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競馬の記憶98年

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メジロブライト

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1998年5月3日(日)第117回 天皇賞(春)(GI)芝3200m

天皇賞は、前哨戦のひとつである阪神大賞典の雰囲気そのままに、
「メジロブライト対シルクジャスティス」の一騎打ちムードとなった。

天皇賞・春への一般的なステップレースとしては、阪神大賞典のほかに日経賞(Gll)、産経大阪杯(Gll)がある。しかし、この年の日経賞は、障害帰りの9歳(現表記8歳)馬テンジンショウグンが12頭だて12番人気で「圧勝」し、単勝35570円、7番人気シグナスヒーローとの組み合わせとなった馬連に至っては、213370円をつけた。

また、産経大阪杯では、牝馬のエアグルーヴとメジロドーベルが1着、2着を独占した挙句、2頭とも天皇賞・春を回避してしまった。これでは、せっかくのステップレースの結果も、馬券の参考にしづらい。

もともと天皇賞・春本番への出走馬のうち、Gl馬はシルクジャスティスとイシノサンデーの2頭だけだった。
そのうちイシノサンデーは近走がまったくふるわず、7番人気で一般的なファンからは争覇圏外と見られていた。一方メジロブライトは、Gl勝ちこそないものの、クラシック三冠で常に上位に入り、さらに近走では重賞3連勝中である。

シルクジャスティスとメジロブライトは、それまでにも3度対決しており、ダービーではシルクジャスティス、菊花賞、阪神大賞典ではメジロブライトが先着している。大方の予想が彼らの一騎打ちとなったのも、やむを得ないことだった。

単勝オッズでは、単勝200円で1番人気に支持されたのはシルクジャスティスで、メジロブライトは230円の2番人気にとどまった。阪神大賞典ではメジロブライトが単勝140円、シルクジャスティスが単勝250円で、結果がメジロブライトの勝利だったことを思うと、この人気は奇異にも思われる。しかし、メジロブライトはこの時既に使い込まれて阪神大賞典以上の仕上がりは見込めないが、シルクジャスティスは阪神大賞典が春の初戦で、ひとつ叩いた上積みが見込めること、阪神大賞典では、シルクジャスティスはメジロブライトよりも1kg重い斤量を背負っていたことという違いがあっての評価の逆転だった。ちなみに、この2頭の馬連は200円で、完全な一本かぶりの様相を呈していた。
 
そんな前評判のレースは、逃げ馬が不在のため、超スローペースの展開が予想されていた。そして逃げたのが、前走を勝っているとはいえ、もう9歳(現表記8歳)のファンドリリヴリアでは、ペースは上がりようがなかった。

最初からある程度のスローペースを予想していた河内騎手だったが、この日のペースの遅さは、
彼の予想をもはるかに超えていた。
1000mの通過タイム時点で1分03秒4とただでさえ遅かった流れは、その後さらにペースを落とし、
2000m通過タイムは2分09秒9という記録的な遅さとなった。
前年の天皇賞・春は1000m地点、2000m地点それぞれの通過タイムが1分02秒0、2分03秒8で、
前々年は1分01秒7、2分06秒5だったことと比べれば、その遅さは際立っている。

「このスローペースだと、後ろから行っても届かない。ならば、馬を無理に抑えて末脚をなくすよりも、行く気に任せて早めに進出した方がいい」

河内騎手は進出する進路を確保するため、2週目の向こう正面でメジロブライトを馬群の外に持ち出した。
シルクジャスティスもまたスローペースに対応できずに折り合いを欠き、さらにこちらは、馬群の内につけていたため、おいそれと動けない位置にいる姿があった。
 
河内騎手が外に持ち出すと進出を開始した。

シルクの外を一気に進出していくメジロブライトに気づいたシルクジャスティスの藤田騎手も、ライバルの急な動きに対応を試みた。がこの時シルクジャスティスは、前も外も他の馬に囲まれて、すぐには身動きがとれない状態だった。ブライトは、完全にシルクの先手を取ったのである。

距離のロスを覚悟で外をついて早めに仕掛けたメジロブライトと、仕掛けの遅れをカバーすべく内をついて距離を稼いだシルクジャスティス。彼らは内、外に分かれてはいたものの同じほぼタイミングで上がってきて、逃げるファンドリリヴリアを捕まえた。

だが、残り200mの標識付近でファンドリリヴリアを捕まえて先頭にたつころ、彼らの脚色には明らかな違いがあった。先頭に立ってもなお勢いに衰えのないメジロブライトと違い、シルクジャスティスは明らかに失速し始めたのである。馬群に閉じ込められて仕掛けが遅れた不利に加え、彼が通ってきた内側は、馬場状態が非常に悪いところばかりだった。

残り200m地点ではほぼ並んでいた彼ら2頭の差は、みるみる開いていった。やがて彼らの中間には、10番人気と人気薄のステイゴールドが突っ込んできて、シルクジャスティスを完全にとらえた。
 
シルクの失速、ステイゴールドの追い上げはあったが、勢いのついたメジロブライトがその距離を縮められることはなかった。
いったん約2馬身のセーフティリードをとったメジロブライトは、シルクジャスティス、ステイゴールド、そして最後に外から突っ込んできたローゼンカバリーともその着差を保ったまま、栄光のゴールへ飛び込んだのである。

メジロブライト 父メジロライアン 母レールデュタン 母父マルゼンスキー

今回は内容が濃かったので他文引用しております。

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