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三浦哲郎文学にゆかりの人や場所を探し当てて、ピックアップして行きたいと思って活動していると、市の広報誌やマスコミが取上げれてくれるので、それを見て情報を下さる方々に巡り合う機会がある。
以前にも紹介した『出刃』(『木馬の騎手』(初出:月刊雑誌〈波〉S54.3月号〜翌54.4月号に連載、単行本:1979.S54.10新潮社発刊、文庫本:1984.S59.1新潮社発刊)、『三浦哲郎自選全集 第8巻』に収録)という小説に出てくるブロイラー工場の場面についても、自分の会社のことが描かれていると教えてくれたのは。友人の(株)十文字チキンカンパニー社長の十文字保雄君だった。
少し古い話題になるが、その十文字君が小説『出刃』との関係について、昨年三浦哲郎さんが亡くなられて間も無くの自分のブログに書いていたので紹介する。
■きまじめチキン日記
亡くなられた芥川賞作家、三浦哲郎さんの作品に当社が‥ 2010年09月30日
http://www.kimajime.com/archives/51774623.html
処女作「忍ぶ川」で芥川賞を受賞し、座敷童子(ざしきわらし)が出る金田一温泉を舞台にした「ユタと不思議な仲間たち」は劇団四季のロングランミュージカルになっているという著名な作家です。
その三浦さんの短編で「出刃」という、ブロイラー工場に勤める母をめぐる息子(与五)の心情を描いた作品があり、「木馬の騎手」という単行本(1979年発刊)に収められております。ちょっとだけ引用させていただきます。
いまから五,六年前までは、与五のところでも鶏を二〇羽ほど飼っていて、与五はよく母親と一緒に産みたての卵を手籠に入れて、村はずれの通称十文字という養鶏場まで買い取ってもらいに通ったものであった。十文字では、村から買い集めた卵と自分のところの卵を一緒にして、町のマーケットや食料品屋に卸していた。
いまはもう、鶏など一羽もいないが、それは十文字が、もっぱら卵をとっていた養鶏場を卵よりもっと儲かるブロイラーの飼育場に切り替えたからで、新しくブロック塀で囲まれた十文字の裏庭には、スレート屋根の建物や暖房の煙突が聳(そび)えたりして、以前の養鶏場の面影がすっかりなくなっている。
いや、本当にリアルに創業期当時の様子を解説していただいております。父と3歳違いだし、お目にかかったことがあるんでしょうね?
昭和54年頃に書いた小説だが、背景は金田一温泉が舞台に思える内容になっている。
この地域では出稼ぎ家族が多かったので、何処かの家の話を題材にしたのかも知れない。
しかし、ブロイラー工場の様子の描写は非常にリアルに書かれているので、三浦さんは間違いなく工場見学をして書いたに違いない。創業者である十文字君のお父さんが三浦さんと面識があったかどうか是非尋ねてみたいと思う。
因みに、上の記事に掲載されている写真に『木馬の騎手』の文庫本が4冊並んで写ってのを見ると、十文字君がこの三浦さんの著書に相当愛着を持ってくれている様子が伺える。
■過去の関連記事
『出刃』とブロイラー 2008/1/8(火)
http://blogs.yahoo.co.jp/onikosato/19896204.html
『木馬の騎手』 2007/8/4(土)
http://blogs.yahoo.co.jp/onikosato/14856249.html
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