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エレキシールの薔薇 7
一か月分の給料を前払いして、生花の薔薇を一輪注文した麻紀耶は、慇懃な態度ながら(あんたも馬鹿だね)と言いたげなヘドロヘアーの真意を測りかねながら、第七回廊の空中庭園を出た。
(ヒトである私という天敵に摘み取られても、薔薇は薔薇。何処で生きても人間が人間であるのと同じように・・・。)ビルの壁面をエレキシールの広告がするりと走る。『どこで生きてもヒトはヒト。下層に明るい明日を実現するために、先進的公共工事が始まっています。』 麻紀耶はまだ何か言葉を捜したが、大いなる未知の存在に対して想いを発するのは慣れていない。暗闇で手探りするような心もとなさに捉われて、偏光シールドで覆われた空を仰ぐ。その向こうのそのまた向こうに、どう呼びかけていいのか分からない謎が広がる。 「ハルマゲドン・・・。」 呟いた途端、激しい耳鳴りに襲われてその場に蹲った。もはやエレキシールのイメージだけで耳鳴りの支配を払いのけることはできない。
続く
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