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三浦哲郎著書

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■画像:『私の踊子物語』表紙

 我らが「ゆのはな文庫」の蔵書には、三浦さんのサイン入の『私の踊子物語』がある。
 以前に、私たちの活動の趣旨に賛同した八戸の方から貴重な蔵書を寄贈頂いたものである。
●過去の関連記事
http://blogs.yahoo.co.jp/onikosato/28983681.html

私の本棚にも『私の踊り子物語』がある。ネット通販で青森市の書店から入手した古本だが、偶然にも三浦さんの直筆サインと捺印が入っていて、どんな経緯があったのか想像もつかないが、唯一のサイン入本なので、今は私の宝物になっている。

この本の帯には次の文章が書かれている。

   白眉の名品を香り高く1冊に収録


著者自身、踊子とともに旅し、描いた『夕雨子』と、哀しみに耐えながらも、ひたすらに生きる北の『踊子ノラ』――。
女のかたちを、移り変わる風光と凄烈な筆致に託して綴られた2編の踊子物語。



この本の《あとがき》に、単行本『夕雨子』のために書かれた《あとがき》が引用されている。「捨て難い小文」と著者が言っているので、皆さんに是非紹介したい。

〈 ひとり旅の踊子がいて、私はそのひとと知り合いになった。そのひとのことをもっと深く知りたいと思い、私は志願して、三月(みつき)か四月(よつき)に一度そのひとの巡業の旅に同行した。同行したといっても、駅で重い衣装鞄を持ってやったり、楽屋で楽譜の整理を手伝ったり、宿で夜食のお相伴をしたり、そんなことをしたにすぎない。それでも、時には、私設マネージャーやヒモと間違えられることがあった。
 この本に収めた六つの小説は、いずれもこの旅から生まれたものである。(中略)
 これは、断るまでもないことだが、私が一緒に旅をした踊子がそのまま小説のなかの夕雨子ではない。夕雨子は、私の心に棲む踊子である。一緒に旅をしていると、踊子は時折ふっと謎めいた微笑を浮かべたり、原因不明の溜息を漏らしたりした。それが、私の夕雨子の滋養になった。
 (中略)
 今後。私はもう夕雨子の小説を書くことがないと思うが、まだ当分の間は、旅先などで、いまごろ夕雨子はどこで踊っているのかと、ふとそう思ったりすることがありそうな気がする。

 ノラの方は、夕雨子と似たような踊子でも、舞台が北のさいはての地に限られているから、その一人旅も一層哀れみが深い。
 私はかねがね『夕雨子』と『踊子ノラ』を合わせて『私の踊子物語』という一巻本を作りたいと思っていたが、このたび思いがけなく郷里の伊吉書院がそれを実現してくださることになった。望外の喜びである。同書院の伊藤誠社長の御好意と、編集の一切を引き受けてくださった林剛史氏の御尽力に、心からお礼を申し上げたい。

  平成元年十二月  冬枯れの八ケ岳山麓にて
                     三浦 哲郎  〉


この文書を読んだら、是非読んでみようかという気持ちにさせられるに違いないと思うが如何でしょうか?
そのように確信を持てる名文である。


当時の伊吉書院の木造2階建の店舗は何と三浦さんの生家だったのである。
地方の書店が発行するには大きな負担だったと思われる立派な書籍は、そのようなご縁もあっての出版だったのではないだろうか。
確か、その店で出版記念のサイン会を行ったことがあって、自分が生まれた家だった所でできて感無量の思いがしたと何かの随筆に書いてあったが、この本の時だったろうか。

数カ月前に発行元の伊吉書院にこの書籍の在庫を問い合わせてみたが、期待も空しく既に完売されたとのことだった。

三浦さんは1987(昭和62)年4月から翌年3月まで、毎月1回八戸に帰ってふるさとに生きている人々50人と対談した『ふれあい散歩道 三浦哲郎とともに』を地元紙「デーリー東北」に連載している。
1988(昭和63)年11月にはそれを一冊の本に纏めた『ふれあい散歩道 三浦哲郎とともに』が発行された。
これらの編集を担当したのがデーリー東北新聞社林剛史氏なので、後の1989(平成元)年12月にこの『私の踊子物語』が出版されたのは、それまでの二人の付き合いの過程で生まれた話ではないだろうか。
《あとがき》を読んでそうのように感じているが、今度林さんにお会いする時にその辺のところを確かめてみたいと思っている。

読む会の例会にお出で頂けないかお願いしてみることにしよう。


■過去の関連記事
●『私の踊子物語』の舞台を旅して
     2007/10/9
  http://blogs.yahoo.co.jp/onikosato/17362445.html


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