三浦哲郎文学を読む会

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前回掲載した三浦哲郎文学研究家の森林康さんの話しは、非常に良い話だったのだが、当方の力量不足で上手く伝え切れていないかも知れないのが申し訳ない、

そこで、ブログをサーチして見つけた
「喜多圭介のオフィシャルブログ」http://blogs.yahoo.co.jp/ki1ta2/44730099.html
で「三浦哲郎の文学」の項に「こころを描く」と題して、大変上手く解説してくれているのがあったので、皆さんにも読んで頂きたい。


〈主人公のゆらめく心模様は読者のゆらめく心模様でなければ、主人公が収まりかえって何かを講釈していてもなんの面白味もない。

そこで「こころを描いた」作品をと、三浦哲郎著『じねんじょ』という原稿用紙十三枚ほどの掌篇を引っ張り出してみたが、この作品の解釈は私には荷が重い。この作品はプロの作家同士が短編を競い、その結果、三浦哲郎が第十七回川端康成文学賞受賞、賞金百万円を得たというものである。

小説作法の最高レベルのテクニックが駆使されており、これを見破ることさえ私には難しい。しかし創作者の一人としてこの作品を読み解いてみようと思う。〉


そこでは、三浦作品の『じねんじょ』を解説している。


作家三浦哲郎氏は、正に《こころを描く名士》なのである。

森林康氏に面談した時に、幾つか印象に残った話しの中から書き残して置くことにする。

『とんかつ」という短篇小説のように、短篇という枠の中で無駄を極力削いで、奥行きを増す文章手法は三浦さんの凄いところで、三浦流に緻密に考え抜かれた文章が三浦文学の醍醐味なのだと教えてくれた。

「とんかつ」では、主人公にピントを合わせて、細かな描写をして、廻りの登場人物はさり気ない極力抑えた描写にしてピントをぼやけさせている、それがかえって主人公をクローズアップさせていて、読者にブレを感じさせないで、引込まれる小説に仕上げてある。それが三浦文学の魅力で、三浦さんのすばらしいところだ。
何度も読み返していると、そういう作者の思惑が見えてくるようになり、本当に良く考えて文章を書いている人だと分る。と話していた

森林さんは「月」に拘りがあるようで、日常でも月暦を大変気にされている人だった。
緑風荘が焼失した日は、前日が満月の日だったが、細くいうと焼けた日の方が満月に近いので、『ユタとふしぎな仲間たち』のラストシーンの内容に益々似ている出来事だった、と、私たちには気付かない視点で小説を分析していた。

そして、他の作品でも色々な場面で「月」の描写を拘って登場させているので、同じ思いの三浦さんを見たと話してくれた。
『愁月記』では、お袋さんが危篤だと聞いて、列車に乗って一戸に帰って来る途中途中や、お袋さんが亡くなるまでのシーンで、それぞれの<「月」の描写を多用して、季節感や時間経過、心境の変化を表現している。これを読者側でそれぞれの思いで感じ取らせるという、巧みな手法を使って文章が構成されている。三浦さんは「月」『ブンペと湯の花』『ユタとふしぎな仲間たち』でも「夏みかんのような月」などとして、登場させている。
「花」「植物」も同じようなかたちで描いて、それぞれに意味をもたせていることが多いのも、三浦文学の魅力なのだと言う。

さすがに、三浦文学研究家である。何となく読んでいるところにも深い魅力が潜んでいることを教えて頂いた。
これからも、もっともっと三浦文学の魅力を気付かせて頂きたいと思う。

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