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♪囁くように ベルが鳴る 彼女は 受話器を取る わずかな 言葉だけ覚えて 甘い蜜の香り 星まで揺らす 打ち込みのハイハットの音と、シンセサイザー、そしてトランペット調の音が醸し出す、怪しげなイントロ。 メロディも、派手な展開は隠されていないけど、それが、「曲の持つ怪しげな世界」を、最後まで持ち続けている理由ではなかろうか。 1番のAサビからBサビに移る瞬間、一瞬、音がブレイクして無音になるが、そこにはさまれた猫の声が、ヒッチコック的なサスペンスを醸し出す。 アウトロで密かに聞かせるギターサウンドが、マイナーロックして、泣かせます。 ♪それから シャワーを浴びて モノクロの服に 着がえて 赤いルージュを 2回ひいて 出かける後ろ姿は CAT WALK 事実、CHAGEさんは、ヒッチコック作品「裏窓」のような世界を意識して、詩を書いたそうです。 80年代のCHAGE作品では、澤地隆氏、90年代前半では、青木せい子氏が、主に作詞を担当していましたが、彼らの作品から刺激を受けて、「自分も、自分の言葉で詩を書いてみよう」と、積極的に、作詞に取り掛かったのが、ちょうど、この時期。 「CAT WALK」とは、そっと偲び足で歩く女性を表現したタイトルで、実際に、曲調にあった、謎めいた女性の「観察詩」になっています。 登場人物は、「彼女」だけですが、私は、この曲の歌詞の主語は、彼女ではなく、全くの「第三者」と思っています。 一人の魅力的で妖艶な女性がいて、おそらく彼女は、不倫のような「堂々と公言しにくい」相手を訪ねている。 それを眺めている「自分」が、主語ではないかと。 うまくいえないんだけど、「CAT WALK」というタイトルの、不倫ドラマを見ていて、その感想を歌っている、とでも言いましょうか。 普通、恋愛がらみの歌というと、「自分」がいて「彼女」もしくは「彼」がいて、たまに、「+アルファ」がいて、そこで織り成される恋愛模様や、感情のゆれを表わしたものが一般的ですが、こういった「傍観者的立場」の歌、というのもまた、自分に対する「痛み」などの「被害」(振った、振られた)がないぶん、気楽に、面白く、聞けるかもしれませんね。 まあ、これが「傍観者的立場の歌」というのは、私の推測にしか、過ぎませんけど。 ♪彼女は今 ドアのノブに手をかけた 愛の深さと 罪の深さを味わう KISSだけで 終われない夜 と、書いてきたものの、実を言うと、この曲が特に好きか、といわれると、「嫌いではないが、別段好きでもない」歌だったりします。 では、なぜ、取り上げたかというと、十川知司さんのブログで、この曲に「良い味」を加えてくれた「にゃんこ」が、先日亡くなった、という記事を見たからです。 「TREE」のブックレットを見てもらうと、そこにしっかりと「NYANKO」として、この猫の名前がクレジットされています。 にゃんこは、スタジオで飼われていた猫で、面白半分、遊び半分で登場させた子。 結果として、この猫は、ダブルミリオンを達成したアルバムの中に、名を連ねることとなりました。 19歳だったということですから、大往生ですね。 今度、「CAT WALK」を聴く時は、この、もうこの世にはいない猫の声に、耳をすませてみてください。 ---楽曲紹介--- アーティスト名:CHAGE&ASKA 収録アルバム:「TREE」 発売日:1991年10月10日 |

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