近頃、枕元に『母の微笑』(単行本)を置いて、ポツリポツリと読んでいる。
これは平成12年11月に日本経済新聞に掲載された『私の履歴書』が中心になっているので、三浦哲郎氏の人となりを知るためにはお薦めの本である。
しかし、すでに絶版となり入手が難しいと思われるので、最新作の『恩愛』はこの履歴書と重複する内容となっているので是非とも読んで頂きたい。
振り返れば平成六年八月二十日発行の『時のせせらぎ』-若き日の追想紀行ですでに発表になっている履歴書的内容が整理されているものと言っても良いだろう。
履歴書的なものとしてはデーリー東北新聞社発行の『作家生活50年 三浦哲郎の世界』も必読本と言える。
これらの本に接することで、三浦哲郎のことを深く理解できて、色々な作品に触れる時の感慨も一入になるはずである。よく「三浦哲郎の作品は暗くていけない」などと言う人がいるが、作家の履歴を辿り、人となりを知ることによって、見方が随分違ってくるのではないだろうか。
『母の微笑』(単行本)の「あとがき」に、三浦さんの思いが綴ってあるので抜粋させて頂くことにする。
《この本は『私の履歴書』を中心に、その前後に発表したものを集めたが、履歴書を除く小篇を書くときは全くそのような意図がなかったのに、集まったものを見て、このところ作者の関心がいまは亡き肉親たちへ傾きがちであったことに気がつく。
『私の履歴書』は平成12年11月、日本経済新聞に連載した自伝だが、なかには尻切れトンボに終わっていると思う読者がいるかもしれない。これは連載期間が一人一ヶ月ときまっていて、一回の分量が400字詰め原稿用紙4枚だから、せいぜい120枚で生涯を語り切らねばならないことになる。それは、私の力ではとても無理だから、せめてごく普通の新聞読者が、この男は何故文学の道を歩むことになったのかを理解できるところまでを書いたのであった。あとは、かくして現在に至る、である。
自伝は辛いが、身が引き締まる。私は、青息吐息で、けれども充実したひと月を過した。》
勿論、「履歴書」であるから、「父の生まれた所:金田一村湯田」のことが随所に出てくる。
その「金田一村湯田」に関連した部分を辿って行きながら、しばらくの間、三浦哲郎氏と金田一温泉との関わりを探求してみることにする。
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