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『落葉』

昨年は雨に降られたバスツアーだったから、今年の天気が気に掛かる。
明日の予報は今のところ「曇り時々晴れ」で、どうやら天気は持ちそうだ。
晩秋の紅葉もまだ見られるし、何よりも広全寺の大銀杏の落葉の様子が楽しみである。
今年もまた春覚和尚が銀杏の絨毯を敷き詰めて待っていてくれることだろう。

この銀杏の落葉のことは
随筆集『下駄の音』の中の『落葉』などに次のように描かれている。

《寺の境内には、一株の銀杏の大木があって、この木の落葉の光景は実に見事なものだというが、私はいまだに見たことがない。
いつ帰ってみても、黄色くなった葉をまだぎっしりとつけているか、そうでなければすでに一枚残らず落葉しているかの、どちらかである。
寺の住職の話によると、この銀杏は、毎年十一月初旬のある早朝に、なんの前触れもなく突然葉を散らしはじめて、わずか三十分ほどの間にすっかり裸になってしまうのだという。前触れはないが条件があって、落葉するのは冷え込みのきびしい、よく晴れた朝にきまっている。
住職は早起きだから、そんな朝、本堂の前に出て厚く黄葉している銀杏を見上げていると、裏山から昇る朝日の濃い桃色の光線が庫裡の大屋根越しに銀杏の梢に当った瞬間、まず最も高いところにある葉が一枚、ひらりと落ちる。すると、それをきっかけに、朝日を浴びた葉が次から次へと枝を離れ、やがてさわさわという音をたてながら、梢の方からみるみる裸になっていく。
「さわさわと、衣ずれににた音をさせて…」と住職はいう。「まるで巨人が黄金色のマントを足元へ脱ぎ落とすようにです。」
三十分もすると、葉という葉は落ち尽くして、もはや枝には一枚も残っていない。》

それを、三浦さんのおふくろさんは見たのだという。
できることなら、一度見てみたいものだ。

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