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(会場)サントリーホール
(座席)2階C10列37番
(曲目)
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調作品95『新世界より』〜第二楽章〜
ドヴォルザーク:セレナード ホ長調 op.22
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35 (VN) 三浦文彰
J.S.バッハ:無伴奏パルティータ第2番からサラバンド[アンコール] (VN) 三浦文彰
〜休憩〜
ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 op.88
ドヴォルザーク:スラブ舞曲ハ長調op.46-1 [アンコール]
あの大震災からちょうど一年。正直開演時間を一時間遅くしてほしかった演奏会。14時開演にした理由はいろいろとあるかもしれないが正直個人的には招聘元かホールに一考を要してほしかった。
冒頭フルシャはオケとともに入場、指揮台上から震災に対してのこと、そして「新世界交響曲」の第二楽章を演奏した後一分間の黙とうを行うことを告げる。演奏会中に午後2時46分を迎えてしまう演奏会としてはある意味正しい選択だったと思う。特別にフルシャがプリンシパル・ゲスト・コンダクターを務めている都響から数名が参加し行われたそれは、じつに淡々とはしているものの清澄でどこか心の琴線に深く触れてくる演奏だった。演奏終了後舞台の照明をおとし会場全体を薄暗くした中、ここで一分間の黙とう。
このあと一度全員が退場した後、再度演奏会の開始となり、本来の一曲目であるセレナードが演奏された。フルシャはなかなか今まで日程があわず何年も聴くことができなかったが、今回ようやく聴くことができた。度重なる日本での評判がよかった理由がじつに納得できる素晴らしい演奏だった。
明確な音の響き、その確かな設計の中でひとつひとつの音をおろそかにしない姿勢、そしてなによりのニュアンスの細かさと表情の豊かさが素晴らしい。感性がとびきり豊かなのだろう。ただしそれに溺れない強い理性もまた持ち合わせている。まだ30歳でここまでのバランスを保持し、そしてそのすべてを展開できるとはほんとうに凄い逸材だ。今後おそらくチェコ楽壇はこの人を中心に回る時期が来るだろう。そこまで思わせるセレナードだった。終楽章で第一楽章の冒頭部が戻ってくるあたりの表情などは絶品といえるだろう。
この曲の第四楽章ラルゲットの途中で午後2時46分を迎える。個人的にここで演奏中ではあったが一分程黙とうを行う。
続く協奏曲。今年19歳の三浦さんのソロ。これがとんでもなく素晴らしかった。正直もう先生を超えてるだろうと感じたし、こんなに「ヴァィオリンを愉しく簡単に弾く」人がいるのかという驚きすら感じた。
そんな三浦さんのチャイコフスキーはじつはそんなに甘味でもなければ抒情的でもない、だがそればじつに瑞々しく新鮮で、そしてどこか「怪しい」という要素が無いパガニーニのような印象を受けたものだった。それは健康的かつ率直なパガニーニ風チャイコフスキーといっていいのだろうか。とにかくそんな表情を随所にみせながらも、嫌味や外連の無いストレートなチャイコフスキーがホール全体を圧倒しつくした感があった。第一楽章終了後会場全体から盛大な拍手がおきたのは当然といえるかもしれない。
ただフルシャのサポートもなかなか素晴らしいものがあり、それが三浦さんにここまでの演奏を可能にしたのだろう。特に終楽章は両者のそれが極まったものがあった。それにしてもこの協奏曲において、指揮者とソリストのテンションが極めて高水準で一致していたことは驚嘆と称賛に値するといっていいと思う。これが最後水も漏らさぬ高揚感を生み出していたのだろう。名演だった。録音もされていたのでCD化を楽しみに待ちたいと思う。
アンコールは三浦さんによるバッハ。指揮者のフルシャもティンパニー横にあったアンコール用?の打楽器奏者が座る椅子に腰かけ舞台上にこの演奏を聴く。
この後20分の休憩だがすでにこのとき午後3時40分。後半が始まるころには午後4時ということで、この日の終演予定時刻の午後4時半に終了はもう絶望的となった。関係者もたいへんだろう。
後半の交響曲も前半のセレナードのそれと同じ傾向の演奏で、音楽の見通し、随所に聴かせる素晴らしい歌心、そして終楽章における過度に陥ることのない心地よい高揚感。ある意味この曲のひとつの理想形ともいえるもので、いつかはこの指揮者によるドヴォルザークの交響曲全曲をぜひ聴いてみたいと思わせるほどの演奏でした。
またこの若いオケ(創立1994年)の方もじつにこのフルシャのそれによく応えており、12型という小型の編成ではあるものの、それによる不満とかは皆無で、しかもその編成によって得られる明晰な響きをフルに活かした演奏に好感をもったものでした。以前CDで聴いたときは弦にもう少し潤いが欲しいと思われたのですが、今回はそういうところもなく、オケが着実に成長している証が感じられこれもまた嬉しいものがありました。
今回は自分にとっては指揮者もオケもソリストも皆実演では初めて聴く方たちばかりでしたが、結果は当初の期待を遥かに上回るものがありました。これから三者がどう成長し円熟していくかとても楽しみなものがあります。ぜひこれからを注目していきたいところです。
それにしても指揮者とソリストの年齢を足しても自分よりも下というのがなんとも…です。因みにこのロングランコンサート(終演は午後5時近く)の後、指揮者ソリストともども、プログラムやCDを購入した人全員にサイン会を挙行したとか。若い!
あと余談ですが、この日の当日券はホールの公式サイトによると全部で60枚程度であったはず。だが実際は全体で6〜7割の入り。しかも自分の前は5列まるまる空席のところがありと、いったいどうなってるのと不思議なことこのうえなかった。とんでもないくらい当日キャンセルがでたのかもしれないがこれはいただけなかった。「当日券60席だったら行っても売り切れてるかも」と思って来るのをやめた方もいらっしゃるかもしれない。それを思うとちゃんと空席を把握しておけば、もっとチケットが売れただろうに、このあたりのザルっぽい感覚がこれからいろいろと関係者の首をしめていくのではないかと、ちょっと心配になってしまった。今後ぜひ再考してほしいところだ。
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こんにちは。いい演奏でしたね。
>第一楽章終了後会場全体から盛大な拍手がおきたのは当然といえるかもしれない。
私もその一人です。
オケのencourageしたい気持ちが伝わってきたからです。
気持ちの分、オケが鳴っていたような気がします。
三浦さんは、ハノーバーのファイナルでこの曲を弾いていたのですね。(youtubeで見ました)
ドボ8も、こんないい曲だったのかと目の覚めるような好演でした。
いままで「田舎臭い」と思っていた不明を恥じました。
2012/3/17(土) 午後 1:57 [ 中原 ]
音楽会ですばらしい感動を得る経験というのは、他には変えがたいですよね。いい聴衆というのも大事です。三浦さんのYuTube早速見ました。確かに音を有機的に感じて楽しくバイオリンを弾いていらっしゃる。お見事。
2012/3/24(土) 午後 10:02 [ Happy ]
中原さま
あれほど瑞々しくも格調が高く、それでいて民族性もなおざりにしてない名演というのも稀という気がします。オケが大きすぎなかったところが、さらにそれを活かしていたように感じられました。三浦さんはもう素晴らしいのひとことです。youtubeの三浦さんの演奏の存在を知りませんでしたので、とてもありがたかったです。書き込みありがとうございました。お返事遅くなり申し訳ありませんでした。
2012/3/26(月) 午前 3:33 [ ひまや亭 ]
Happyさま
youtubeの三浦さんの演奏もいいですね。今回のプラハではさらに自由かつ表現も弓の使い方も大きくなっていました。これからどうにるのかほんとうに楽しみな方だと思います。コメントありがとうございました。
2012/3/26(月) 午前 3:35 [ ひまや亭 ]