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ネットで三浦哲郎原作の映画『野良犬と娼婦』製作についての記事を見掛けたので調べてみた。
今まで聞いたこともない題名だが、第三の映画か?と期待を膨らませて、資料を取寄せてみた。
それは、昭和36年(1961)に発行された映画雑誌『映画評論』6月号(映画出発行)に載っていた。
シナリオ『野良犬と娼婦』
・原作:三浦哲郎 「村の災難」より
・脚本:吉田喜重
前田陽一
・監督:吉田喜重
この雑誌に、三浦哲郎の作品「村の災難」を元に脚色したシナリオが掲載されている。
雑誌には映画評論家・佐藤重臣が、3本の映画を世に出した頃の映画監督・吉田喜重を評した『吉田喜重論』も掲載されていて、この中でも文末に
〈吉田は、いま、第四作『野良犬と娼婦』にとりかかっている。〉
と書かれている。
しかし、ネットで調べても、映画が完成したという情報は見当たらない。
この脚本は、当時、発表されて間もない三浦さんの原作「村の災難」(1961.S36.文學界に3月発表)に脚色されている。
原作者の了解を得ていたと思うが、果たして、未完に終った原因は何だったろうか?
内容は、終戦後の進駐軍が日本から引き揚げて行く時に捨てられた飼犬と娼婦を題材にした物語で、別作『はまなす物語』にも通じる題材になっている。
肉を与えられて贅沢に育てられた飼犬が野良犬化して、家畜や人を襲うようになり、それを退治するのに、飼犬と一緒に買われていて犬が馴染んでいた娼婦が犬退治に力を貸して、野犬化した犬に襲われてしますというストーリーとなっている。
これは、八戸地域で問題になった事実を三浦さんが調べて小説にしたという。
三浦文学作品第3の映画はまぼろしだったのか?
50年近くも昔の古い雑誌の黄ばんだページを捲ってみると、当時の世相がよく分り、懐かしく思えてくる。
映画に詳しくない私でも十分楽しめる本だった。
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