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『まぼろしの橋』

会津の柳津が描かれている長編小説『まぼろしの橋』は、昭和46年6月から翌年4月まで「週間文春」に連載され、その年5月には文藝春秋から上梓された作品である。
その翌年に“石油危機”の時代が来ようとは思いもよらない、高度成長の絶頂期に書かれている、〈著者が「私にとって最初で最後の恋愛小説……」という意欲篇〉だった。

北海道や青森の竜飛岬、山梨の甲府辺りなど、橋梁会社の土木技師の主人公が仕事で赴いた地方のことが描かれている。
北海道から東京に列車で帰る途中、小日向町に立寄る場面や、盛岡駅で乗り換えるところも描かれている。
この小日向町は架空の名称になっていて、以前に葬式に来た時に渡ったおんぼろの木の橋が、コンクリート橋に掛け替えられていたことや、河鹿の鳴声、町の裏山の中腹にあるお寺などが登場するので、読んでいると一戸町をモデルに描いていることが、愛読者であれば誰もが気付く筈だ。
主人公が再び赴任地の北海道へ向う途中で、小日向町を通過する列車の窓から、川沿いの町のむこうの山の中腹に、友人の墓のある寺の赤い屋根を見るシーンも愛読者なら見逃さないだろう、『忍ぶ川』のラストシーンの再現であることを。
惜しいかな、実在の地名で書いてくれていないのである。

お土産に買った「南部りんご」の美味しさも宣伝してくれている。
いつものように温泉も随所に描かれていて、福島では「東山温泉」や「高湯温泉」が紹介されている。

食べ物へ拘りの三浦さんが今回は、福島県河沼郡柳津町の名物菓子『粟饅頭(あわまんじゅう)』を登用させている。http://www.yanaidu.com/awa_top.shtml

これは、粟と餅米を混ぜた生地にこしあんを包んで蒸した饅頭で、色は粟をイメージした黄色で、粟のつぶつぶした感触と、餅の粘りを持ち合せた独特の食感が特徴とのこと。
基本的に手作りで、店頭では職人がおちょこのような型に詰めて作っている光景が見られることもあるそうで、福島の物産展では定番商品の一つとなっているが、手作りのため製造に時間がかかり、必ずといっていい程行列ができるそうだ。
また賞味期限が短く、2日も経つと硬くなってしまうので、長期保存する場合は冷凍する必要があるとのこと。〈Wikipediaより〉

今、金田一や一戸でも、地元のお菓子屋さんに三浦哲郎文学に因んだお菓子の創作、発掘を働き掛けているところなので、『アワ饅頭』のように、三浦さんの作品に取上げて貰えるようになれたら嬉しい。

先ずは、三浦さんお薦めの『アワ饅頭』と、ご当地「カネタ製菓」自慢の雑穀饅頭の最新作『座敷わらし』の味比べをして戴かなくてはなるまい。



『まぼろしの橋』の当ブログのバックナンバー

工事現場の世界-『まぼろしの橋』   2008/1/6(日)
http://blogs.yahoo.co.jp/onikosato/19839235.html

『まぼろしの橋』と『海底の青春』   2008/1/25(金)
http://blogs.yahoo.co.jp/onikosato/20348691.html


この小説を読むと、若い頃に工事現場の宿舎で食べた「豚汁」が食べたくて堪らなくなる。
今夜は旨い豚汁を食べよう。

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