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			<title>大湾汎の架空館</title>
			<description>ようこそ、大湾汎（オオワンハン）架空館に。ただいま食餌中ナリ。せっかく訪ねてくださったので、空想と現実のハザマの食卓へご一緒しませんか？</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann</link>
			<language>ja</language>
			<copyright>Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.</copyright>
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			<title>大湾汎の架空館</title>
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			<description>ようこそ、大湾汎（オオワンハン）架空館に。ただいま食餌中ナリ。せっかく訪ねてくださったので、空想と現実のハザマの食卓へご一緒しませんか？</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann</link>
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		<item>
			<title>ハルマゲドン三日前</title>
			<description>&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;b&gt;蝉　４&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「思考制御？　誰がそんなことを・・・」&lt;br /&gt;
　耳慣れない言葉にフリーベルが振り向いた。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;div class=&#039;indent&#039;&gt;
ヘドロヘアーはそっけない表情で下膨れに孕むガラスを磨きながら言葉を継ぐ。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
「国だよ。思考制御には、国の支配階級の恐れる革命的なボキャブラリーや宗教的語彙を使った会話を阻止するという狙いがあるみたい。例えば「ストライキ」「抗議行動」「テロ」「座禅」「輪廻」「十字架」「ハルマゲドン」「神」「仏」などは代表的な語句。いちいち挙げると一冊の辞典ができるほど多いんだよね、これが。これらの語句を思い浮かべるだけで都市生まれの者は耳鳴りが始まるようだ。完璧な支配ってわけさ。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　それは、生後二年目に内耳の奥に埋め込まれる危険語彙反応チップのせいなのだが、ヘドロヘアーの属する地上の精鋭の調査によって、脳に流れる微弱電流を語彙転換して、危険語彙に反応する単純なシステムだということが分かってきた。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「それって人権侵害じゃない。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「国民は気づいちゃいないのさ。今日も、そんな客が薔薇を注文しに来たよ。チップを埋め込まれていながら気づいていない鈍感な奴がね。ハルマゲドンという単語に見事に反応したよ。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　勿論、地下帝国から這い出てきた蝉に、偏光シールドによる思考の制限は全く影響を及ぼさない。思考を中断させられる耳鳴りがどういうものなのか想像を巡らして、双子は黙っている。&lt;br /&gt;
「可哀想だね。自由にものを考える事が出来ないなんて・・・。」&lt;br /&gt;
　ヘドロヘアーが優しい口調で言ってみた。ハルマゲドンという単語に示した麻紀耶の、一瞬眉間に皺を寄せた神経質そうな面影が脳裏をよぎる。あれは麻紀耶の感情ではなく、耳鳴りに支配されているせいだと、ヘドロヘアーにはわかっている。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　&lt;b&gt;続く&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann/34780613.html</link>
			<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 10:57:18 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>ハルマゲドン三日前</title>
			<description>&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;b&gt;蝉　３&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　フリーベルの長い睫毛が偏光シールドの彼方に向かって見開かれているのを、傍から冷やかすように窓辺に近づくと、&lt;br /&gt;
「尤も、偏光シールドという奴は、紫外線の波長を跳ね返すための不可視光線のバリヤーだからな。と言っても紫外線を完全にカットできないみたいだ。」&lt;br /&gt;
栄吉は雀斑のはっきり浮き出た自分の鼻を指差して見せた。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;div class=&#039;indent&#039;&gt;
紫外線を大幅にカットする偏光シールドを通した日光でさえ、地下帝国出身者の顔に一週間で雀斑を浮き出させるほどの威力を持っている。&lt;br /&gt;
しかし、強烈な紫外線から人体を守るという名目の下で各都市をドーム状に覆っているが、偏光シールドの役目は、紫外線をカットするだけではない。サイドボードに飾るランプの火屋(ほや)を磨きながら、ヘドロヘアーが口を挟んだ。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
「どうやら、あれを通して、国民の思考制御を行うのに都合のいい通信網を張り巡らしているらしい。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「思考制御？」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;div class=&#039;indent&#039;&gt;
&lt;b&gt;続く&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
&lt;/div&gt;</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann/34780586.html</link>
			<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 10:53:16 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>ハルマゲドン三日前</title>
			<description>&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;b&gt;蝉　２&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「見て。何処まで高いの。偏光シールドで覆われているなんて信じられない。空って凄い。空って、宝物ね。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　晴れ渡った空に思春期の憂鬱から開放されたのか、フリーベルの声が弾む。赤毛の一房を耳の上から綺麗に編み込んで肩に垂らしている。透き通った白い肌に、淡い雀斑が浮き始めている。&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;indent&#039;&gt;
もう、ひと月が過ぎたのだ。地上で新しい生活を始めてから。淡い雀斑は新参者の証だが、フリーベルにとっては誇らしい気持ちにさせる勲章のようなもの。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
　珍しく、ヘドロヘアーの用意した花柄のワンピースを着ている。襟と胸元に白いレースとフリルをあしらった上品なデザインで、普段のフリーベルなら小ばかにして袖を通すことはない。化繊の黒いパジャマが彼女自身を表現する一番のファッションだと信じているからだ。&lt;br /&gt;
　　&lt;br /&gt;
「空は宝物か。なるほどね。」&lt;br /&gt;
　生まれ故郷から出てきた当初の自分をフリーベルに重ねて、フリーベルと瓜二つの貌を持つ少年が、プラスチックで出来たような肌理の細かい頬をぽりぽり掻いた。赤毛のぼさぼさ頭は前髪が目の近くに垂れて、その目はフリーベルと同じ空色をしている。ひょろ長い手足と、白い皮膚に細かく浮き出た雀斑は、一人前の蝉の印。地下深く掘られた宗教帝国から地上に這い出てきた蝉。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「だって、誰も地上のことは教えてくれなかったもの。一年前、栄吉が特別クラスに進級して姿を消したときは驚いたんだからね。」&lt;br /&gt;
　唇の両端に微笑を湛えながら自分とそっくりの少年を睨む。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;div class=&#039;indent&#039;&gt;
一年間勉学に励んで、踏襲するように特別クラスに進級し、双子の片割れが地上の都市に潜入していると知った。そのときの驚きと歓びが、心の中で再現される。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
栄吉と呼ばれた少年は、ざっくりと編まれたカットソーのサマーセーターに掛けた濃紺のエプロンの前ポケットに両手を突っ込んで笑った。栄吉は、化繊の白いパジャマ派だが、そんな主義など薔薇屋では通用しない。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
「僕だって、此処にいるのはやっぱり不思議だよ。此処には此処の素晴らしさがあるけれど、やはりバビロンさ。滅びゆく都市だ。偏光シールドの内側にはバビロンの亡者がうようよしている。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「でも、空は美しいわ。今まで見たどんなものよりも。偏光シールドなんて、目には見えないもの。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「見えないからといって、偏向シールドをナメるんじゃないよ。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　&lt;b&gt;続く&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann/34780562.html</link>
			<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 10:50:14 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>ハルマゲドン三日前</title>
			<description>&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　　　&lt;b&gt;蝉 !&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　プカラサンドと呼ばれる巨大ドーナツ型の建造物は、東京湾全域を埋め立てて出来たもので、日本沈没後の主要都市の一つとなっている。地上三十階までは下層と呼ばれる貧民窟。三十一階から三十八階までが役所や学校、病院、図書館その他諸々の公共施設が組み込まれ、下層に暮らす人々には三十二階までの通行カードしか許可されていない。ンナマ時代とは、厳然たる封建的格差社会を甘ったるい生クリームでデコレーションした、どこへも行き場のない社会だ。ただただ、ハルマゲドンを待っている。&lt;br /&gt;
その七十二階の窓辺に、空を見上げる少女の姿があった。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;div class=&#039;indent&#039;&gt;
&lt;b&gt;続く&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
&lt;/div&gt;</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann/34780522.html</link>
			<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 10:43:22 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>ハルマゲドン三日前</title>
			<description>&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;b&gt;エレキシールの薔薇　７&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;div class=&#039;indent&#039;&gt;
一か月分の給料を前払いして、生花の薔薇を一輪注文した麻紀耶は、慇懃な態度ながら（あんたも馬鹿だね）と言いたげなヘドロヘアーの真意を測りかねながら、第七回廊の空中庭園を出た。&lt;br /&gt;
ビルの壁面をエレキシールの広告がするりと走る。『どこで生きてもヒトはヒト。下層に明るい明日を実現するために、先進的公共工事が始まっています。』&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
（ヒトである私という天敵に摘み取られても、薔薇は薔薇。何処で生きても人間が人間であるのと同じように・・・。）&lt;br /&gt;
　麻紀耶はまだ何か言葉を捜したが、大いなる未知の存在に対して想いを発するのは慣れていない。暗闇で手探りするような心もとなさに捉われて、偏光シールドで覆われた空を仰ぐ。その向こうのそのまた向こうに、どう呼びかけていいのか分からない謎が広がる。&lt;br /&gt;
「ハルマゲドン・・・。」&lt;br /&gt;
　呟いた途端、激しい耳鳴りに襲われてその場に蹲った。もはやエレキシールのイメージだけで耳鳴りの支配を払いのけることはできない。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;div class=&#039;indent&#039;&gt;
&lt;b&gt;続く&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
&lt;/div&gt;</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann/34780484.html</link>
			<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 10:36:27 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>ハルマゲドン三日前</title>
			<description>&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;b&gt;エレキシールの薔薇 ６&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　ヘドロヘアーがいきなり笑い出した。&lt;br /&gt;
「ねえ、ゴキブリって見たことある。薔薇は美しさのゆえに武装するけれど、いくら天敵から身を守るためとはいえゴキブリに棘があったら図々しいと想うだろう。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「ゴキブリって・・・。」&lt;br /&gt;
　エレキシール生物辞典に乗っていたかも知れないが、もし、醜い系なら記憶に残さない。立体画像を立ち上げることすらしないからだ。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「ああ、下層社会に巣食って、貧しい人々を苦しめている害虫さ。もっとも、ハルマゲドンをも恐れない奴等は上流階級にもいるけどねえ。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　ハルマゲドンというフレーズが内耳に雑音を生じさせ、麻紀耶は慌てて両耳を塞ぎ、エレキシールの薔薇を脳裏に再現した。匂い立つ薔薇のイメージが救いとなって雑音が遠ざかる。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　全ての画像を閉じる。やはり自分は何も知らない。何も分かってはいないのだ。大いなる未知の存在に敵対する意思を明確にしたこのンナマ帝国の住人なのだもの。一番大事なことかもしれない大きな謎について、全くの勘違いをしているのではないか。頬が軽く痙攣する。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　&lt;b&gt;　続く&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann/34780465.html</link>
			<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 10:32:58 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>ハルマゲドン三日前</title>
			<description>&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;b&gt;エレキシールの薔薇　５&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「不憫よね。虫のいない温室育ちなのに棘で自分を守らなければならないなんてさ。でも、自信の表れかもね。」&lt;br /&gt;
　ヘドロヘアーが、微笑んでいるのか白んでいるのか判別の付きにくい顔つきで言った。&lt;br /&gt;
　訝る麻紀耶の前に腰を下ろして足を組むと、彼女はソファにふんぞり返って絡んだ頭をぼりぼり掻いた。&lt;br /&gt;
「そうね。自信というよりも自覚かな。世界中の人々に愛でられているいう自覚、いつ手折られるか知れないという不安。自己防衛のための棘。人間ってさ、薔薇にも迷惑がられているみたいだよね。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「何故、薔薇の棘が対人間用武装だと想うのですか。」&lt;br /&gt;
　ヘドロヘアーは、ソファの背を片手で掴んだまま身を乗り出すと、真珠のように輝く白い歯を見せてにっと笑った。&lt;br /&gt;
「そりゃあ、あんた、薔薇の棘で傷つくのは人間くらいのものだからさ。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　麻紀耶の脳裏を小さな虫や小鳥が過ぎっては消える。小鳥は観賞用を飼っているが、薔薇の棘に傷つくほど花に関心を示しそうな生き物ではない。ましてやエレキシール辞典でしか見たことのない小さな虫などは。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　エレキシールの薔薇を幾つも立体展開させると、幻想的な花園に迷い込んだような気になって、麻紀耶はふと理解した。薔薇の名前がたとえ幾千万あろうとも、どんな名で呼ばれようとも薔薇は薔薇。薔薇自身には関係ないのだ。どの種類でも。そして、どんなに大金であろうとも金で売り買いされるのではなく、自分の居場所で自由に咲いていたい。誰に手折られる事もなく、自分のために。自分の役目を全うするために。あるいは・・・あるいは・・・。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　そこまで考えて唇が緩んだ。立体画像に手を伸ばしてみる。手は、画像を突き抜けて虚空を弄った。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　&lt;b&gt;続く&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann/34780435.html</link>
			<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 10:25:13 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>ハルマゲドン三日前</title>
			<description>&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;b&gt;エレキシールの薔薇　４&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;div class=&#039;indent&#039;&gt;
彼女は、一冊のクリアファイルを手に、麻紀耶をキャメル色の皮のソファに座るよう勧めた。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
「最新のエレキシールが揃っているんだ。入荷していない種類は開かないけど、注文はできるよ。」&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　分厚くニスの塗られた飴色のテーブルの上でクリアファイルを捲ると、見開きのページに計十二枚のシールが寸分の狂いもなく貼られていた。シールは一辺が約十センチほどの正方形で、一枚のシールに九点ずつ薔薇のサムネイルが刷られている。左下のスタートマークの赤丸を指先で触れると、画像が宙に立ち上がって立体展開する仕組みだ。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　麻紀耶が大切にしているエレキシールは、その昔、沖縄と呼ばれたレキオの海岸で泳ぐ妹の姿だ。青空と潮騒をイメージした香りが仄かに立ち上るエレキシールの中で、『お兄ちゃんも一緒に泳ごうよ。』と、麻紀耶に海水を撥ね掛けてはしゃいでいる。エレキシールの中では、夭逝した幼い妹も命のきらめきを保ち続けることができるのだ。エレキシールがその機能を保ち続ける限り。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　紫外線だけをシャットアウトする無色の偏光グラスを外す。薄っすらと青味を帯びた瞼を伏せて、神経質そうに、フレームの角でエレキシールの赤丸に触れた。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　耳をくすぐる軽やかなハープの音色と共に目の前の宙の色が変わり、水の揺らぎを表した波紋状のとりどりの色が広がっては消え、高貴な香りが立ち上る。その中央に、次第に顕になる一輪の薔薇。つんと澄ました花びらが幾重にも取り巻く、緻密な紅のビロードに似た肉厚の薔薇。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　真紅の艶と影に魅了され、麻紀耶はその隅々に目を凝らした。ゆっくり回転する立体画像の、花弁の上に小さな光を放つ露の立体感も、本物の薔薇が目の前で咲き誇っているかのような錯覚に陥らせる。それに、しっかりと伸びた茎は幾つもの鋭い棘で武装している。互い違いに生えた緑の葉もくっきりと葉脈を走らせて、その輪郭はふくよかな円が先すぼみの形状で細かい棘のようにぎざぎざになっているが、幾つもの露玉を乗せて花を守っている衛兵のようだ。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「凄い棘ですね。こんなに美しいのに、何故、棘なんか・・・。」&lt;br /&gt;
　思わず独り言が漏れる。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;div class=&#039;indent&#039;&gt;
&lt;b&gt;続く&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;
&lt;/div&gt;</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann/34780430.html</link>
			<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 10:24:09 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>ハルマゲドン三日前</title>
			<description>&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;b&gt;エレキシールの薔薇　３&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;「じゃあ、エレキシールで選んでみるかい。」&lt;br /&gt;
　背を向けた彼女の向こうにアーチ型の空が眩しい。逆光を味方につけた艶のないヘドロヘアーが金髪の如くに輝いて、その光の魔術の中では、ありし日の聖堂の荘厳さに似合う崇高な人物のようにも見える。聖堂と言っても、巨大エレキシールの復刻版でしか見た事はないないが。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　第七回廊の空中庭園から西側に面した薔薇屋には、風変わりな女がいると聞いていた。噂に違わぬ風貌で男のような話し方をする彼女に面食らいながらも、初めて会った気がしないのは、彼女が噂どおりだったからか、それとも夢の中の誰かに顔が似ているというような淡い記憶のせいか。&lt;br /&gt;
　それは、麻紀耶の生活圏内には一人もいないタイプの人間に抱く感情ではない。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　&lt;b&gt;続く&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;</description>
			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann/34780404.html</link>
			<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 10:19:40 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
		</item>
		<item>
			<title>ハルマゲドン三日前</title>
			<description>&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;&lt;b&gt;エレキシールの薔薇　２&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;図書館のエレキシール薔薇辞典で見たことがある。ウエブでも薔薇は人気がある。&lt;br /&gt;
ここ百年の間に、キク科の花のほとんどが滅び、百合はカサブランカや鬼百合を残すのみで、蘭にいたっては胡蝶蘭一品種が収集家の間で高額取引の対象とされている。&lt;br /&gt;
それを考えると数十種類も保護されている薔薇はまだマシな方なのかもしれないが、それでも本物の薔薇一輪で、麻紀耶の一ヶ月分の給料が吹っ飛ぶ時世だ。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　最長老メルキゼデク真喜屋は口癖のように嘆く。『こんな世の中はおかしい』と。&lt;br /&gt;
　麻紀耶にはそれが不思議でならない。麻紀耶にとっては、生まれたときからこんな世の中だったからだ。&lt;br /&gt;
　最長老メルキゼデク真喜屋が言うには、『あれは２０１０年のことじゃ。科学を過信した政治家の宗教弾圧によって、以前の世とは全く異なる管理社会は始まった。その時、人類は大いなる未知の存在との敵対を明確にしたのじゃ。人間にとって一番大事なことを疎外したのじゃ。』とのこと。&lt;br /&gt;
&lt;/div&gt;&lt;br /&gt;
&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　麻紀耶はとっくに気づいていた。自分が何も知らないことを。&lt;br /&gt;
　宗教弾圧以前の歴史や、三十階から下の日の当らない下層社会については全く知らない。その他にも、野菜や肉の作り方などは国営事業所に勤める者たちでもなければ知る好もないが、何もそういう専門的な分野ではなくても、自分が住んでいる世界について何も知らないという思いは強い。&lt;br /&gt;
　たとえば、古文書管理局に勤める高級官僚の端くれなのに、好きな花の名前さえ薔薇という総称でよぶ。それは、友好的な宇宙人がいたとして、麻紀耶の名前も人となりも知らずに『お前は私の好きな地球人の一人だ。だから好きだ。』と言うのと同じことだ。麻紀耶にとっては、私は一個人だ、何を根拠に好きだと括れるのか、という問いが生まれる。&lt;br /&gt;
　だが、薔薇は麻紀耶に尋ねはしない。仮に、薔薇にも感情があって、『私の名前さえご存知ないくせに』と、腹の底で見下げていたとしても。&lt;br /&gt;
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&lt;div class=&#039;wiki&#039;&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　&lt;b&gt;続く&lt;/b&gt;&lt;br /&gt;
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			<link>https://blogs.yahoo.co.jp/oowannhann/34780374.html</link>
			<pubDate>Wed, 02 Dec 2009 10:13:11 +0900</pubDate>
			<category>小説</category>
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