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少し古いが小説『忍ぶ川』についての記事を紹介します。
■YOMIURI ONLINE ポケットに1冊
『忍ぶ川』 三浦哲郎著
http://www.yomiuri.co.jp/book/column/pocket/20100914-OYT8T00765.htm
8月末、79歳で死去した作家の三浦哲郎さんには伝説がある。30年ほど前、小説の原稿を編集者がなくしてしまい、再度書いた。間もなくして元の原稿が出てきて、編集者が照らし合わせたところ一字一句同じだった――。
真相は、書き直す直前、元の原稿は見つかっていた。クビを切られることを覚悟して謝りにいった編集者に、「見つかったのは残念。句読点すら同じに復元する自信もあったのになあ」と語った三浦さんの言葉が誤伝されたらしい。とはいえ、伝説には説得力があった。「小説は文章」と思い定め、とことん推敲(すいこう)する短編の達人だったからだ。
妻との出会いから結婚までを描いた初期代表作「忍ぶ川」も文章が端正で、〈読むたびに心の中を清冽(せいれつ)な水が流れるような甘美な流露感をたたえた名作〉である。1988年の「文芸春秋3月号」に発表された読者アンケート「思い出に残る芥川賞作品」では、「太陽の季節」に次ぐ第2位。新潮文庫は86刷162万3000部のロングセラーになっている。(514円)(飼)
(2010年9月15日 読売新聞)
なるほど、三浦哲郎さんの伝説か。
苦難を体験した作家だっただけに、これからもまだ知られていない伝説が表ざたになり、語り継がれて行くことになるだろう。
「思い出に残る芥川賞作品」の読者アンケートで第2位とは凄い。
新潮文庫が86刷162万3000部のロングセラーだなんて驚いてしまう。
文庫本だけでもこの数なのだから、全国にはこれ以上の多くの読者がいるのだと思うと、「みちのく文学路・三浦哲郎文学散歩」へ誘う手立てを講じないでいられなくなる。
一戸町には『忍ぶ川』の文学碑が在り、何よりも小説の舞台がそこに在るのだから、愛読者がそれを知ったら堪らないだろう。
やはり「三浦哲郎」は偉大な作家なのである。
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