演奏会いいたい砲台

「海外オーケストラ来日公演記録抄」の「いいたい砲台」(ゲストブックにリンク先あり)にある2006年以降に行った演奏会の感想です

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(会場)神奈川県立音楽堂
(座席)27列31番
(曲目)
武満徹:波の盆
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
※石田泰尚(Vn) 柳瀬省太(Va)
ハイドン:交響曲第90番ハ長調


川瀬さん指揮の神奈川フィル。この組み合わせを聴くのは初めてですが、以前聴いた川瀬さんの印象と神奈川フィルの特性からみて、ひとつうまく噛み合うとなかなかいい組み合わせになるのでは?という気がして今回楽しみにしていました。

最初の武満。公開練習初日と同じように、音楽のもつ流れと自らの呼吸を全身でオケに伝える川瀬さんのこのときのそれが、本番ではさらにオケによく浸透しており、ホールのせいかより鮮明なものとなっていました。ご本人は音の出を、より「無」に近いところから音が出てくるような感覚を欲していたようですが、結果いい意味で強く訴えかけてくる、力強くそして真っ直ぐな音楽がそこにはあり、これはこれでとても強く印象づけられる演奏となりました。もちろんこれにはこの指揮者ならではの弦を中心とした表情づけや歌いまわしに対するこだわりも大きかったと思いまする

そして続くモーツァルト。もうここでは石田&柳瀬両氏の素晴らしいまでに息のあった絶妙かつ絶品のソロ&アンサンブルにつきます。正直「これこそ楽興の時」と賞したくなるほどの演奏で、音楽を聴く醍醐味のひとつがここに極まったとさえいえるほどの素晴らしさがそこにはありました。まるで石田、柳瀬、川瀬&オケ、による超大型トリオによる即興演奏にさえ聴こえたこの演奏、このオケが今存亡の危機にあることが嘘のように、明るく楽しく、聴いていた人すべてを幸福にするかのような見事な演奏でした。

このあと石田&柳瀬両氏によるアンコール。これもまた見事でしたが、指揮者の川瀬さんも「いいものを聴かせていただきました」といったところではなかったでしょうか。

休憩の後、ハイドン。

明晰かつ歌心にみちた冒頭についで、引き締まった、それでいてチャーミングな表情も疎かにしない見事な主部と、ほとんど理想的なハイドンがそこでは描かれていました。それにしても川瀬さんは平衡感覚が強いというか、音楽の寸法どりが見事というか、これらの特長がハイドンにおいてすべてがいい方に作用していたのも大きかったという気がします。

そして終楽章。この巧妙な仕掛けが施されたこの音楽。ここで日本人が不得手とする小芝居が入ることがままあるのですが、この日の川瀬さん、そして柳瀬さんともども後半はオケの指定席で演奏していた石田さんの二人によって、この日のこの楽章の仕掛けはまれにみるほど観客に受けに受けまくっていました。

ですが圧巻はそれらの後に演奏されたコーダ。この熱狂的といえるほどまでに白熱したそれは、神奈川フィルがときおりみせる奔流のような猛烈なノリとあいまって、聴き手すべてを圧倒しまくるほど見事なものとなりました。

特にハイドンで全身を使って指揮に演技?にフル回転だった川瀬さんのその表情からみても、これはほんとうに会心の出来だったようです。川瀬さんはオケの多少粗い部分には目をつむり、とにかくオケのやる気と音楽の流れにすべてを最後託したようですが、それが最後にものすごいほどの音楽を形成することに成功したことを思うと、川瀬さんと神奈川フィルは、本質的には価値感や方向性にかなりの一致をみているのではないかという気がします。

この組み合わせ、またできるだけ近いうちにぜひ聴きたいですし、できればより今後もその関係を持続してほしいところです。

しかし今日の神奈川フィルはじつに終演後、明るくそして晴れやかでした。今日の演奏を聴いていたら、このオケは来年も解散することなく活動をし続けるような気がしました。なんの根拠も確証も無いのですがなんとなくです。

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