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■写真:一戸町に在る三浦哲郎氏の実家
東京に住んでいる三浦さんの家族が郷里の実家と呼んでいる一戸町の家には、今はもう誰も住む人がいない。
この家の今後の行方が気掛かりである。
昨夜、ある会合で一戸町の稲葉町長にお会いする機会を得たので、この件について話をさせて頂いた。
今、一戸町で三浦作品にゆかりのある建物で現存しているのは広全寺とこの家だけになり、『忍ぶ川』など多くの作品に描かれている、とても貴重な建物なので、一戸町でも保存に協力して戴きたいとお願いした。
この家が借家らしいので、余計に気に掛かるのである。
これまでに、『愁月記』でお袋さんが入院していた岩手県立一戸病院や、『わくらば』に綴られているお父さんと一緒に入浴した思い出の銭湯、『忍ぶ川』の一戸駅の木造の屋根のプラットホームなどは皆壊されてしまい、作品に描かれている情景を味わう事ができなくなってしまった。
三浦さん家族が、父の実家である金田一湯田の家から、この家に引越してきたのは昭和28年の春3月であった。
あれから57年間、三浦さん家族がここで過した。
家族の思い出が一杯詰まっていて、それらのことを多くの作品に描いて残している。
昔、2階で蚕を飼っていた農家を改造した家を借りたと書いて在ったので、建物の寿命は相当古いものと思われるが、三浦哲郎文学作品に大変ゆかりのある建物だけに、保存の気運が高まることを期待している。
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