三浦哲郎文学を読む会

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「青森県謎解き散歩」に掲載された三浦哲郎紹介欄の文章提供者である青森県近代文学館に、文章拝読の報告を差し上げたところ、また新たな情報を頂いたので紹介したい。

草稿「さすらいびと」の経緯については調査中で未だ手掛かりがないようだが、その資料収集の過程で、新たな作品が出てきているとのことだった。

三浦さんの作品で著書に残されていないものがあるようで、今回見つかった作品もそれではないかとのこと。

文学館では、昭和40年代の「週刊平凡」に、三浦哲郎・戸川昌子・富島健夫・松本孝の4人による連作読み切り短篇「恋愛百景」があると聞いて取り寄せて見たそうだ。
残念ながら、それは読み切りの恋愛小説シリーズになっていて、「さすらいびと」ではなかったそうだが、単行本には掲載されていない作品のようだというのである。
他にも、昭和38年、全国市長会の機関誌「市政」に掲載された「雪の宿にて」という作品も見つかったそうだ。
現在、青森県近代文学館で開催している新収蔵資料展では、コピーになるがこれらを展示しているので、単行本未収録原稿展のようになっているとのこと。

とても興味をそそる資料展のようなので、機会をつくって行ってみたい思いでいる。

その内容について以下に紹介する。

青森県近代文学館
新収蔵資料展「十人点描―資料が語る作家のこころ―」開催中!

  近年新しく当館蔵となった資料の中から、これまで公開されていなかったものを中心に、本県ゆかりの作家10人   (葛西善蔵、福士幸次郎、鳴海完造、北村小松、菊谷栄、高木恭造、今官一、菊岡久利、三浦哲郎、長部日出雄)の原稿・書簡・遺品等を展示します。

開催期間中の日曜日には文学館職員による講演や展示解説も行われるそうなので、時間に合わせて行けたら良いと思う。




※いずれのイベントも事前申し込み不要です。当日直接会場にお越しください。
日曜講座


日 時:2013年2月24日(日) 14:00〜15:00

講 師:竹浪直人(青森県近代文学館主事)
演 題:「資料に映る十作家の横顔」

会 場:青森県立図書館4階研修室

〒030-0184 青森市荒川字藤戸119-7 TEL 017-739-2575



日  時担当職員
 1月20日(日) 14:00-14:30 竹浪直人(主事)
 1月27日(日)14:00-14:30 伊藤文一(主幹)
 2月3日(日) 14:00-14:30 竹浪直人(主事)
 2月10日(日)14:00-14:30 飛内文代(室長)
 2月17日(日)14:00-14:30 伊藤文一(主幹)
 3月2日(土)14:00-14:30 飛内文代(室長)
 3月10日(日)14:00-14:30 伊藤文一(主幹)
 3月17日(日) 14:00-14:30 竹浪直人(主事)


会 場: 青森県近代文学館 企画展示室


資料展のチラシを転載させて頂く(裏表とも)。

イメージ 1

イメージ 2



昨日、「ハヤブサの哲―三浦哲郎」が載っている『青森県謎解き散歩』を紹介したが、それの岩手県版岩手県謎解き散歩』もあるので、同時に入手してみた。

その第4章の〈近代の人物、文学編〉欄には、岩手にゆかりの文学者たちが取り上げられているが、残念ながら芥川賞受賞作『忍ぶ川』を書いた三浦哲郎氏のことは取り上げられていなかった。
岩手に住み、そこを題材にした作品を多く残し、亡くなった今も岩手県一戸町の広全寺の墓に眠っている著名な現代作家のことが、注目されないのはとても残念でならない。
イメージ 1

イメージ 2


今月の例会で、田中会員から新刊本新人物文庫「青森県謎解き散歩」(盛田稔著 2012.H24.12.13 新人物往来社発行)を紹介された。

「岩手県謎解き散歩」を読んで、文学編に岩手にゆかりの作家たちが掲載されていたので、青森県には三浦哲郎氏も載っているのではと思って購入して確認してみたら
、やはり郷土の芥川賞作家として取り上げられていたというのである。

昨日、私も書店で入手して、第3章―文学編「ハヤブサの哲―三浦哲郎」のところを読ませて頂いた。

この文章は青森県近代文学館提供のようである
短い文章の中に作家三浦哲郎氏のことをとても上手く纏められていて、初めて読む人にも印象深く理解して頂けるだろう。
差し支えあるか分からないが、ここに紹介させて頂くことにする。


新人物文庫「青森県謎解き散歩」(盛田稔著 2012.H24.12.13 新人物往来社発行)

第3章 ― 文学編

ハヤブサの哲  ―――  三浦哲郎

三浦哲郎は、昭和六年(1931)三月、八戸市に兄二人、姉三人の末弟として生まれた。二年後の三月三日、大津波が三陸を襲う。三浦の自伝的小説『白夜を旅する人々』では、地震のあと東の空が青白く光ったと、翌日の海岸ではなにもかもが跡形もなく流され、一面の泥海の中に家の土台石が散らばり、波間に漂う残骸が次第に沖に流されていく様子が描かれている。
これが予告であるかのように、つらい出来事が続く。三浦の六歳の時の誕生日に、次姉が青函連絡船から投身。その夏、長兄が失踪。翌年秋には障害を持っていた長姉が自殺した。さらに昭和二十五年には次兄も行方不明になる。この「血」への苦悩から三浦は文学を志す。
しかし、三浦の作品は闇を指向しない。旧制八戸中学校三年で終戦を迎え、打ち込んでいた剣道がGHQの命令で禁止されると、代わりにバスケットボールに熱中し、昭和二十二年の国民体育大会には、県代表として出場。準決勝進出の大活躍をした。「ハヤブサの哲」と呼ばれたこのときのことを書いた「猫背の小指」「汁粉(しるこ)に酔うの記」(『笹舟日記』所収)は、悲しくもおかしい。
MPに剣道の道具を焼かれ、炎に向かって剣道部歌を歌ったこと、雨ざらしの体育館で、地下足袋を履いてバスケットボールをしたこと……。国民体育大会の会場となった金沢で、お汁粉の甘さに感動し、引率の先生と「明日勝ったら、二杯ずつ」食べさせてもらう約束をする。「青森県代表ハット中学」と場内放送され、「ハットなら食い飽きてらあに。お汁粉だ」と発憤する(「ハット」とは、小麦粉で作るウドンのような料理)。準決勝では札幌一中に一ゴール差で負けはしたが、「私たち」は一人五杯ずつのお汁粉を堪能するのである。
昭和四十六年、四十歳になった三浦が代々木第二体育館でバスケットボールをしている写真が残っている。それは、芥川賞をはじめ多くの文学賞を受賞した作家三浦哲郎が「ハヤブサの哲」に戻った瞬間であった。
(青森県近代文学館)

津波の災難のことをいくつかの作品に取り上げている三浦さんは、3.11の出来事については、どんな思いで文章を書いただろうか。そう思わないでいられない。

三浦さんのことについては、文中の以下の部分は特にも強調したいところだと思っている。

〈この「血」への苦悩から三浦は文学を志す。
しかし、三浦の作品は闇を指向しない。



この本には、三浦さんが多くの著書の中で紹介している郷土のことが色々紹介されていて、楽しみながら読める本なので、皆さんにもお薦めしたい。




八戸市の地域観光交流施設、八戸ポータルミュージアムはっちの3階に、三浦哲郎氏の等身大写真が展示されているそうだ。

「はっち」発行の情報誌「はっちリレーショナルプレス[はちみつ]Vol.11(H24.12発行)の館内展示紹介欄に記事が載っていると三浦哲郎ファンの高橋Sさんから情報を頂いた。
早速「はっち」のホームページを覗いて調べて見たが、どこにもそのような記事は見当たらなかった。
そこで、今日、職場を訪ねてその冊子を当方用に頂いてきたので紹介しよう。

イメージ 1
■画像1:「はっちリレーショナルプレス[はちみつ]Vol.11(H24.12発行)の館内展示紹介記事

イメージ 2
■画像2:壁面に貼られた三浦さんの等身大写真。…帰郷する母を送って上野駅へ行った時(32歳)
の写真のようだ。
横に並んで記念写真が撮れる観光スポットではないか!

展示風景が少しずつ変化しているそうだが、高橋さんも現地確認が取れていないというので、状況が気掛かりである。
もっと宣伝すればいいのにと思うのだが、先ずは、近いうちに確認に行ってみることにしよう。

若い頃の美男子の三浦さんだから、皆さんも「はっち」に行ったら3階のこのスペースを訪れて記念写真を撮ってみては如何かな。




雪の中の雪

こな雪
つぶ雪
わた雪
みづ雪
かた雪
ざらめ雪
こほり雪


津軽には七つの雪が降ると言う。

昨秋、五所川原市金木町の斜陽館を初めて訪れた時に、売店で来館記念のつもりで購入した名作旅訳文庫2青森:太宰治『津軽』を捲ると始めに「津軽の雪」(東奥年鑑より)として掲載されている。

どこかで聞いたことがあると思ったら、岩手県出身の歌手新沼謙治が歌っている「津軽恋女」の歌詞であった。
何度も繰り返し歌われるので耳にこびり付いて離れないのである。

一年の三分の一も雪に閉ざされて生活していると、雪にも色々な表情が見えてくる。
そんなことを文学者たちは実に名文に描くものである。

〈凍てつくように寒い夜、家のなかで炭火をどっさり置いた炬燵に入って、外を通る人の足音に耳を澄ましているのも好きである。
雪を踏みしめる音は、履物によって、また、それを履いている人によって、みな違う。

若い女性のレインシューズは、リ、リ、である。
男のゴム長は、リュイ、リュイである。
農夫のツマゴ(藁で作った雪靴)はリャッ、リャッ、である。
年寄の高下駄は、リーン、リーンである。

誰も通らなくなると、じいんと耳の奥に静寂の音が湧いてくる。
雪の降る晩の静けさは、まるで地の底にでもいるかのようだ。


三浦哲郎氏は初めての随筆集『おふくろの妙薬』に掲載の『郷里の雪』で、一戸の雪をこのように描いている。

雪国の人達には真っ白いキャンバスの雪の中から、素晴らしい情景が見え、聞こえてくるのである。


静まりかえった夜に、遠くから鈴の音を鳴らしながら近づいてくる馬橇の気配を感じて体が騒ぐような子供の頃の情景が懐かしい。
急いで外に駆けだして行って隠れるように馬橇の後ろに掴まって滑る遊びが密かな楽しみだった。
ほっぺも、耳たぶも、手の甲も霜焼け、アカギレの瘡蓋(かさぶた)だらけになるのもお構いなしに、どうしてあんなに夢中になれたのだろうか。

今夜も窓の外は降る雪とシバれる夜なのだが、昨今の高気密高断熱の家からでは、外の足音や風の音も聞こえてこない。
今夜は何雪だろう?
このように情緒が失われては人の心を打つような名文は生まれてこない。

現代住宅の中の暖かさとは裏腹に、田舎の冬はこれから更に一段と厳しい寒さを迎える時節に入ろうとしている。



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