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以前に、倉敷のやまさきさんから教えて頂いた内田百?の「阿房列車」をネットで入手できたので、「金田一駅」のことが載っているという「東北本線阿房列車」の項を真っ先に読んでみた。

この作品の初出誌は、昭和27年「小説新潮」2月号なので、60年も前の、私が生まれて間もなくの頃のことである。
内田百?一行が途中下車して宿泊した盛岡から、次の宿泊地青森県浅虫温泉までの間に通過した「金田一駅」は列車が停車した時に感じたことを書いているだけで、下車はしていない。

内田百?が愛用している字引は金田一京助の明解国語辞典で、家でも一寸見ることがあると、家の者に、「書斎のきんだ一を取ってくれ」と頼む。その字引と同じ名前の金田一と云う駅に着いたが、家族ともども言い慣れている「きんだ一」が、ホームの駅名の掲示に、「きんた一」となっているのを見て大分気になったと言う。

人の名前と駅名とは、違うかもしれないが、どっちが正しいのかと、車窓から見える方々の名前を目を凝らして確かめているのである。
駅の改札口の上の額入りの駅名は「きんだ一」で、別のホームの駅名掲示や次の駅の目時のホームの掲示で隣駅の名前が出ているのを確認したら、やはり「きんた一」となっていたので、多数決で判断すると「きんた一」が正しいのだろうと結論づけている。

一戸駅辺りから見えてきた線路に平行して流れている大きな川の名前を「馬淵川」だと教えられて、「まべち川」と読んだり「まぶち川」と読んだりしているのは、この辺の人達がそれを訛って、まべち川と云うのだろうと書き残している。


私は、「きんだ一」と「まべち川」と読んでいるが、普段、言い慣れている所為もあって気に掛けないでいるので、改めて考えさせられた。
川名は「馬淵川」と「馬渕川」の二つの漢字が使われているが、使い分けの意味も分からない。

果たして、どちらが正しいのだろう。


阿房列車はこの東北本線を青森駅まで行き、その後、奥羽本線へと続いて「第一阿房列車」は終わっている。

今日届いた新潮文庫の「第一阿房列車」、「第二阿房列車」、「第三阿房列車」は、良質の古本を纏めて購入できたので、懐かしい一昔前の時代のことを思い浮かべながら読んでみることにしよう。

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