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三浦哲郎文学はこれからも、研究され、評論されていくのだろうか?
ある編集者によると、三浦哲郎文学は文壇界では高く評価されていたが、文学者や作家にそれは期待できないだろうとのことだった。
文学界のことはよく分らないが、日本現代文学や短篇小説の観点からそれなりに高い評価を得ていたのであれば、もっと功績を研究して評価をして貰いたいと思うのは、ファンとしての望みでもある。
芥川賞作家で、数々の文学賞も受賞し、現代日本文学の大家と評されていた三浦さんについては、これまでにも色々な方面で研究論評をされてきていることと思うが、刊行本に掲載されている解説以外に、論評らしい文章を読む機会が無かった。
そこで国立国会図書館サーチで検索してみることにした。
「三浦哲郎-記事・論文」の項
http://iss.ndl.go.jp/books?filters[]=1_2&any=%E4%B8%89%E6%B5%A6%E5%93%B2%E9%83%8E
この中には、月刊小説誌等の大衆誌に掲載されたものや、三浦哲郎さん本人のものも列記されているが、大衆向けでない学術系会報や学内誌などに掲載されたものも多く含まれていて、興味の湧いてくる「論文」がいくつも並んでいるのには驚いた。
秋山駿や高井有一など親交の深かった作家の論評も是非読んでおきたいものである。
●批評の透き間(5)私小説と三浦哲郎 [秋山 駿 邑書林 / 邑書林 〔編〕]
●多彩な平明さ--三浦哲郎「野」(新書解体) [秋山 駿 文芸春秋社 1975-02]
●ひたすらに書き続けた一生 (追悼 三浦哲郎) [高井 有一 新潮社 2010-11]
私が特に目を引かれたものを以下に掲げて見る。
●三浦哲郎は面白い =Tetsuro Miura is amusing [関谷 一郎 現代文学史研究所]
●瀬戸内寂聴と三浦哲郎と(文芸時評) [細窪 孝 新日本出版社 / 日本民主主義文学会 編]
●三浦哲郎文学の特色--亡びの血の超克 [豊嶋 昌志 富士大学学術研究会/富士大学学術研究会 編 1992-03]
●三浦哲郎 (文学における妻の投影<特集>)--(現代作家とその妻) [山敷 和男 至文堂/至文堂〔編〕1975-12]
●「忍ぶ川」(三浦哲郎) (近代文学が描く愛と性<特集>) -- (作品の描く愛と性)
[与那覇 恵子 至文堂 / 至文堂 〔編〕 1987-10]
●文学とメディア 三浦哲郎『ユタとふしぎな仲間たち』--劇団四季・ミュージカル化の試みとの関連から
[増満 圭子 東洋学園大学 / 東洋学園大学 〔編〕]
●「おろおろ草紙」(三浦哲郎)の分析研究 (〔早稲田大学〕創立百周年記念論文集) -- (日本文学の断面)
[武田 勝彦 早稲田大学政治経済学部教養諸学研究会 1982-11]
●三浦哲郎研究--「団欒」から「石段」へ [近藤 洋子 東海学園女子短期大学 1996-09]
●三浦哲郎作品論--『白夜を旅する人々』 =A study on Miura Tetsuo's works: Byakuya wo Tabisuru Hitobito
[近藤 洋子 東海学園大学日本文化学会 / 東海学園大学日本文化学会 編 2008]
これらは、特にも興味をそそる題名になっているので、是非読む機会を得たいものである。
そんな思いの中、一昨日、私のところに一冊の三浦哲郎文学研究論文が送られてきた。
●三浦哲郎初期恋愛小説論 ー「湖影」をめぐってー(1998)
「近藤 洋子 和泉書院 東海学園女子短期大学国文学科創設三十周年記念論文集
-言語・文学・文化-」H10.4.1発行
送り主は、先日、文学散歩ガイドマップの問い合せを頂いて、購入して貰った方で、この論文の著者だった。
早速、読ませて頂いたが、内容は『湖のほとり』から『湖影』へ、そして『水の中の神話』に至まで3度に渡って改題された作品について、作者が一つの題材から物語をどうふくらませ、拡げていったのかを、前後を比較しながら、掲載誌の置かれていた時代背景も含めて考察されていて、なるほどと頷きながら読まされる内容になっていた。
この著者と内容については、この後、また続きを書くことにする。
進呈されたこの本は、有難く頂戴して早速例会で披露した後、『ゆのはな文庫』の蔵書として保管させて頂くことにするので、興味のある会員は貸出しを受けて読んで下さい。
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