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めちろ

先日の運営委員会の時に「めちろ」のことが話題になった。
金田一に住む小笠原会員と一戸町の熊谷さんが「うちのほうでは〈めっつる〉って言っていたけど」「私のところでは〈めちろ〉と言っていたよ」と話しているが、何のことか分からないので聞いてみると、三浦さんの新刊『完本 短篇集モザイク』にある『めちろ』という作品タイトルをみて、昔のことを思い出したと言うのだった。
どうも、方言らしいので、二戸の〈ほごずの会〉発行の南部弁辞書『にのへ里ことば 第2集』を調べて見ると

めっつる = 目汁、涙   活用例「ゆぶくてメッツル はなっつるぁ出で てぁへんだ」

と載っていた。「なみだ」のことであった。


私も思い出せないでいる、今はほとんど使われることが無くなった南部弁を、三浦さんはまたも貴重な文章にして残してくれていたのである。

この作品は、12月に映画『忍ぶ川』追悼上映会を開催した岩手と青森の県境にある青森県八戸市南郷区つまり旧南郷村が舞台になっている作品である。

  市の博物館へ出かけているエリザベスの帰りが遅い。…

という書き出しで始まるので、外国人の女性のことだろうと思いながら読み進めてしまう。
その気遣いは最後まで続いている。

 仁作は、外の月明かりを映している窓を大きく開け放ってやった。すると、そのとき、エリザベスのまるく見ひらいた目のなかに、ぽっちりと小さな光が宿るのが見えた。仁作は、それがなんの光かわからぬうちに、子供のころに使い慣れたこのあたりの古い方言で、あ、めちろだ、と呟いた。
 めちろは、文字にすれば目露で、涙のことだ。
 いまのは、確かにめちろだったと仁作は思い、鼻の頭に小皺(こじわ)を寄せてちょっと舌打ちしそうになった。それから、うっかりしてめちろなどを見せてしまったエリザベスがどぎまぎしなくて済むように、しばらくの間そちらに背を向けたまま窓辺に立って、森林公園から風に運ばれてくる微かなトランペットの音色に耳を傾けていた。



昭和の始めにアメリカから親善の贈り物として日本各地へ1万2千もの青い目をした人形が送られて、南郷村では二つの小学校に届けられたそうだ。
戦争や火災などの苦難に遭いながらも残されたその一体のアメリカ人形に纏る、事実に基づいて書かれたと思われる物語になっている。
今はジャズの里として有名な南郷村のジャズについても、三浦さんは、書き残して南郷のことを大いに宣伝してくれている。
森林公園から聞こえてくるのはそのジャズフェステバルの賑わいなのである。


これは、『群像』平成12年1月号に掲載された、11年前の作品である。
果たして、今、エリザベスは、瓶入りコカコーラを買いに行った万屋の看護学生だった末娘や、郷土資料館、仁作はどうなっているのだろうか?


先日知り合った南郷図書館の館長さんに相談してみることにしよう。



※関連ブログ
Kouさんの【゚+..+゚WEEK END.+゚.】  2008/3/5
 http://blogs.yahoo.co.jp/k_ousu_ke/16602411.html

大学生のテストの問題に出たのかな?


ところで、皆さんは活用例の意味が解りましたか?
南部弁講座になってしまうが、訳しましょう。

   「ゆぶくてメッツル はなっつるぁ出で てぁへんだ」

     =「煙たくて目汁(涙) 鼻汁(鼻水)が出て 大変だ」

完本・短篇集モザイク

三浦哲郎『完本 短篇集モザイク』は、100篇を目標に書きつがれた連作《モザイク》の全作品を総合したものだ。

『三浦哲郎自選全集』全13巻(新潮社S62〜S63)の月報に連載された13篇からスタートした《モザイク》は以後、「新潮」「群像」「波」など各紙誌に場所を移して発表されたものを、『みちづれ』(H3)『ふなうた』(H6)『わくらば』(H12)の順に新潮社から単行本として刊行された。
100篇の目標は残念ながら59篇で途絶えてしまった。
しかし、その中には川端康成文学賞受賞『じねんじょ』(第17回)『みのむし』(題22回)の2篇も含まれる。
今回は、それに未刊行の3篇

 「カフェ・オーレ」
 「流年」
 「山荘の埋蔵物」


を加えて62篇を発表順に並べ替えて収録されたものである。

冒頭の『やどろく』は連作以前の作品だったがモザイクの一篇にくわえられたものである。それから未刊の3篇まで、年数にして16年、三浦哲郎さんは書き続けたのだった。


                  ※『完本 短篇集モザイク』巻末の荒川洋治氏の解説より引用紹介。

多くが原稿用紙10枚そこそこの短い小説だが、無駄の無いことばひとつひとつを全力を注いで選び連ねて、生きた物語を生み出している。それらはどれも味わい深い作品なので、読み出すと止められなくなってしまう。

新刊本を入手

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■画像:新刊『完本 短篇集モザイク』、『師・井伏鱒二の思い出』の表紙



12月22日に新潮社から発売されていた三浦さんの新刊2冊をヤッと手に入れることができた。
これからじっくり読むことにしよう。

その2冊は以前にも紹介したが、再度掲載しよう。

先ずは、これまでに発行されている「短篇集モザイクシリーズI〜III」

みちづれ ― 短篇集モザイク1

ふなうた ― 短篇集モザイクII

わくらば ― 短篇集モザイクIII



の三部作に新たな三作を追加して一巻にまとめたものである。

『完本 短篇集モザイク』 三浦哲郎/著

新潮社  発売日 : 2010/12/22   2,940円(定価)
花束が海へ落ちる間の、-瞬の夢--。たきぎが爆ぜるまでの、数秒間の旅--。人の世の怖れと情を封じ込めた宝石の如き短篇をいくつも綴り、壮麗なモザイクに組上げる著者畢生の試みの集大成となる作品集。遺された未収録三作を収め、一巻本として刊行!

発行形態 : 書籍
判型 : 四六判変型
頁数 : 576ページ
ISBN : 978-4-10-320922-5
C-CODE : 0093



もう一冊は、筑摩書房版『井伏鱒二全集』(全28巻・別巻2/1996〜2000)の月報に「師・井伏鱒二の思い出」の題で16回にわたって掲載された未刊のエッセイをまとめたものとなっている。
掲載の時期は、1996年11月から1998年10月だから著者が65歳から67歳の時に書かれたことになる。

『師・井伏鱒二の思い出』 三浦哲郎/著

新潮社   発売日 : 2010/12/22   1,470円(定価)

「君、今度いいものを書いたね。」先生と私の出会いは、その言葉から始まった。上手く書けずにいるときは励まし、いい仕事をしたときには共に喜び、またあるときは厳しい対応も――。日本文壇の中央を歩んだ師弟の初期二十年間を描いた、交流のドラマ。

発行形態 : 書籍
判型 : 四六判
頁数 : 128ページ
ISBN : 978-4-10-320921-8
C-CODE : 0095



今度の日曜日の2月例会では、この2冊を題材に色々話し合おうということになっている。
だから、せめて例会までには読んでおかないとならないのである。
もう読み終えた会員もいると思うので、どんな雰囲気になるか楽しみにしている。

欲しい本

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画像:一戸町立図書館に三浦夫人から寄贈された三浦哲郎著書の中に見付けた未入手の本。


読む会で活動し始めてから、三浦作品を読むためにどうしても手元に置きたくて、これまでに著書を買い集めてきた。
単行本文庫本それぞれまちまちではあるが、書かれた作品をひと通りいつでも手に取って読めるように本棚に並べてあるつもりでいた。

ところが、先日、一戸町立図書館を訪れた際に、三浦夫人から寄贈された三浦哲郎著書の中に未入手の本を2冊見付けてしまった。

『初めての愛』(1970.S45.6 主婦の友社発行、ジュニア向け青春の愛シリーズCherry books)
『青春相談室』(1970.S45.9 秋元書房発行)


である。

云わばマニアになっている私には、一体どんなことが書かれているのか気掛かりで、持っていない本だと知ると、欲しくて堪らなくなるのである。

一緒に行った読む会図書担当の沼野節さんに「ゆのはな文庫」にも備えるようにお願いした。

私も、機会をみてWebサイトの古本店で探して入手しようと思う。


Web Siteで『青春相談室』の読者のblog記事を見付けたので紹介する。

くじら図書館 いつかの読書日記
「青春相談室」三浦哲郎 その2  2009-08-23
  http://blog.goo.ne.jp/itsukapochi/e/7ea24af7eca7c9b2e9b4e0597f0feee1

三浦さんの人生相談、解答編です。
まず、わたしが初読したときに最も心に残った相談を引用しましょう。(ごく一部省略しています)

「初めて好きになった人に誤解され悩んでいます」
Q
私は中学三年生になってから初めて男の人を好きになったのです。今どうしたらよいか困っています。
九月から社会科の時間に、積極的に授業をすすめていくという方針で、男子三人、女子三人が一グループで、グループ学習をするようになりました。リーダーは私の好きなA君で、私は副リーダーでした。内心すごく喜びもしました。
ところが、私たちのグループにT君もはいっていました。このT君は二年生のとき、母から「今の両親の子ではなく親せきの人の私生児だ」と聞かされました。今となってはそれがかえってアダとなってしまいました。
時間中、T君とよく口げんかをします。私は血の気が多いのか、すぐ頭に血がのぼり、
「なにさ、おめかけの子のくせに!」としゃべりそうになってしまったことがたびたびありました。それで、あまり話をしないようにしてきたのです。
諱I」心の中で叫んでも、A君にはわからないのです。私は高まんちきで、わがままな子だと、A君に思われているのです。
ります。どうか私によきアドバイスをお願いします。
(愛知 T・N)

A
お手紙を読んで、あなたの心の動きに怒りをおぼえました。
フ責任もない。そして、あなた自身にもおなじ人間としてT君を軽蔑する権利がこれっぽっちもないのだ。
サうになるということは、あなたの心なかにT君への強いさげすみがあるからだ。あなたは、不幸な環境にいる人を上から見くだそうとする、おなじ人間として憎むべき人種の一人だ。
謔ュわかります。あなたのような女をみていると、誰だって気持ちがいらいらして怒りたくなるのだ。
あなたの身勝手さは、居心地が悪くなれば先生にたのんでさっさとグループをかえてもらうところにもあらわれています。そして、最も困ったことは、あなた自身、自分の心のみにくさにちっとも気がついていないことです。
猛反省をうながします。


どうですか、厳しいでしょ。でもこれが三浦さんの考えなのです。ひじょうに彼らしい。
ほかにもいろいろあるのですが、手紙の中から相談者の現状をできるかぎり読みとろうとしていることに気づかされます。
ただ、少女たちの現実と三十男の三浦さんには乖離があるのですよね。例えば「交換日記」を始めたけれど、相手の男の子のことを好きでもないような気がしてきたからどうしたらよいのかといわれると、
ゥったのです。」「交換日記というのは、『好きな人同士が自分の日記をみせ合うこと』」なのかと尋ね、そして結論は、
「日記とは自分自身との孤独な対話です。他人にみせたりするものではありません。ですから、交換日記には反対です。」
うーん、この子、日記の存在意義について知りたかったわけではないと思うよ……。
でも、青春期の少女の悩みは混沌としていて、手紙という形で気持ちを整理するだけでもだいぶ楽になるとは思いました。(そういえば、男子からの相談は例の一件だけですね)
「青春相談室」が、ほかの人生相談と違うのは、相談者の手紙の部分でしょうか。かなりページをさいているものもあります。普通ページの都合で短く編集してあるものなのです。なんていうか、悩みって普遍的なものでしょ。ひとりに答えながらみんなに発信する顔を持っているから、中心部だけで枝葉は取ってしまうことが多い。
もちろん文章に手は入っているのでしょうが、なるだけその人個人に応えようというイメージが伝わってきました。



前段の記事は以下に掲載されている。

■「青春相談室」三浦哲郎 その1   2009-08-22
http://blog.goo.ne.jp/itsukapochi/e/9d8c0b3943eac95f74b7171546dfb51e

もう40年も前の相談なので、今に通用するかどうか興味を持たせてくれる本である。

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■画像:八戸市「三浦哲郎先生を偲ぶ会」で配布された『三浦哲郎先生 追悼のしおり』。


今回の偲ぶ会開催にあたって、八戸市の「三浦哲郎先生を偲ぶ会」実行委員会編集、「八戸市・三浦哲郎文学顕彰協議会、八戸高校同窓会」発行で『三浦哲郎先生 追悼のしおり』という、立派な書籍が作られて来場者に配布された。

内容は、画像の目次を見ての通りで、下記に転記して示す。

 挨拶………………………………………………………………立花 義康
 弔辞
   日本藝術院長………………………………………………三浦 朱門
   八戸市長……………………………………………………小林  眞
   一戸町長……………………………………………………稲葉  暉
   芸術評論家…………………………………………………秋山  駿
   作家…………………………………………………………瀬戸内寂聴
   三浦哲郎文学顕彰協議会長 友人代表…………………立花 義康
 追悼文
   「路傍の花」に温かな目…………………………作家 黒井 千次
   短編が好きだ 長編もいいけれど………………作家 阿刀田 高
   物書きのつながり実感……………………………作家 左舘秀之助

   小説への気力「戻ってきた」…………………………………………
 遺稿 「暁の鐘」序章…………………………………………三浦 哲郎
   「糠塚の細道」(八中五十二回・八高一回卒業三十周年記念大杉平の青春より)
          ……………………………………………三浦 哲郎
 思い出の写真…………………………………………………………………


遺稿「暁の鐘」の頁には、三浦さんの色紙の写真が掲載されている。

  哀しきは白夜の旅をする人よ
  ただの暁の鐘ぞ待たるる
            三浦哲郎


これも、立花先生の所蔵品なのだろうか?

思い出の写真には、今回初公開の白金中学校教諭時代の修学旅行と卒業写真が、西川さんからの提供により加えられてあった。

この冊子は「ゆのはな文庫」の蔵書に加えたいので、是非もう一冊欲しいと思っているが、価格が明記されていないので、入手方法を確認してみたいと思っている。


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