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このブログの愛読者だという東京のEさんが訪ねて来た。
先日、金田一温泉郷・三浦哲郎文学散歩のマップが欲しいとの電話を頂いた方である。
東京から1人で車を運転して来られて、宿泊先の金田一温泉・きたぐに旅館に昼前に着いたので、知人の農家レストランに案内して、手打蕎麦を一緒に食べながら、初対面の挨拶と情報交換をした。
その後、金田一温泉の文学散歩コースをガイドしながら一緒に散策した。
Eさんは、高校生の時に、それまで小説を読まなかったのに、偶然に『忍ぶ川』を読んで感動して以来の三浦ファンだと言う。
大学生だった二十歳の頃に、京都で三浦さんの講演会が開催されることを知り、直接本人に会ってみたくて、友人から汽車賃を借りてわざわざ講演を聞きに行ったことがあるそうだ。
その時に、会場で三浦さんに会って、東京から駆けつけたことを話してサインを強請ったら、「わざわざこんな遠くまで来なくても、今度は自宅に遊びに来なさい」といってサインをしてくれたそうだ。
その優しい言葉に感激し、真に受けて後日自宅を訪問したという。
しかし、その日は運が悪いことに、「明日、ロシアに取材旅行に出掛けるので、準備で忙しいから時間が取れない」と言われて、会って貰えなくて残念な思いをしたという、とても大きな思い出の持主だった。
『忍ぶ川』に出会って以来、古本を探して読んだり、新しい本が発刊になる都度購入して読み親しんで来たそうで、色々なことを知り尽している本格的マニアだった。
Eさんに取って三浦哲郎文学で最も印象に残る作品は『赤い衣装』(著書『真夜中のサーカス』に収録)という短篇小説だそうだ。
出版されたばかりの頃に書店で立ち読みしていて、兄から赤いミニスカートを買って貰った妹の悲惨な衝撃的結末に、腰が抜けてその場にしゃがみ込んでしまったと、思い出を話してくれた。
三浦哲郎文学に造詣が深い人へのガイドだったので、一緒にコースを散歩していても、話し込んでしまうほど十分時間を掛けた文学散歩となった。
長旅で疲れていた筈なのに、熱心に文学散歩を体感して、満足して頂いたようなので、ガイドの方もやり甲斐があった。
「三浦さんは田舎の食べ物のプロデューサーでは無かったか」と言って、「作品に描かれているこの地域の食べ物を、ここへ来れば食べさせて貰える所が在ればいいのに」と、アドバイスを頂いた。
今日は、一戸のゆかりの場所にも寄って帰ると話していたが、未だ文学マップが整備されていない所なので、上手く探し当てることができたか気掛かりである。
最新作『おふくろの夜回り』が出版されてからもう大分経つのに、三浦さんゆかりの地で購入したかったと言って、旅館から紹介された堀野の高村書店に寄って買って行ったそうだ。
高村書店では最後の一冊を買うことになったので、補充が必要では無いかとの連絡を頂いた。
無事に帰宅できることを祈っている。
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