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正月に読んだ『駱駝の夢 上・下』につづいて、『剥製』を読んだ。
どちらも、太平洋戦争の時代に生きた人々の物語りで、作者の三浦哲郎氏の思いのこもった作品となっている。
本のあとがきにその思いが書かれているので紹介する。
《この本には、年少の兵士たちや、女子挺身隊員たちの束の間の春を描いた作品を集めたが、私には、彼らの辿った生涯がとても他人事だとは思えない。彼等は、もしあの突然の終戦がなければ私自身が辿ることになったかもしれない短い生涯を生きたのであり、そういう意味では、彼等の一人一人が、まぼろしの私自身に他ならないからである。》
この本には以下の5篇の作品が掲げられている。
『剥製』(1970.S45.7.15河出書房新社)
・冬の狐火(旧:白い断章)
・蒼い断章
・火の中の細道(旧:娼婦の腕)
・非情の海
・剥製
( )内は、改題を示す。
戦争を知らない私たちの世代にとっては、想像できない世界だが、それを直ぐ上の世代の三浦さんたちが体験していて、それをこのような小説を通して後世に伝えるということを行っているのである。
どの小説もこの地域が舞台として描かれているのがうれしい。
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