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『歳末は鯨を買いに』

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今度の『三浦哲郎文学体感バスツアー』で、盛岡便の人達が八戸の水産博物館「マリエント」で昼食にする『鯨汁』の定食は、マリエントのレストランの特製メニューである。
昨年、読む会のバスツアーで訪れた時に、八戸の鮫を舞台に描かれた『海の道』に因んで何か特色のあるものを出したいと言って、レストランのスタッフが地元の鯨汁を作れるお年寄りのところで手解きを受けて作ってくれた料理である。
私たちが子供の頃には、鯨が抱負だったので、鯨汁は家でも母がよく作ってくれたので、久し振りの味をとても懐かしく味わった。

三浦さんも小さい時から、年越しにはお袋さんの作ってくれた鯨汁を食べるのが習慣だったそうだ。
東京で年越しをするようになっても、お母さんの味そっくりに作ってくれる奥さんの鯨汁を食べて年越しをする習慣を続けているそうで、年末には、その鯨肉の買い出しにデパートの食品売場へ出かけるのが、三浦さんの年中行事の一つになっているという。
この鯨汁にまつわる話しが、子供たちの通信簿の話と共に描かれている作品『歳末は鯨を買いに』は、味覚についての随筆や食物のことが出てくる短文ばかりを集めた『スペインの酒袋』に収録されている。

〈年の暮れに鯨を飼いに――といえば、何と豪勢なとおもう人がいるかも知れないが、まさか鯨を、まるごと一頭買うわけではない。一頭どころか、一頭の何千分の一かの、しかも肉ではなくて、皮である。座頭鯨の皮である。
皮といっても、一枚二枚と数えられるような皮ではない。鯨の皮の下には、分厚い脂肪の層がある。その脂肪のところを、黒い皮をつけたまま一合枡ほどの大きさに切って、塩漬けにしたものが、座頭鯨本皮といってデパートの食品売場に売っている。
私のところでは、毎年大晦日には、その鯨の皮つき脂肪の塊が、二個必要なのだ。それをデパートへ買いに行くのを、私たちは簡単に、鯨を買いにいくといっている。
買ってきて、それをどうするかというと、大晦日の夕食に鯨汁を作る。塩をよく洗い落として、将棋の駒ぐらいの大きさに薄く切り、大根、人参、牛蒡、豆腐などと一緒に味噌汁にして、食べるときには高菜の塩漬けをみじん切りにしたものを振りかけて食べる。
この鯨汁は、いまはどうか知らないが、私の子供の時分には、郷里では欠かせない年越し料理の一つだった。肉ではなくて脂身を使うのは、寒さの厳しい土地だから、いくらかでも多く脂肪分を摂るためだろう。そんなら豚でも牛でもよさそうなものだが、鯨というのは、以前郷里の海で鯨がよく獲れたからに違いない。明治の末には、捕鯨船の根拠地もできて、昭和の初年まで鯨景気で賑わったというから、脂身など町に住む人なら容易に手に入ったのだ。
私は、郷里にいる間、二十近くもこの鯨汁で歳をとったわけだが、郷里を離れてからも、大晦日の夕食にこれを食べないことには一年が終わったような気がしない。…〉

是非、ツアーに参加して、マリエントでの鯨汁をご賞味下さい。


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