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僕がまだ金沢にいた頃のお話です。
当時僕は、ひょんなことで知り合った若いご夫婦の家に度々招待されていた。
目的は、旦那さんの飲み友達と子供達の猛烈なアプローチであった。
そのお宅には、当時3歳になるお姉ちゃんと年子で双子の弟の3姉弟がいて、僕がお邪魔すると絶叫して大喜びしてくれていた。
子供達は「ショウゴ君ショウゴ君」と言いながら自慢のおもちゃを見せてくれたり、僕の肩や頭に登ってジャングルジムごっこをしながら遊んでいた。
一番下の男の子は保育園で僕の名前を連呼するらしく、不思議に思った先生が「ショウゴ君て誰?」と聞くと「とうちゃん!!」と答えていた困ったやつだった。
下の男の子達と違って上のお姉ちゃんは少々ませていて、弟達と同じ子ども扱いすると若干不機嫌になっていた。3歳でもレディーなのだ。
夜も遅くなり僕が帰ろうとすると、お姉ちゃんは「ショウゴ君、いつお泊りしてくれるの?」と寂しそうに聞き、一番下の弟はいつものことながら泣きわめく。
「泣く子のところにはショウゴ君もう来ないよ!」と言って毎回お母さんが叱っていた。
僕はこの三姉弟が大好きだった。
ある日僕がお姉ちゃんと遊んでいると、こっそり「ショウゴ君、私が大きくなったら結婚しようね」と耳打ちしてきた。
僕は生まれて初めてプロポーズされたのだ。
子どもたちのあまりの純粋さに、僕はいつもニコニコ笑っていた事をよくおぼえている。
子ども達には内緒であったが、その頃僕はコツコツと上京資金をためており、もうすぐ子ども達とお別れしなくてはならないことが決まっていた。
そうとは知らず、子ども達はいつも僕にまとわりついていた。
ある雪深い冬の日だった。
ついにお別れの日がやってきたのだ。
僕は以前から約束していたハンバーグドリアを作ってお別れの挨拶に向かった。
ご夫婦には前もって報告してあったので非常に残念がってもらえたのだが、子ども達には秘密のままである。
僕はいつもより激しめに遊んであげ、子ども達はなんの疑いもなくいつも通りの笑顔で喜んでくれていた。
一通り遊び終わるともう子ども達は寝る時間になる。
僕は子ども達の頭をなでて、「じゃあね」といった。
お母さんは子ども達に向かって、「ショウゴ君東京行っちゃうんだって」と話しかけた。
子ども達は不思議そうな顔をして、「いつ帰ってくるの?」と僕に聞いてきた。
僕は、「いつになるか分からないなぁ」とあいまいな返事をした。
子ども達にはまだお別れの意味が解らないようだ。
僕はとても悲しくなった。
この子達に限らず、僕は沢山の人とお別れしなくてはならない。特にこんなに幼い子ども達と別れてしまっては、すぐに僕のことなど忘れてしまうだろう。
自分が好きな人とお別れしなくてはならないなんて、自分で選んだ事なんだけどなんて辛いんだろう。
子ども達は僕が玄関を出るといつものように追いかけてきて、「またね」と言った。
おそらくはもう会うこともないだろう。たとえどこかで会ったとしても、もう僕とは気づかないだろう。
僕は最後にもう一度「じゃあね」と言った。
帰り道はとても切なかった。除雪した雪の上にさらに降り積もった雪が僕をなかなか前に進めてくれない。寒さと切なさで泣きそうになったが、何故かここで泣いてはいけないような気がして僕は涙をぐっとこらえた。
その後まもなく僕は旅立ち、あれ以来姉弟の音沙汰は消えてしまった。
僕は今でも東京の空の下、君達姉弟の事を思い出します。
君達の純粋で無垢な笑顔に出会えて、本当に良かったよ。ありがとね。
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私も別れ際は必ず「またね」と言います。半分癖になってもいますが、意識して言ってもいます。大学の謝恩会のあと、みんなで朝まで遊んだ帰り、一人また一人と電車から降りていくのだけど、やはり「またね」と言っていました。そうして別れた友達とまだ会えずにいますが、いつか会えると信じています。たぶん、そういう願いも込めて「またね」と言っちゃうのだと思っています。
2005/12/3(土) 午後 10:09
「またね」っていい言葉ですよね。僕も極力「またね」でお別れしたいです。当時は、沢山の人とお別れすることが「仕方がない」と思ってましたが、最近はもうお別れするのが嫌です。20代後半になると考え方にも少々変化が出てきますね。
2005/12/4(日) 午前 1:06
私の家族は、転勤族で、(といってももう7年いるんですが)まだ子供が小さかった時に(3歳でしたが)今のところに引っ越してきたのですが、引越しするときに、意味もわからず、ニコニコと、まるで、どこか遊園地にでも行くような表情で手を振りながら出てきたんですね。その時の言葉が、「またね〜」でした。あ〜なんだか思い出しちゃいました。。また会えるから、またね。って言いますよね。(^^ゞ
2005/12/4(日) 午前 2:26 [ - ]
切ないお話ですね。もう会えないのに、状況を理解しきれない子供たちになんだか胸が痛みます。もう大きくなってるんだろうなぁ、とか思っちゃいますよね。それにしてもショウゴさんは人気者なんですね。笑
2005/12/4(日) 午前 2:51 [ - ]
tenittiさんこんにちは♪幼い頃ってどうやらさよならの意味がよくわからないようですね。多分経験がないからだと思います。これからいっぱい嬉しいことや悲しいこと経験して大人になるんですねェ。
2005/12/4(日) 午後 5:23
モモちゃんこんにちは!他人の子どもでこんなにかわいいんだから、自分の子どもだったらどんなにかわいいものかと思います。バカ親決定!?
2005/12/4(日) 午後 5:24
ショウゴさんはやっぱり子ども好きなんですね!ブログ読んでて絶対そうだと思ってました!においで分かるってやつです!子どもが出来たら親バカ決定!!!
2005/12/4(日) 午後 7:59 [ aku*yug**a ]
決定されちゃった!
2005/12/4(日) 午後 8:37
子供って正直、純粋でかわいいな。お別れしたあとが、寒い雪道って・・・あ〜切ないねぇ。今度、金沢帰った時にでも、会ってきたら?覚えててくれたらうれしいな。その逆やったら、さみしいけど。
2005/12/6(火) 午前 9:10 [ mさm ]
うーん、それがねェ、わけあって会えないのよ…
2005/12/6(火) 午後 7:06