|
明るく明るく生きてほしいとの願いを込めて、日を三つ重ねた《晶子》。
小説『忍ぶ川』の作品からとって《志のぶ》。
発表したばかりの短篇小説『泉』の気丈な農夫にあやかって《泉》。
先日の葬儀の際に、初めてお目に掛かった三浦さんの三人の娘さんたちを拝見していて、失礼ながらも、それぞれの名前のことを思い出していた。
三浦さんの家族のことは、多くの作品に詳しく描かれているので、初対面であったのに、自分の身内のことのように良く分っているつもりになり、親近感が湧いてくるのを感じた。
『林檎とパイプ』を読んでいるから、長女の晶子さんには特にその思いが強い。
当人たちには、傍迷惑なことかも知れないが、愛読者にそんな思いを抱かせるほど、三浦哲郎という作家は、世の中にはこんな家庭があり、こんな家族が居るんだよと、手本を示すように、自分の家族のことを素直に描写してくれているのである。
喪主の変わりに挨拶された晶子さんの心のこもった言葉や、境内で参列者の見送りに立たれた三姉妹の顔を思いだしながら、『林檎とパイプ』を読み返している。
そして、作品を手に持つ度に、葬儀でお見掛けすることができなかった三浦さんのことが気掛かりでならないのである。
|