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浅草の場面が印象的だと思っているが、実は小説「忍ぶ川」では二人が浅草に行こうとしているところまでしか描かれていないのである。
仲見世通りを二人が歩いている場面を映画で観ているからなのだろうか。 お陰で、浅草は「忍ぶ川」では、外せない貴重なゆかりの場所となっている。 〈「浅草? 栃木へ帰る……。」栃木行の電車が、浅草から出ていた。 「いいえ、あそびに。州崎をみたら、急にいきたくなったんです。父はね、浅草が好きでよく私をつれていったんですよ。映画を観て、花屋敷で木馬にのって、帰りにはきっと神谷バーへ寄って、あたしには葡萄酒、父は電気ブランを飲んだんです。」 「でも、せっかくの休みだから、栃木へいってきた方がよくはないかな。」 栃木には、志乃の父、弟妹達がいるのである。 「ええ。…でも、せっかくの休みだから、ふだんできないことをしたいんです。やっぱし、浅草へいきたいわ。」 私は、志乃のふだんの生活と、その日の心のはずみを想った。それでは、志乃の好きなようにしようとわたしはいった。〉 ■写真:浅草仲見世〜浅草寺 |
ゆかりの場所
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