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『熱い雪』(1967.S42.11.30大光社発行)を入手した。
2月例会で「ゆのはな文庫」に購入されたものを見て、どうしても欲しくて堪らなくなり、ネットで探して買ってしまった。
この本は、当時380円だったのが、知られていない出版社で発行部数が多くなかった所為なのか、ネットでの古本は4,500〜10,000円と随分高い値が付いていて、品薄なのである。(今回は、それでも運良く少し安いものにめぐり合うことができた)
でも、プレミアが付いている要因はそれだけではないようだ。
私もどうしても欲しくなったのが、唯一三浦さんが書いたラジオドラマの台本が掲載されているからであった。
三浦さんは昭和30年代後半から数年、NHKのラジオ番組のためにドラマの台本を書いていたことになっているのだが、その作品が掲載された本を、今まで見ることが出来なかったので、先日の例会でこの『熱い雪』を見た時に、その台本が載っているのを見て驚いた。
「芸術劇場」という番組のために書かれた『夜の鳥』という作品である。
三浦さんはこの番組のために、年に1本ずつ書いていたそうだが、もともと活字にして発表するつもりがなかったらしくて、『夜の鳥』がその年の台本で、ディレクターの竹内日出男氏に相談したところ、この作品を選んでくれたのだそうだ。
この叢書の魅力は、一人の作家の作品を出来るだけ幅広く収録するのを眼目にしていることで、三浦さんの小説と、エッセイと、ドラマの台本ということになっている。
私の大好きな『ある外套の話』は、昭和40年「文學界」7月号に発表当時『毛布の外套』という題だったものが、この本で改題されている。
『しづ女の生涯』、『熱い雪』も載っている。
エッセイは「新潮」の〈作家の眼〉という頁に書いたもの中心に集めたものだという。
三浦さんは、随筆への拘りを「あとがき」のところに次のように書いている。
《エッセイと随筆をおなじものとして扱う人もいるが、私の場合はちょっとニュアンスが違うというふうに受取っている。そして、どちらかといえば随筆の方が、自分の性に合っていると思っている》
このblogでも今まで三浦さんの作品を「エッセイ」と書くことに違和感を感じていたのだったが、この「あとがき」を読んで、やはり三浦作品は「随筆」が相応しいと、頷いてしまった。
『熱い雪』と『夜の鳥』や随筆は未読作品なので、これから読むのを楽しみにしている。
ラジオドラマ『夜の鳥』は、村の農家の出稼ぎや湯治場の話のようなので、もしかして、これも金田一温泉郷にゆかりの作品になるのでは…と期待しているのである。
もう一つ、この本には書斎にての当時の若い三浦さんの写真が1枚載っているのも、大きな魅力なのだが、著作権のこともあり、blogに掲載できないのが残念である。やはり、美男子だった。
掲載の随筆
・私と私小説
・書けないとき
・小説とテレビドラマ
・ひとつの死をめぐって
・愚かな質問
・子を連れて
・こわい相手
・一つの自画像
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