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15の少年

 僕の家にはどうも苦手な部屋がある。


 こざっぱりと片付いた何の変哲も無い部屋なのに。


 しいて言えば一昔前の感じがする

 レコードプレーヤーに、色あせたポスター。


 毎日母さんが掃除する。

 窓を開けて、空気の入れ替えをして、そして手を合わす。


 僕は心に決めていた。

 15歳になったらこの部屋に入ると。

 
 僕は受験生だ。

 学校だ、塾だ、テストだ、内申書だ…


 もううんざりだ…

 いったいあと何年こんな生活が続くんだろう…

 人生なんて苦しいことばかりだ…

 あと4倍も、5倍も生きなければいけないかと思うと

 気が遠くなって、今すぐにでも死んでしまいたくなる…





 心臓の鼓動が高まる…

 圧迫感で息が止まりそうだ…


 僕はついに15歳になってしまった。


 異空間に踏み込むような気持ちで部屋のドアを開けた。


 空気がピンと張り詰める。

 僕はいつしか息を止め、恐る恐る一歩一歩踏み込んでいた。


 6畳一間のこざっぱりとした部屋

 エレキギター、アンプ

 レコードプレーヤー

 色あせたポスター


 壁には沢山の絵が飾られており、机の脇には無数のスケッチブックが積んであった。


 「思春期になれば、お前にも分かるさ」

 どこかから声がする…

 いや、違う…


 この声は、記憶だ…



 僕は6畳一間の丁度真ん中に小さく座って、机の脇にあったスケッチブックを広げた。



 妙な絵だ

 これは絵と言うより色だ

 色がなにやら形を形成して

 人間やら動物やらに見えるんだ


 スケッチブックを広げるうちに

 描かれている絵、そのものよりも

 周りに広がる空白が意味を帯びてくる。


 まるで空白を描くがために

 色や形が存在しているかのような…


 そうなってくると

 もう牛だろうが猿だろうが

 そんなもの全てがどうでもよく思えてくる。


 僕は、もう一冊スケッチブックを広げた。

 こっちのスケッチブックには詩が書いてある。


 脈略の無い、呪文のような詩の羅列


 それらも次第に意味を帯びてくる。


 「兄ちゃんも苦しんでたんだな…」

 僕はいつの間にかポツリとつぶやいていた。


 弱冠15歳にして世を去った

 ヒーローになれなかった兄貴


 今生きてたら、僕は兄ちゃんとどんな話をしたんだろう…

 「兄ちゃん、俺、兄ちゃんと話がしたいよ…」


 僕が何にも知らないうちに、さっさといなくなるなんて

 そんなのずるいよ…



 どんなに遠く離れていても

 生きてさえいればいつかは会えるかもしれない。

 でも、死んでしまったら

 もうどうしようもないじゃないか…


 今はとても苦しい時だ

 でも、僕が死んだら誰か泣くかな…
 
 誰かが悲しむんだったら

 今はとにかく頑張る時だな。


 「兄ちゃん、また…ときどき遊びに来るよ」

 そういって僕はゆっくり部屋を出た。
 


 


 

 

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このお話を読んでいたら、山田かまちくんを連想しました。

2007/11/11(日) 午後 11:31 みやりぃ

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みやりぃちゃん:するどいね。

2007/11/12(月) 午前 0:52 ショウゴ


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