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ふつう、交差点の信号サイクルを設定する際にまず考慮することは、「異方向からの交通が交錯しない」ことと思います。
交差車両同士が同時に青にならないのはもちろんのこと、直進車と対向の右折車が接触しないように右折分離式にするというのも、異方向からの車両の接触を避けることを考えているからです。
しかし中には例外もあり、なんと、「交差する異方向から同一方向に、同時に進行させる」現示を行っている交差点を見つけました。
場所は広島市の「県立総合体育館前」交差点。とりあえずその図を見てみましょう。
方角の面で言うと交差点はちょっと傾いていますがここでは下へ向かう方向を「南行き」とします。
一方南方面はバスセンターぐらいしか大きい施設は無いので、南に向かう車や出てくる車輛は殆どがバスで占められています。
このように規模の大きい交差点であるためこの一帯は歩行者横断禁止となっているほか、自転車も交差点手前で歩道に入るよう規制がされています。
また、交通規制により、バス以外は「北からの直進(つまり南行)」のみが禁止となっています。(他方向から南方向に向けて進むのは禁止されていません)
車輛に対して限定的な規制もまた珍しいですね。しかしここがポイントとなります。
概要説明はこの辺にしておき、サイクルの説明へ移ります。
ステップ①まず、東西の交通を流します。バンバン車が通りますが、右折分離などのハイカラなことはせず、ふつうに青信号です。
ここに限らず広島県はどんなに規模が大きくともほとんど(というより全く)右折分離方式を採用していません。ある程度進むチャンスは多くとるべきと考えているからでしょうか?
ステップ②東西方向の右折と、交差する南北方向の左折、加えて東から南へ向かう左折車を流します。
南側から。このようにバスが多く通ります。
西行きの信号はこのように、左右の矢印が出ます。もちろん対向から右折するクルマも来るので、その点注意が必要ではありますが、広島市内ではまだいくつかの交差点で見られる現示です。
ステップ③左矢印が消えません。
南北方向の交通に加え、南行きの左折車を流します。
少し見づらいかもしれませんが、こんな感じです。
「左折可」標識によって、複数の別方向からある一方向へ進行するタイミングが重なる例はよくあります(この場合でも大抵交通島などで仕切られます)が、信号現示でわざと重なるようにしている例はそうそう多くないでしょう (いちおう長野県に1つありますが) まったく対策を取っていないわけではありません。進行先は3車線とられており(左側は大抵停車中のバスで埋まってますが)、西行左折車については導流帯が引かれています。
さらに、この交差点の南行直進車輛は先述の通り、交通規制によりバスしか来ません。
そのバスについても、殆どは路線バスです。つまり、この交差点を南に進むほとんどのドライバーが、この交差点を通り慣れていることとなります。運転手を信じて、あえて同時進入となるようにしたのでしょうかね(勝手な想像)。
ステップ④南北方向の右折車および交差する東西方向の左折車、加えて北から東へ向かう左折車
を流します。
ステップ②の交差側版という感じなのでここはまだ普通かなという感じです。まあこの感覚も広島近郊ぐらいで通じる話でしょうかね。
ただ、問題点がひとつ。南から東へ向かう右折車(←ほとんどバス)がなかなか曲がれないのです。
北からの左折レーンは2レーン、南からの右折レーンも2レーン(なぜか片側は直進と共用)となっていますが、東行きの道路はというと3レーンしか用意されていません。矢印に従って進む左折車はものすごい勢いで曲がるので、対向右折は矢印が出てもなかなか曲がれないのです。
しかしこの交差点、ここで終わるわけがありません。もうひとステップ残っています。
ステップ⑤ある程度時間が経過すると、南行きのみこのような現示を出します。
黄色+右矢印も珍しいですね。
ステップ4のうち、南から東へ向かう左折車の交通を先にストップさせます。
考察交差点の規模の大きさにもびっくりですが、特にこの交差点では、直進以外の矢印を使える限り使い、車輛の進めるチャンスを限りなく多くとっているという印象を受けました。
中国地方で大きい都市とだけあってかなり車の量も多いですから、進めるときに進ませないとすぐ混んでしまうってのもあるでしょう。
加えて、実際の交通事情に応じて現示方を細かく調整している点は良いのではないかと思いました。(ここに限らず広島県警では、現示の対象数を細かく設けて運用する傾向にあります)
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