,腰に鈴をつけて歩くことも
もちろん楽しみもある
山の中で出会う地元の人々とのふれあい
道なき山の頂上から望むすばらしい日本の景色
旅館で味わう素朴な郷土料理
休みの日の,高山祭りや下呂温泉でのやすらぎ
さて,踏査であるが
七つ道具がある・・・
作業着・ヘルメット(ぼうし)・長ぐつ・手拭い
ハンマー・クリノメーター・巻き尺
野帳・地形図・カメラ・筆記具
トイレットペーパー・新聞紙・弁当・水筒
七つじゃないが,上記は必携品たち
ほかにもあるが上は最低限必要
その中で
ハンマーとクリノメータは主役である
ハンマーは誰でも分かると思うが
クリノメーターって何だろう?
上の写真をみてほしい
下がクリノメータ
なんだ方位磁針じゃないか
その通り方位磁針である
これは傾いた地層の向きをはかる道具である
完全に水平な地層であればこの道具はいらない
しかし地層というのはたいてい傾いている
この写真はすごく理想的な地層で
こんなのが出たらおいしいのだが
このように地層は傾いている
そこでその方向や傾斜角度をはかることで
三次元的に地面の中を想定することができるのだ
しかし地層が理想的にまっ平らに傾いていることはなく
途中から曲がっていたり,途中で途切れていたり,削られていたりする
そこで地面の表面のデータだけでは捉えきれない地下内部の構造を
地面を掘るボーリングによって調べるのである
この「踏査」はそのための「準備運動」といってもよい
〜踏査データを使って〜
踏査で得られた情報を「ルートマップ」とよばれる図面に記入していき,写真も撮り,必要に応じて岩石を採取し,
地質平面図を作る。これは地面の表面の地質図である
これにボーリングなどによって得られる垂直データを加えると
このような地面の内部の想定断面図ができる!
下のほうにあるだ円形が,トンネルの断面
こうして高速道路のトンネル部分の地層が分かり
ルートを選定するための判断材料にもなるし
あるいは,実際に工事を進める上で不可欠な資料となるのである
〜自己嫌悪〜
さて,こうして山を歩いた9日間であるが
しかし,この9日間はつくづく自分がいやになる日々の連続だったのである
Yさんといっしょに歩いていても
何一つ役に立っていなかったのである
ただ,いっしょについて歩いただけだったのだ
大学で何を学んできたんだろう?
現場に出ても全く役に立たない
岩質どころか岩石名すら判断できない
大学の巡検やフィールドでみるものは
地質図である程度目星をつけているので判るものの
今回のような現場では全く役に立たない
自己嫌悪に陥った
帰りの新幹線では,
車窓を見ながら内心泣いていたのであった
(この話は次回につづきます)
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