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■写真:三浦哲郎氏の郷里の実家(岩手県一戸町)…芥川賞受賞作『忍ぶ川』に描かれている「郷里の家」
三浦さんの作品を読んでいて、ゆかりの有りそうな場面に差し掛かると、「これは何処のこと?」とか、「この人物は誰のこと?」などと、つい詮索してみたくなることが多い。
その都度、メモでも取って置けばよいのだが、のめり込んで読み続けている内に、殆どがそのままになってしまっている。
実在の人物などは、他界されてから知って、三浦さんとのゆかりを直に尋ねる機会を失ったことに悔しい思いをすることがある。
「付添婦の岩崎さん」や「長靴を預かった商店の女将さん」、「その商店の息子さん」が昨年立て続けに亡くなった。
そして、先日は「お姉さん」が亡くなられた。
どの人も面談を試みていた人達だっただけに、本当に残念で成らない。
いや、人物だけでは無い。
昨年は建物も失った。
座敷わらしの宿「緑風荘」は大きな事件だったが、他にも二戸市内の旧福岡町で、お姉さんが琴の教室に使っていた関邸も、解体の目に遭っている。
恐らく、これから一戸に在る三浦さんの実家が、それと同じ状況に曝されることになるだろう。
この家には、三浦さんや三浦さん家族の思い出が一杯詰まっている筈である。
「父の机」や「なみだ壷」など、ゆかりの品々も沢山置かれたままになっているだろう。
何よりも、芥川賞受賞作『忍ぶ川』に登場する「郷里の家」そのものなので在る。
それが老朽している上に、借家であることがとても気掛かりとなっている。
失っては成らない貴重な建物だと思うので無下に出来ないのである。
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