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『乳房』

明日の例会での作品紹介を『乳房』にしようと予告したが、改めて読み返してみて、どうも御婦人の会員が多い読む会の例会で輪読するには問題があるような思いがしている。

今回は最近出版されたコレクション 戦争×文学15『戦時下の青春』に三浦さんの作品『乳房』が収録されていたので、皆さんに紹介しようと思ったのだった。

三浦さんの乳房への拘りは色々な作品で描写されている。しかし、それらはどれも厭らしさを感じさせない表現の文章で描かれている。
と、思うのは私だけだったら、やはり明日は問題だな。
予告してしまった手前、明日は輪読は止めにして、作品の内容の紹介に留めることにした方がよいかもしれない。

この『乳房』という作品への三浦さんの思いを書き残しているので、再掲載になるが紹介したい。



《私は、自分が田舎育ちのせいか野趣というものに強い愛着を抱いている。それで、田舎の片隅で黙々と自分たちの暮らしを営んでいる、いわば野の人々を書く のが好きだが、この『草の宴』は、そんな私の〈野の小説〉の最初の作品だといっていいだろう。短篇としては少々長いが、自分でも好きな作品の一つなので一 緒に収録した。
もし、自分の初期の短篇から一遍だけを選べといわれたら、私には『乳房』(41年「新潮」5月号)を選ぶほかはない。これは、知人の思い出話と自分の戦争中の体験とを絡み合わせて書いた、きっちり三十枚の作品だが、これを書き終えたとき、やっと短篇らしい短篇が書けたという気がした。出来映えはともかく、これを選びたくなるのはその時の自分の安堵感がいまでも忘れられないからである。》


この文章は、私の好きな『三浦哲郎自選短編集』の中の書下ろしエッセイ『私の短篇小説』に掲載されている。

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